桜ふる路
英語をツールに、できることをしたい。
踏み出しつつふだん感じ、考えたこと。
 



娘3歳。
きょうから、幼稚園へ通い始めた。


昨夜遅くまで、バタバタと用意してきた持ち物を確認し、
今朝は母子共々、パパに教育テレビをつけて起こされ、ボーっと見て、
ありゃー間に合わないよと、朝食を食べさせつつ自分の身支度をし、
ワーッと制服に着替えさせてべそをかき気味の娘と玄関を飛び出し、
途中からは抱きかかえてハアハア言いながら、だんだら坂を上ってバス停にすべり込み、
きまり悪い挨拶を初顔合わせのママたちと交わしながら、
笑い顔の裏で緊張と心配がいやでも高まる、園バスデビュー新米母ここにあり……


右手の奥に、小さく園バスが見える。他の子達は左へ駆け出す。
はじめて背負うかばんに、のけぞりそうになりながら、しんがりでやっとついていく娘。
近づくバスの音が、母の涙をところてんのように押し出しそうになった。
そこへ別世界への扉、「おはようございまーす!」先生の声、そして上っていく小さな頭たち。
母から、初めてすべり出た娘の…左手を迎えた新しい手。「いっしょにいこうね」
上級生の女の子と共に、歩み出すも、一瞬よろけてああっ。でもすぐに吸い込まれていき、
座席に座ったようだ。

不安そうに見つめる二つの目に、母はわざといつもの顔で手を振る。ばいばーい。
お願いしまーす。ばいばーい。ばいばーい。― 
去りゆくバスを見ていたかった心は、ふとベテランママたちのいつもの井戸端会議に、
ヒヨコのように放り込まれ、片足立ちでついてゆくのであった。


一人で帰ったわが家は、ぽかんとした見たことのない、異空間だった。

無邪気に手伝う顔と声がそこらじゅうにあふれ、洗濯機を回す気になれなかった。


時間はある。でも時間は消えた。そして新しい時間が我ら親子にもたらされた。




戻ってきたバスから、一番初めに降り立ったのはなんとわが娘。
「きょうはいっぱいあそんだねー。」満足したときの言葉だ。
そう、よかったねぇ!何して遊んだの。でもそれはいまや、娘だけが知る世界。


わたしもわたしの世界を、きっと歩み始めた。桜満ちる4月。







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コメント
 
 
 
おめでとう (まほ)
2011-04-26 19:29:28
アスタさん、こんばんは。
親子一緒のスタートです。
思いがこもった文章ですね。
でも、うれしいですね。
楽しんでこられたご様子。
2週間がたち、また新たな発見もあられたのでは。。。
子どもって、予想以上に頼もしいです。
帰ってきたら、抱きしめてあげてくださいね。
 
 
 
まほさんへ (アスタ)
2011-04-27 11:47:20
まほさん、ありがとうございます!!

世の働くお母さん方は、
0歳からお子さんを保育園へ入れたりして
とっくにご経験済みのことと思いますが、
小さい子供を手放して他人に預けてしまうというのは、
やはり緊張と心配と寂しさがないまぜになるものですね。
3歳まで手元に置いてしまうと、親のほうがかえって離れがたいかのような、
そんな感覚もあるものですね。
行ってしまえば、子供は子供なりに過ごしてくるし、
私も2日目からはもう大丈夫でしたけど(笑)
まさに子離れ、親離れの第一歩なんだと思います。

娘は幸いなことに、今に至るまで機嫌よく通ってくれていて、
特に園バスに乗るのは楽しいようなので、助かりました。
「いっぱいあそんだねー」の内容については、まだまだ語ってはくれませんが、
園でやったとおぼしき歌を家でも歌ったりしているので、
「ようちえんでならったの、じょうずだねー」といって抱きしめてやるようにはしています

たしかに、子供は親の考えるよりしっかりしているかもしれませんね。
 
 
 
はじめまして (のん)
2011-04-30 07:11:49
アスタさん、はじめまして。
何かの拍子で、こちらのブログにやってきました(笑)。

ついに訪れた3歳のお子さんが幼稚園に通うその日…。
子どもさん以上にママの不安と緊張感が伝わってきて、
読んでいて、ぐいぐいと引き込まれていきます。

一瞬よろけ、でもすぐに吸い込まれていき、座席にすわったようだ…
…このシーンは、きっとアスタさんの心の中に生涯刻み込まれるのでしょうね。
戻って来たバスから一番初めに降りてきたというのも、何かうれしいですよね。

僕も、バスではありませんが、徒歩か自転車で毎日、
わが家にいる幼稚園児(女児・5歳)を送り迎えしています。
最近は少し慣れてきましたが、最初の頃は戸惑うことばかりでした。
保護者はほとんどがママなので、男の僕では、わからないことがあっても、
ママたちがグループでおしゃべりしている中へ、聞きに行きにくくて…。

アスタさんは、初めての幼稚園の日の情景をとても上手に表現しておられましたので、
僕自身の体験とも重なり、ついコメントさせていただきました。また遊びにきます。
 
 
 
のんさんへ (アスタ)
2011-05-04 13:00:03
のんさん、はじめまして!桜ふる路へようこそ。

当ブログを、見つけてくださってありがとうございます。
お気づきのように、只今事実上の休刊状態
(なかなかパソコンの前にじっと座っている余裕が無くて)
なのですが、久しぶりの投稿にも、読んでくださる方がいらっしゃるというのは
とてもありがたいことです。

もしお時間いただけるときにでも、直近の10記事くらいを読んでいただけましたら、
私がどういう思考をする人間かというのは、おおかたお分かりいただけるかと思いますので…
お返事も遅れることが多くて、申し訳ないのですが、
(コメントは通知メールで確認しております)
マイペースでまた、綴っていきたいと思っております。


さて、のんさんもお嬢さんを送り迎えしてらっしゃるのですね。
育児というのは、親にとっても初めての出来事というのは
ドキドキがつきまとうものだけど、
そうやって親自身も成長していくものなのだというのは、
子供を持ってみてようやく、実感として分かるものですね。

私でもママさん達の輪の中に入っていくのは苦手ですから、
のんさんの戸惑いもいかばかりだったかとお察しいたします(笑)
でも子供にとっては、親が自分を迎えてくれることそのものが、きっとすごく嬉しいはずですよね。


私も娘と一緒に、幼稚園に通っているかのような気分にさせられる今日この頃です。
どんな経験ができるのか、楽しみにしたいです。
どうもありがとうございました。
 
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