9月24日にリハビリに強いという病院の急性期に転院が決まり、ストレッチャーに乗せられて先生と母と共に病院へと運ばれた。
その病院でも個室で、やはり心配なのは看護師の対応だった。
何せ体が動かないのでしょうもない事でナースコールをしてしまうからだ。
担当してくれる看護師は優しく、ナースコールをするとすぐにやってきてくれて、要望にも応えてくれた。
ここなら安心して入院出来る。安心してリハビリが出来る。
そう思っていた数日後、若い看護師から衝撃の言葉を頂いた。
その日も頭が痒く我慢が出来ずナースコールをしたのだが、やって来た若い看護師が一言「私たちは貴方の奴隷じゃない」と怒り口調で告げられた。
その言葉にショックを受け、電話で親に相談した。
電話はスマホをベッドサイドにセットして「heySiri」で通話は出来た。
その言葉に母も流石に怒り、病院にクレームの電話を入れたが、本人から「そんな事言った覚えがない」との事。
完全にシラを切られた。
その日からはその看護師が部屋に来るたびに重苦しい空気が流れ最悪な日々を過ごした。
この手が動くだけで全てが解決するのに。
未だに曲がらない肘を恨み続ける。
そんな日々に転機が訪れたのは転院してきてから一月が経った頃だ。
左手の肘が少しだけ動く様になった。
力をふんっと入れると手をお腹の上に乗せれる。そのまま顔まで手を伸ばす事が出来た。
頭には届かないが、顔の痒いのはこれで自分で掻く事が出来る。本当に嬉しかった。
その事をすぐに母親に電話して伝えた。
母も凄く喜んでくれた。
肘が何とか動く様になってから数日後、急性期から今度は回復期に移る事になった。
また階層が変わる。
そこでも個室で、急性期と違うのは、ここには介護士が数人居た。
ナースコールをすると看護師か介護士のどちらかがやって来る。
介護士には男性も多く、今まで女性看護師が三、四人がかりでやってた事を二人でこなしてくれるので物凄く頼もしかった。
オムツ交換も看護師は2人がかりだったが、男性介護士は1人でこなしてくれる。
リハビリも急性期とは違い、一日三回もあり、土日も休む事なくリハビリは行われた。
この頃にはご飯も点滴ではなく、五分粥程度の物が出される様になった。
勿論握力もほぼ0だし、肘も対して曲がらないので全介助だったが。
それでも口からご飯を食べれるのは人間らしくなったと嬉しかった。
ただ、看護師や介護士によって食べさせ方に性格が出るのが一番辛かった。
この人は綺麗な食べさせ方をするから良いって人と、雑な食べさせ方をする人も居たりで少しストレスを感じた。
お風呂はいつも三人がかりでストレッチャーに乗せられてマグロを洗うかのように済まされる。
しかもそのストレッチャーが身長181センチある自分には狭すぎて、足が柵に当たって痛い痛い。
尿道カテーテルもたまに引っ張られてアソコに激痛が走るしで、お風呂自体は気持ちよかったが恐怖の時間でもあった。
この頃のリハビリは起立台と言って、台の上に寝かせられベルトを閉めてから機械で真っ直ぐに立たせられるというものだった。
約70度で恐怖を感じ、しかも降ろした脚が物凄く痛くて途中でいつもギブアップしていた。
右手の肘も左程ではないが曲がるようになり、長年愛用していた孫の手を使い頭を掻ける様になった。
ただ、長いこと入院生活していて、やれる事が増えると他に問題が起きる。
寝る時の足の体勢が悪いと足に(特に右足)激痛が走り、眠れない。
その都度、ナースコールをして足を組み替えたり位置を動かしたりするのだが、一度では納得のいく位置には来ず、何度も看護師を呼んでは呆れさせた。