トイレの乗り移りが未だに成功しないまま、再び面談がやってきた。
この日は大雨で、リハビリの先生の運転で入所予定の施設へと赴く。
着いてすぐにトイレへの乗り移りの様子を見られた。
病院の便器に比べて少し高く、これなら行けそうな気がした。
いかんせん手摺の位置が高すぎる…
後一歩の所で体が持ち上がりそうだったが、無理だった。
手摺の位置がもう少し下なら多分いけた。
施設のリハビリの先生からは補高便座の購入を提案された。
補高便座とは、便器からの立ち上がりが低すぎて出来ない者に、便座を高くして立ち上がりし易いようにとする物だ。
10cm程の補高便座の購入を提案される。
そして、看護師やセンター長、医者との面談を経る。
リハビリは歩行器を使って歩く練習をしています。と、実践でやって見せた。
ただ、病院の歩行器とは違い、やや若干古い分歩きにくかった。
そして一人のリハビリ先生からある指摘をされる。
「喉の穴は開けたままにしておくんですか?見てると呼吸がし辛そうに見えますが、出来れば閉じることは出来ませんか?」
と。
一緒に来ていた。病院の相談員が「先生に相談してみます」と答えた。
自分が入院している病棟は回復期のため、喉の手術ができないのである。
何度か閉じてほしいと訴えたが、いつも答えはノーだった。
でも今回の指摘のお陰で、病院側の対応が変わった。
何せ退院の日は迫っているし、そのまま自分をポイと退院させるわけにはいかない。
喉の手術の予定が降った。
それまでもトイレの乗り移りの練習は行われ、補高便座はどれを買おうかとパンフレットをリハビリの先生と見たりしてる時、トイレの乗り移りが一人で出来るようになっていた。
縦の手摺を使って立ち上がりトイレに移る。
トイレから車椅子には横の二本の手摺で体を浮かせて立ち上がる。
そうすれば上手く乗り移りが出来た。
後は向こうの施設のトイレでそれが出来れば良い。
補高便座を購入するのは入所してからにしようと言う事になった。
そしていよいよ気管切開(喉)を閉じる手術の日が来る。
またもや一日だけ病棟を移る事になった。
手術が出来るのが急性期だからだ。
あの機械的な看護師達にまた会う事になるのかと苦笑いした。
手術は局所麻酔で行われる事になり、喉に麻酔をして気管を縫う作業が行われる。
全身麻酔では無いのは、気管がちゃんと閉じたか喉に水を当てて声出しをさせるためだと説明された。
所要時間は一時間程度。
一時間もの間、喉に麻酔をして何やらカチャカチャとやられる。
元来痛みに弱い自分は、その光景だけで麻酔が効いてたとしても何か痛いような気がしていた。
多分10分おきぐらいに「痛い」と言っては医者に「え?麻酔足りないかな」と言わせていたと思う。
なんやかんやで一時間ジャストで手術を終え、病棟の看護師が迎えに来た。
一泊の病棟では、観察室での見守り看護になっていた。
寝てても看護師の詰所が見える。
会話は聞こえないが、何をしてるのか丸見えだ。
このご時世だと言うのに、詰所ではマスクを外している看護師が多かった。
機械的な看護師でも詰所では一応キャピキャピしてるんだなと眺めながらそう思った。
夜は喉が痛くて二回ほど薬を貰ったが、全くもって効かない。
痛みのせいで夜はなかなか寝付け無かった。
朝、朝食を食べて薬を飲んだりバイタル(熱を測ったり血圧を測ったり)を測った後、元の病棟からのお迎えがやってきた。
今回は車椅子での移動で、同じ部屋の同じ場所への移動を済ました。
相変わらず喉は痛いが、着いてすぐ看護師のやる事はまたもやバイタルを測ることだった。