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どこへ行っても補欠会員

いつでもどこでも補欠人生を歩む自称「補欠会員」の嘆きの日記です。

中谷巌コラム

2009年01月22日 | Weblog
「資本主義はなぜ自壊したのか?」
2009.01.20

三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長 中谷巌
 
 昨年末に「資本主義はなぜ自壊したのか」という著書を出版させていただいた(集英社インターナショナル)。その意図は、国の方向性は市場参加者の意図が反映される「市場メカニズム」に任せるべきだという「新自由主義」的な考え方で進んできた日本の「改革」路線では、日本社会の良いところが毀損していくのではないか、マーケットだけでは日本人は幸せになれないのではないかという疑問を率直に示すことにあった。
 
 私が昔、「改革」の積極的な推進者であったことを自戒する内容であったことから、思いのほか、世の中から大きな反響をいただいた。「何をいまさら」という批判、「中谷は守旧派になったのか」という批判など、反響の中身はきわめて多様であった。改めて世の中に「発信」することの責任の重さを感じさせられた次第である。
 
 メディアにもたくさん取り上げていただいたが、中には、私があたかも「マーケット」や「改革」そのものに反対しているように受け取られる報道がなされてしまったこともあるが、これは本意ではない。なぜなら、私は「改革」そのものを否定しているわけではなく、日本社会の素晴らしさにさらに磨きをかけることができるような、明確な政策意図を持った「改革」が必要だと主張しているに過ぎないからである。
 
 繰り返しになるが、「なんでも市場に任せるべき」「国がどうなるかは市場に聞いてくれ」という新自由主義的な発想に基づく「改革」は、無責任だし、危ないのではないかということを強調したかったのである。実際、グローバル資本主義は巨大なバブル崩壊を招来し、世界経済に多大の損害を与えたし、平等社会を誇っていた日本もいつの間にかアメリカに次ぐ世界第2位の「貧困大国」になってしまった。そのほかにも、医療難民の発生、異常犯罪の頻発、食品偽装など、日本の「安心・安全」が損なわれ、人の心も荒んできたように見える。これを放っておいてよいのかという問題意識である。
 
 新自由主義的改革においては、「個人の自由」を「公共の利益」に優先させ、あとは小さな政府の下、「市場にお任せ」すれば経済活性化が可能になるという考え方をとるが、それが上記のようなさまざまな副作用を生んでしまった。したがって、「改革」は必要だが、それはなんでも市場に任せておけばうまくいくといった新自由主義的な発想に基づく「改革」ではなく、日本のよき文化的伝統や社会の温かさ、「安心・安全」社会を維持し、それらにさらに磨きをかけることができるような、日本人が「幸せ」になれる「改革」こそ必要であると考えたわけである。

 そのための方向性はこれからもっと勉強しなければならないが、とりあえずは、「貧困大国」の汚名を返上する改革が必要だろう。底辺を底上げし、貧困層が社会から脱落していくのを防ぐこと。このことが重要なのは、「日本の奇跡的成長の原動力であった中間層の活力を回復しないと日本の将来はない」と考えるからである。日本が富裕層と貧困層に2分されてしまえば、社会は荒み、日本の良さが失われるだろう。
 
 もう一つは、明治以来の中央集権体制を解体し、「廃藩置県」に匹敵するくらいの大きな制度改革を断行することである。中央官庁に集結した優秀な官僚が今度は疲弊した地方を再生させるために地元に戻り、彼らに自分の故郷が文化の香り豊かな元気いっぱいの地域にする術を死にもの狂いで考えてもらう。これくらいの大改革が必要だと思う。
http://www.murc.jp/nakatani/column/2009/01/20090120.html

久しぶりに投稿

2008年10月18日 | Weblog
今年の1月以来10ヶ月ぶりの投稿です。
2月~4月が結構忙しくて投稿を休んだらサボり癖がついて、いつの間にか10ヶ月もお休みになってしまった。そろそろ再開しましょう。

ブログお休みの間の事件は、洞爺湖サミットは期待はずれ、内閣改造は失望、そして福田退陣、麻生内閣発足、米国発金融バブル崩壊と続いた。

「ダボス会議の福田」で書いたとおり、私は、福田が洞爺湖サミットを利用して政策転換するのではないかと期待していた。私が期待した政策転換とは、小泉構造改革路線を明確に否定し、日本が内需拡大で世界を引っ張るというものだったのだが、そうはならなかった。挙げ句の果てに退陣ですからねぇ、福田も駄目だった。親父の方が役者が一枚上だったな。

総理大臣になったからには自分のカラーを出す。その路線は、国民が飽き飽きしていた「構造改革」から反転する。これが一番わかりやすいし、かつて構造改革をヨイショしていたマスコミも「格差是正」に微妙にシフトしていたのだから、これで勝負できたと思うが・・・・情けない限りだ。

結局福田は、2006年5月30日のNPO日記に、更なる貧乏神(与謝野・谷垣+福田)と書いたとおりの財政再建論者だったのだろう。

ダボス会議の福田

2008年01月28日 | Weblog
 福田首相がダボス会議(world economic forum)に出席した。国会を無視してそんなものに出席するなんてけしからん、などと言う人もいるがそんなことはない。世界経済が微妙な今、日本の首相が出席しなければ世界は落胆する。

 福田の演説は①に経済、②に環境の順だった。当然だ。最重要課題は経済であり、環境じゃない。環境は「格調高いお題目」に過ぎないものだ。洞爺湖サミットの優先順位も当然そうなる。

 福田は、「日本は財政出動しないのか」との質問に対して「今は考えていない」と答えた。「今は」だ。その一方でアメリカに対して「迅速な対応」を求めた。これをどう考えればいいのかねぇ。新聞は相変わらず環境(排出ガス削減)をトップに紙面を構成しているが、違うんじゃありませんか。

 世界は、くたびれてきたアメリカの代りの成長エンジンを求めている。その候補は日本と中国とインド。日本に期待が集まるのは当然のことだ。2月9日にはG7蔵相・中央銀行総裁会議、7月7日からは洞爺湖サミットが開かれる。こうした国際会議で徐々に日本に「成長エンジンの役割を果たせ」という圧力が掛かる。かくして福田は外圧を利用して政策転換を図る。そんなふうに素人の私は見ているが、違いますか?

 飛ばしすぎた中国はともかく、たっぷり昼寝した日本は体力充分。インドも面白い。人口11億のインドの9割が貧乏人でも、1割約1億の上流・中産階級がいる。こうした潜在購買力向けにインドの自動車メーカーTaTa Mortorsは、1月10日、10万ルピー(約27万8000円)の超低価格国民車ナノ(写真・2気筒623cc・最高速105km/h)の発売を発表した。販売開始は2008年の秋頃。

 インド版スバル360(国民車の先駆け)になりますかね。 

ヒラリーの涙・その2

2008年01月10日 | Weblog
 昨日、ヒラリーは「涙で逆転した」と書いたが、アメリカのメディアもそんな風に見ているようだ。以下今日の新聞及びWebニュースから

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涙の効果? クリントン氏逆転で米メディア勝因分析に躍起
1月9日21時3分配信 産経新聞 【ワシントン=渡辺浩生】
 
 「劇的なカムバック」(CNNテレビ)。米メディアは、ニューハンプシャー州予備選を制し、起死回生の勝利をつかんだ民主党のヒラリー・クリントンと、共和党のジョン・マケイン両上院議員の勝因分析に躍起になっている。
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「クリントン氏の勝利は、民主党の争いがこの先も驚きに満ちていることを思い知らせた」と指摘。クリントン氏が支持者の前で涙を浮かべた瞬間を「キャンペーンの最後の数時間に繰り返し放映され、候補者がめったに見せなかった一面を露呈させた」と述べたほか、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)も冷徹な印象の彼女を「人間らしく見せた」と、クリントン氏の“涙”に注目した。
以下略・・・

 クリントン氏女性票で逆転
 毎日新聞1月10日【マンチェスター・及川正也】

 前文略・・・クリントン氏が逆転に成功した背景には何があったのか。米メディア(CNN)の出口調査によると、クリントン氏は敗戦したアイオワ州党員集会でつかみ切れなかった女性に支持を広げた。アイオワの30%から47%にまで伸ばし、オバマ氏に13%の差をつけた。中略・・・浮動票の取り込みも目立つ。「当日に候補者を決定した」と答えた人のうち、クリントン氏に投票した人の割合はアイオワの20%から40%へ倍増。投票前日の7日、涙ぐんで「(選挙戦は)容易ではない」と語る映像が何度も全米に流れ、同情票が広がったとの見方もある。
以下略・・
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 さて今後はどう展開するのでしょうか。オバマは、無党派層も若年層も女性票もアイオワと変わらない支持を集めている。流れは大きくは変わっていないと見ていいだろう。一方、ヒラリーは今回「涙」で勝利したが、これが次回にどう影響するか定かではない。

 こんな記事もあります。
 
 「12月にクリントン事務所が精神異常者に占拠された事件のときだった。スタッフを人質にして自爆すると脅迫する犯人と、包囲した警察のにらみ合いが続いた。テレビは実況で報道する。取材記者が当然遊説中のヒラリーにどう対処するかとインタビューする。そこで返ってきた回答が、実に驚愕だった。わなわなと震えるひとりのおばさんの情けない声だったのである。『警察に一切おまかせします』と、これ以上沈んだ声はないというほど暗い陰鬱な、1週間位気が滅入る声であった。」(http://beiryu2.exblog.jp/6918303アクセス)

 さあ、アメリカ人はどうするんだ。どっちが勝ってもいい野次馬にとって選挙は面白ければいい。ミシガン(15日)・ネバダ(19日)・サウスカロライナ(26日)・フロリダ(29日)・メーン(2月1日)、そしてスーパーチューズデイ(2月5日)と続く。2月5日までは楽しめそうですね。

 そうだ、前橋市長選がある(2月10日告示、17日投開票)。こっちは野次馬というわけにはいかないのがつらい(笑)。

ヒラリーの涙

2008年01月09日 | Weblog
 今日の昼のニュースには仰天した。ニューハンプシャー予備選挙でヒラリーがオバマをリードして当確だと報じていたのですから。夕方のニュースでは開票率70%台でヒラリー39%、オバマ37%でヒラリーの当選が伝えられていた。

 もともと大本命のヒラリーだったが、アイオワでオバマに大きく水を開けられて3位。ニューハンプシャーでも当初リードしていたが追いつかれ、今朝の新聞では(7日の世論調査で)オバマに9~13%リードされて完全に逆転されていたのですから。

 しかも劣勢の状況下で「何でそんなに強くいられるのですか」と記者に突っ込まれ、涙ぐんで今にも泣き出しそうなヒラリーの顔が全米・全世界に発信されたのだから、「ヒラリーはもうお終いだ」と私が思ったのも無理はない。しかしそれは私の勘違いだったのだ。

 アメリカの大統領は危機に動じない強さが必須条件だった。ピンチに立って泣き出すような弱い大統領は支持されないと思っていたが、今になって考えてみたら、過去の大統領(とその候補)は全部男だった。男だからこそ「強さ」が求められていたのかも知れない。ヒラリーは女性だったのだ。

 9~13%リードされていたヒラリーがたった1日で大逆転したのは、多分あの「涙」だったろう。マイナスと見られていた(そう勝手に思っていた)涙はプラスだったのだ。高慢ちきで嫌みな女だと思っていたが実は可愛い女だったのだ(笑)。出口調査では女性の支持が多かったという。

 それにしても、アメリカにも同情票があるとは思わなかった。ウェットな日本人と違って、ドライなアメリカ人は徹底的に合理的な思考をするものだと思っていたがそうではなかった。アメリカ人をちょっと見直しました。

 世論は移ろい易いものですね。安心感を買われて高い支持率でスタートした福田首相。小沢のチョンボ(大連立)もあって順調だったが、桝添・町村・福田の年金舌禍で逆転。小沢のチョンボは吹っ飛んで、あっと言う間に低空飛行に突入した。

 まさに一寸先は闇。政治家は大変だ。

太田市長・清水聖義の感性

2007年12月21日 | Weblog
 このブログで、GKAをテーマに、小寺VS清水を面白可笑しく書いてきた。両者にまったく面識のない筆者だが、どちらかというと小寺の姿勢を支持、清水の姿勢を批判してきた。なんとなく清水聖義という男、節操がないような気がしていたがまさにそのとおりの男だった。

以下、最近の新聞報道

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【12月12日上毛新聞】
 柿沼氏公認に異論、党本部へ要望書 清水市長推す声も
 民主党太田市支部は11日、次期衆院選で群馬3区の公認候補となっている柿沼正明(42)の公認取り消しと、新たな候補者擁立を求める要望書を党本部に送付した。党3区総支部代表の柿沼氏は保守系、太田市支部長は労組系の黒沢孝行県議で、県連の内部対立があらためて表面化した形。党内には知名度の高い清水聖義太田市長の擁立を推す声がある。

【12月15日上毛新聞】
 清水氏(太田市長)次期衆院選出馬へ調整
 太田市長の清水聖義氏(66)は14日、次期衆院選に向け民主党の鳩山由紀夫幹事長らと13日に会談し、同党公認で群馬3区から出馬の打診を受けたことを明らかにした。上毛新聞社の取材に答えた。清水氏は「慎重に検討したい」としている。太田市がある群馬3区は柿沼正明氏(42)が同党公認候補に内定しているが、小沢一郎代表は周辺に知名度の高い清水氏への関心を伝えており、党本部は候補者差し替えに向けて本格的な調整に入った。

【12月16日産経新聞】
 衆院3区、民主、太田市長に打診 公認の柿沼氏「背信で不可解」
 清水聖義太田市長(66)が今月13日、民主党の鳩山由紀夫幹事長らと会談し、次期衆院選で同党公認候補として群馬3区から出馬の打診を受けていたことが15日、分かった。ただ、党本部はすでに同区で柿沼正明氏(42)の公認を決定しており、週明けからの一本化作業が難航するのは必至だ。中略・・
 柿沼氏は「寝耳に水。打診したことが本当なら背信行為で不可解」としている。

【12月18日上毛新聞】
 衆院3区、自民が清水氏を慰留
 太田市長の清水聖義氏(66)に、民主党が次期衆院選で群馬3区からの出馬を打診したのを受け、自民党県連太田支部長の金田克次県議は17日、支部顧問である清水氏に民主党から出馬しないよう要請した。金田氏は上毛新聞社の取材に対し、支部に太田市からの代議士待望論があることを理由に「自重してもらえれば、(3区候補としての調整に)汗をかくことができる」と伝えたことを明らかにした。これに対し清水氏は「現在自民党員という立場であり、もし自民党から推していただけるなら優先して考えたい」と話している。

【12月20日読売新聞】
 民主より自民、太田市長、衆院3区強い意欲
 民主党から次期衆院選に3区公認で出馬を検討していた太田市の清水聖義市長(66)は19日、党籍を持つ自民党からの出馬についても検討する考えを明らかにした。18日夜には、同党衆院3区支部長で、8選を目指すとみられる現職の谷津義男衆院議員と太田市内で会談し、意見交換をするなどの動きを見せた。

【12月20日毎日新聞】 
 自民・谷津氏が清水氏慰留、自らの辞退も示唆
 自民党の谷津義男・元農水相(73)=衆院群馬3区=が、民主党から同区での出馬打診を受けた清水聖義・太田市長(66)と会談し、出馬を慰留していたことが19日、明らかになった。同市の自民党支持者には党員である清水氏が民主党から出馬することへの拒否反応も強く、谷津氏が翻意を促したとみられる。
 両氏周辺によると、谷津氏は自民党太田支部関係者らを伴い同市内で清水氏と会談。谷津氏は「この年齢で選挙をやるのは大変だと思うこともある」などと述べ、自らの出馬辞退もほのめかしたという。中略・・・清水氏を巡る一連の動きに、同党県連内には「政権維持がかかる重要な次期衆院選に、自民党員でありながら、民主党から出る動きを見せること自体、不謹慎だ」などと厳しい批判が噴出している。
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 この一連の動きは、民主党群馬県連の不正経理疑惑を追及する柿沼正明と、批判の矢面に立たされている黒沢孝行幹事長の争いが背景にある。黒沢が柿沼降ろしを画策し、担ぎ出したのが清水聖義太田市長。うまくいくかに見えたが、担ぎ出した玉が悪かった(笑)。谷津義男から空手形を見せられたらあっさりと方向転換しちゃった(爆笑)。

 こんな節操のない男を担ぎ出した黒沢の負け。まったく動かなかった柿沼の勝ちだ。それにしても太田市民は不幸ですなぁ、いや、清水聖義、こんなざまじゃ辞表を提出するしかないから、市民にとって結果はよかったか(笑)。

村八分で関川村元区長らに賠償命令

2007年10月19日 | Weblog
毎日新聞10月10日
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20071011k0000m040063000c.html
 
 新潟県関川村の沼集落の住民11人が、行事不参加を理由にごみ収集箱の使用禁止などの「村八分」行為をされたとして、元区長ら3人に賠償などを求めた訴訟で、東京高裁は10日、行為の差し止めと計220万円の支払いを命じた1審・新潟地裁新発田支部判決(07年2月)を支持し、元区長側の控訴を棄却した。安倍嘉人裁判長は「集落員としての権利や生活上の利益を奪う違法な取り扱いだ」と指摘した。

 判決によると、同集落では00年から8月15日に「岩魚つかみ取り大会」を開催していたが、原告らは04年5月、お盆に作業を強いられるうえ大会の会計に不正があるとして不参加。これに対し、当時の区長や大会実行委員長ら有力者3人は「従わないなら集落から脱退したとみなす」として、原告らに▼ごみ収集箱使用▼入会地での山菜やきのこ採取▼集落施設の使用を禁じ、村や農協の広報紙、連絡文書を配布しないと総会で決めた。

 判決は、大会不参加の申し出により集落から脱退したと扱うことはできないと1審同様の判断を示した。元区長側は「集落の不文律を破ったことへの対応を総会で決め、弁明の機会も設けた」と反論したが、判決は「村八分と呼ぶかどうかにかかわらず不法行為で、総会の決議によっても許されない」と述べた。

 沼集落は36世帯で、うち11世帯の世帯主らが原告。状況は現在も変わらず、ごみ収集や広報紙などは村に直接依頼しているという。原告の船山栄さん(53)は「いやがらせに耐えてきたが、ほっとしている。平和な村を残す責任があり、今後も団結して頑張る」と話した。【北村和巳】
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(感想)
 元区長らの対応はいただけませんね。多数決が民主主義だと錯覚しているのだろう。元区長らのやり方は全体主義的で、民主主義とは対極の考え方であるということを理解していない。だから一審で敗訴しても控訴する愚に出る。もしかしたら、判決を不服として最高裁に控訴するのか?

 普通は、一審判決で負けた時点で控訴を断念し、元区長らが「悪かった」と謝って和解(値引き交渉)に持ち込むのが上手なやり方というものだ。原告側は、いくら裁判で勝っても少数派なのだから、多数派の元区長らが頭を下げて低姿勢に出てくれば和解に応じざるを得ない。カネはチャラでもいい、なんて事だってあり得る。

 18日の朝日新聞社会欄によると、元区長らの1人が「上告するかどうかは未定。ただ、ゴミ収集箱の使用禁止などは総会で決めたことなので、賠償金は集落全戸で負担すべきだと考えている」と語っている。事実、一審の裁判費用200万円は集落の積立金から払った。積立金はもう底をついているという。

 おいおいおい、原告が訴えたのは元区長ら3人で、支払い命令も3人に対して行われているのだぜ。責任者なんだからきちんと責任を取れよ(笑)。ちなみに、岩魚つかみどり大会に不参加だったのは15戸、うち11戸が裁判に訴えたわけだが、理屈から言えば原告団に加わらなかった4戸も(多分)村八分だろうから、賠償金は21戸で負担するわけだ。1戸あたり約10万円だ。

 我が家にそんな「奉加帳」が回ってきたら絶対に支払わないね。それで「村八分だ!」と言われたら甘んじて受けます。困るのは村役場だけだから(笑)。

 多数決でもって何でも決められると思っているのが大間違いなのだが、そう思っていない人たちが多いのが困る。そこをうまくまとめるのがリーダーたる区長の仕事だ。責任者なんだから、こんな恥さらしになる前に柔軟に対応する「大人の知恵」が欲しい。

福田内閣支持率・新聞各社出揃う

2007年10月01日 | Weblog
 新聞各社の福田内閣支持率が出揃った。(四捨五入)

 朝日・・支持53%・不支持27%
 毎日・・支持57%・不支持25%
 読売・・支持58%・不支持27%
 産経・・支持55%・不支持29%
 日経・・支持59%・不支持27%
 共同・・支持58% 

 朝日と産経が渋いほかは、いずれも予想外の高い支持率だ。小泉・安倍と続いた劇場型政治に、国民はいいかげんウンザリしていたということだろう。

 朝日は左翼系読者が多い、産経は安倍路線(戦後レジームからの脱却)支持の読者が多いから福田支持が少ないのだろうが、それにしても地味キャラの福田があれほど高い支持率を得るとは思わなかった(私は40%台後半《50%には届かない》と予想していた)。

 石原信雄講演会で石原氏は、「参議院選の自民敗北は格差拡大が主因」と述べていた。それももちろんあるだろうが、私は小泉・安倍の熱狂型政治に国民が胡散臭さを感じ始めたのが大きいのではないだろうかと思っている。詐欺師は熱狂を演出して人々を欺く。小泉はその典型だが、人のよい(育ちのよい)安倍はその手法に徹し切れなかった。だから嘘がバレバレになる。

 自民党の参院選向けテレビCMで、安倍首相が「年金の全額支払いに責任を持って取り組んでいます」と語っていたが、国民の殆どが「そんなの嘘に決まっている」と思っていた。しかもこのCM、当初は「皆様の年金は責任を持ってすべて保証します」となっていたというのだから驚きだ。

 日本民間放送連盟が定めた放送基準には、広告表現の項目に「視聴者に錯誤を起こさせるような表現をしてはならない」などの取り決めがある。自民党の当初案に対して複数の民放局が、「すべて保証します」という表現について「実現可能性がはっきりしない約束をしている」「視聴者に誤解を与える恐れがある」といった点を指摘し、表現を再考するよう求めたというのだ。
(http://fadjap.exblog.jp/i2アクセスによる)

 そもそも、勝つためには何でもあり的発想が国民をなめている。熱狂はいつまでも続かない。国民は徐々に詐欺的熱狂から冷め、冷静さを取り戻し、安定と正直に価値観を移動しつつあるのだ。福田支持が予想以上に高かったのがそれを物語っている。

 福田さんは、できない話を不用意に言ったりしない。慎重な物言いで、具体的な話は目下のところゼロだから方向性が見えない。実にイライラする(笑)。しかし滑り出しはこれでいい。徐々に小泉・安倍路線を否定する福田カラーを出してくるだろう。そう期待しています。

石原信雄講演会を聞いて・・その4

2007年09月25日 | Weblog
2、自治行政を取り巻く環境の変化と自治体の対応
(1)阿部内閣の政治姿勢と地方行政・・成長優先政策と格差問題の深刻化
(2)参議院選の結果と政治の流動化・・その地方行政への影響

 石原講演会の2(↑)を書こうと思っていたら、「安倍辞任」のニュースが飛び込んできて仰天した。石原さんは、講演会では阿部内閣の是非にはまったく触れていなかったが、間接的に、小泉経済政策を事実上継承した結果が格差拡大を容認していると捉えられ、それが参議院選の結果に影響したという趣旨を述べていた。

 成長優先政策と格差問題は本質的にはイコールではないが、石原さんは、成長優先政策を「竹中・中川秀・安倍」の上げ潮政策(構造改革路線の延長)と捉えていたように感じた。つまり、「白猫でも黒猫でも鼠を捕る猫はいい猫だ」では、格差より成長を優先する考え方で好ましくないという風に感じられた。

 小泉政権末期~阿部政権の経済政策は、
①「竹中・中川秀・太田弘子・安倍」の上げ潮路線。
②「与謝野・谷垣・福田」の財政再建路線。
③「麻生・高村」の積極財政路線。
に分かれていたと思う。

 私は③①②の順なんですよ(笑)。経済政策は麻生・高村が好きだが、安倍辞任ニュースの瞬間、次期総理は福田だと直感した。参議院選敗北直後、森・中川秀・青木が安倍辞任~福田擁立で動いていたし、これに古賀・山崎・加藤が賛同していた状況がありましたからね。

 結局、福田が選出されたが、党役員人事は谷垣政調会長(予想通り)、伊吹幹事長(予想外)。閣僚人事は高村外務(意外)、石破防衛(予想外)、町村官房(ほぼ予想)が目新しいところで、福田らしい落ち着いた人事だ。私は、町村幹事長、高村政調会長又は経済財政担当大臣を期待していたんですがね(笑)。高村氏を政調会長や経済担当相に配置したんでは、小泉・安倍路線を露骨に否定することになるから福田にはできないか(笑)。

 増田総務相の再任はよかった。石原さんは「増田さんは改革派だが、考え方は悪くない」と言っていた。小沢一郎に引っ張られて知事選に出た人だから原理主義的な発想はあるが、これは私も同じ(笑)。要は何のために改革をするのかであって、弱者切り捨てもやむを得ないでは改悪だ。増田さんはそういう人ではないだろう。

 道州制論者だが、地方自治の原点は基礎自治体にあると言っている。そのためには国の姿を変えなければならないというのが増田さんの考え方だ。道州制もその中から出てきた発想だろう。一方、石原さんは「道州制はこれからの話」「民主党の方向が不明」と言っていた。確かに小沢一郎は「基礎自治体を300にまとめて都道府県を廃止する」と再三言っているのだから、これは道州制とは違った考え方だ。

 参議院選の結果、政治が流動化しているから、道州制を含めた地方分権の具体的な姿はまだ見えてこない。福田内閣は民主党との話し合いを重視する路線だから、これからの話という石原さんの言い方は結果的にそのとおりだった。

 福田首相は、事務方の官房副長官に二橋正弘前官房副長官を起用したが、二橋氏は旧自治省出身で石原さんの後輩。福田首相が官房長官当時にコンビを組んだ間柄だ。二橋氏は、国と地方の税財政を改革する「三位一体の改革」のとりまとめに際し、官房長官時代の安倍氏と対立、更迭された(25日毎日新聞)人だ。どんな内容で対立したのか知らないが、何となく期待できそうな人事だ。石原さんの役割も今後大きくなりそうな気がします。 

石原信雄講演会を聞いて・・その3

2007年09月09日 | Weblog
 1、現行地方自治制度のしくみと基礎的自治体のあり方・・・
 の中で、江戸時代の71,000の村(概ね今の大字)が、明治(22年)の大合併でおよそ15,000に、そして昭和(28年~)の大合併で約3,300に編制されたことを話していた。このブログでも書いたが、明治の大合併は村を小学校が運営できる規模に、そして昭和の大合併は中学校を運営できる規模に集約することを目的としていた。

 昭和24年来日したシャープ使節団が、有名なシャープ勧告、理想的な税制と地方自治制度のあり方を勧告した。ここまでは知っていたが、そのシャープ勧告(市町村中心の地方自治制度)に添って、旧自治省が昭和31年の地方自治法改正、平成12年の地方分権一括法の制定を行ったと言ったのには驚いた。ほんまかいなと(笑)。

 石原さんは、自治省はシャープ勧告の趣旨を尊重して来たが、市町村の力不足の実態から、なかなか市町村中心の地方自治にはならなかったと言っていた。そうなんですかねぇ(笑)。シャープ勧告から50年たってやっと地方分権一括法を制定したのだが、その間やろうやろうと思っていたができなかったのか?。

 実際問題、つい数年前までの市町村は、国や都道府県の指示に従って淡々と事務をこなしていただけで自主性はゼロだった。三割自治と揶揄されていたが、市町村職員と議員の意識はゼロ割自治と言っても過言ではなかった。国会議員も同様に、国→県→市町村へと上意下達するシステムが都合が良かったから、前に進まなかったということなのか。

 それが制度上劇的に変化したのが平成12年の地方分権一括法。これは確かに自治省主導だった。しかし、制度は変わっても人の意識はなかなか変化しない。職員の意識は時間を掛けて変化しているようだが、議員とそれを取り巻く地域有力者の意識はまったく変化していないのが実情だ。相も変わらず、県会議員を通じて県に、国会議員を通じて国に陳情(お願い)する意識から一歩も出ていない。ナンセンスの極みなのだが。

 石原さんが講演で述べていたように、地方分権の流れは変わらない。その分権をどう進めるかなのだが、竹中流原理主義を国民は望んでいないと言っていた。国民の大多数は、どこに住んでいてもほぼ均質のサービスを政府が保証していると思っているという。

 竹中氏は一橋大を出てからアメリカの大学で研究した人だから、アメリカの自己責任のシステムを主張する。この竹中流思想を石原氏は「市場原理主義」と表現していた。この市場原理主義を地方自治に持ち込めば、カネのない自治体は高い税金を徴収して低いサービスしか提供できなくなるし、カネのある自治体は豊かなサービスを提供でき、地域間格差はますます拡大する。

 ここまで書いてアップしようと思っていたが、9日朝、新聞を見たら、台風9号で南牧村大塩沢地区が孤立の記事が載っていた。
http://www.asahi.com/national/update/0908/TKY200709080275.html

 甘楽郡南牧村大字大塩沢は戸数124戸の山村集落。旧大塩沢村は明治22年磐戸村と合併し、磐戸村大字大塩沢となり、昭和30年南牧村に統一されて現在に至っている。大塩沢地区には昭和57年まで分校(磐戸小大塩沢分校)があった。

 台風被害で唯一の生活道路である幹線が崩壊し、孤立したわけだが、竹中流(アメリカ流)原理主義に基づけば、「崩壊した道路は地域の皆さんで直してください。国や県は補助金は出しません(補助金は悪ですから)。」となる。すべて自己責任が原則だ。

 さて、こうなったら住民は考える。みんなして多額のカネと膨大な労力を出し合って道路を復旧するか、それとも見切りを付けて都会に引っ越すか、究極の選択を迫られる。3分の2は引っ越すでしょうね。ムラには行き場のない年寄りが残るだけだ(今でも年寄りばかりだが・・・)。

 こうして、構造改革・市場原理主義社会では集落が次々と消えていく。いや、消えるのは山村集落だけではない。阪神淡路大震災で神戸市は壊滅的打撃を被ったが、国の支援があったから急速に立ち直り、以前に増して立派な都市になった。一方、台風カトリーヌで水浸しになったニューオリンズは、人はどんどんいなくなるし、税収は減る一方だから未だに復旧の目途は立たない。永遠に復旧できないだろうから、やがてジャズ発祥の地、ニューオリンズは消えてなくなるだろう。

 小泉・竹中・本間等は消えたが、構造改革・市場原理主義者はまだまだ健在だから油断はできない。石原さんには今後も頑張ってもらわなければ困る。(続く)