投資家の目線

投資家の目線6(MBOと1988年RJRナビスコ買収事件)

 最終的にはレバレッジド・バイ・アウト(LBO)で投資会社コールバーグ・クラビス&ロバーツ(KKR)に買収されることになったが、当時RJRナビスコの経営陣はMBOで非公開化することを考えていた。ブラックマンデー以降株価が低迷したままで、買収されることを恐れたためである。当時のRJR経営陣は多額の交際費が使えたうえに、このMBOがもくろみどおりに成功すると約20億ドル(現在の為替レートでも約2200億円)が7人の経営陣にもたらされるという秘密の協定をM&Aアドバイザーと結んでおり、当時の経営陣が企業に居残れば、彼らは相当よい目を見たことだろう。
 今後日本でもMBOが盛んになるといわれているが、このようなMBOの裏の面も含めて十分に注意して見なければならない。
 なお、最終的に資金調達で使ったジャンクボンド市場が値崩れし、KKRはRJRを手放すことになってしまった。
参考文献 箭内昇「企業合併」(文春新書2001年)

追記:さらに、買収劇の「当時ナビスコの経営者は多数のジェット機を社費で保有、それで飼い犬を遠い州の獣医へ通わせ批判を浴びました」(2012/9/28日本経済新聞夕刊)。ひどい無駄遣いもあったものだ。
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