米国の鉄鋼・アルミ製品輸入制限の対象国に日本が含まれることとなった。『「日本の安倍首相らは『こんなに長い間、米国をうまくだませたなんて信じられない』とほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」。トランプ氏は22日、こう強調した』(『対日圧力再び、輸入制限発動、トランプ氏「もうだまされない」、FTA交渉にらむ。』 2018/3/24 日本経済新聞 朝刊)という。昨年から始まった日米経済対話について『日本にとって同対話は「結論を先送りする仕組み」(政府関係者)だった』(同前)ということなので、トランプ大統領の先の指摘は間違っていない。昨年9月には、北朝鮮情勢を口実に日米経済対話の準備会合に向けた麻生副総理の訪米を延期したこともあり、もう先送りは許されない。
今回の輸入制限措置にオーストラリアや大韓民国は含まれなかったが、オーストラリアは米国インフラ投資に協力(「トランプ米大統領のインフラ計画、オーストラリアの年金が後押しへ」 2018年2月22日 Bloomberg)、大韓民国は自動車分野での譲歩(「韓国政府、米鉄鋼関税避けるため車で譲歩か」 2018年3月22日 朝鮮日報 )という取引が利いているのだろう。先日、ペンシルベニア州であった下院の補選では民主党の候補が勝利したが、「民主党のラム氏は鉄鋼とアルミニウムの輸入制限が労働者保護につながるとみて支持した」(「米共和、牙城でも傷、下院補選、中間選暗雲、政権と距離も、民主、白人労働者取り込む。」2018/3/19 日本経済新聞 朝刊)と、輸入制限措置については民主党も共和党と変わらない。
安倍首相が昨年2月の訪米時に表明したように米国インフラ投資に協力するか、日系企業の現地生産を増やすか、対米輸出自主規制をするか、あるいはそれらの組み合わせか。投資の失敗、日本の雇用の減少など、これらの施策は日本にとってリスクがあるが、このリスクを引き受けなければ米国による日本への輸入制限措置は今後も拡大するだろう。どちらにしても日本の景気後退要因で、安倍政権には痛手だろうが…。
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