かつてア(略

ああああああああああああああああ!

SSの感想投下場

2007-09-25 23:39:36 | Weblog
SSについての感想・批判・次回作の要望等のコメントはこちらへ。
原則コメントは削除しませんが、宣伝系のコメント・TBは強制的に削除しますのでそのつもりで。

ある平行世界での可能性①『どうしても、お前を諦められなかったんだ』あとがき

2007-09-25 20:56:56 | 涼宮ハルヒの二次創作
以上です。

これは、当初某巨大掲示板のニュー速VIP板orエロパロ板に投下する予定でしたが、カップリングとしては異端(下手するとハルキョン派にいろいろ言われると思う)だったり、文書力が少々拙著なため、あえてこの別館に投下したものです。

このSSを書きたかったのは、二次創作サイトでも全然取り上げられることがない谷口×ハルヒネタを「誰も書かないのなら自分でやってしまおう」と言うことと、自分として谷口にも幸せになって欲しかったな…と思って唐突に書き始めたからです。別に後悔はしていません。

まぁ、ハルキョンが一般的で王道でそれ以外は許しませんよという人が少なくない中で、あえて誰もやらないマイナーカップリングでやってもいいじゃないか…と思いますが。

オリジナルキャラの稲葉ですが、「生徒会長としてあまりにも真面目すぎて、恋をしてもあんまり面白くないかも、けどすごく優しくて結構人思い、そしてたまに空気を読めない」と大まかに設定しました。一応このオリキャラを軸にしてしまった作品を書いてみたいなと思いますが……フルボッコになるから無理か。いや、谷ハルという時点で拒絶反応を表したり(略

今作は中盤までは日常描写を取り入れたちょっと切ない系で、後半は思いっきりあま~い作風に、出てくる大学や動物園の名前も実際のものにしてリアル感を出してみましたが、どうなんでしょうか?

次回作は、今回とは無関係で山根を軸にした文通話でも作ってみようかなと思ってます。



ある平行世界での可能性①『どうしても、お前を諦められなかったんだ』 その5(終)

2007-09-25 20:47:30 | 涼宮ハルヒの二次創作
「…稲葉が、何か切なそうだね……。成崎と付き合えちゃうんだから、いっそのこと、デートの約束でも取り付ければ良かったのに……」
「あいつは…、涼宮に少しは未練を残しているような気がするぜ…。でも稲葉なら、この失恋とかを乗り越えて何とかやってくれるって、信じてるからさ。個人的には、稲葉と成崎は結構お似合いって感じがするな」
「そうよね…」

…あたしがそう言って、静かに降り積もる雪としばしの沈黙が流れたあと、成崎が稲葉に『一緒に帰ろう』と誘っていた。もちろん彼は承諾してたし、意外なことに手を繋いで歩いていった。『稲葉はそれでいいのよ』とホッと胸を撫で下ろした。…でも、今度会ったら、『実は告白したの?』って質問してあげようかしら。昨日電話したときは「告白する人はいない」と言ったけど、真っ赤な嘘よね?まさか自然な形で手を繋いで帰っていくなんて、怪しいわよ…まったく。
そして恋人同士になったあたしとぐっちゃんも、雪が降る中、手を握りあって学舎を後にしていく。…いろいろ騒動を起こした三年間の終わりは、静かに終わらせたかったのも山々だけど、クラスメイトの前でぐっちゃんに告白させたのは…間違いじゃなかったのかもね。でもぐっちゃんも言ってたとおり、この手の告白は諸刃の剣だよね。在校生のみんなが真似てしまって、この学校の伝説になるのは止めてほしいな…と思ったり。



・学校の帰り
「俺、本当に嬉しいぜ……。こうやって手を繋いで歩いたことないから。ナンパばっかりしてた頃も、一回くらいはこういうシチュエーションで歩きたい…と思ったけどさ」
「だからぐっちゃんもあたしを見失わずに、デートするときじゃなくても、遠慮せずに手を繋ぎなさいよ?毎日でも、数時間毎でも、あたしが急用にかからなかったらいつでもそうしてあげるから…ね?」
「そりゃ嬉しいけど……俺としちゃちょっと恥ずかしいぜ?流石に『バカップル』とは呼ばれたくないし、俺だってハルヒと一緒でも一人気ままに歩きたいときだってあるさ。…その点は理解してくれよな……頼む//」
「……ごめん。ちょっと強引すぎたかな?でも、あたしはあんたと手を繋いで歩くことで、恋人同士だなぁって実感できるし、…何より、心がウキウキしちゃうからね。…ぐっちゃんだって『初めて好きになった人と結ばれたい』って思ってるでしょ?」
「当たりめぇだろ!そう言われて本当に嬉しくてたまんないからさ。…そうだ、ハルヒの頭に雪が積もってるけどさ…、大丈夫か?」

そう言ってぐっちゃんは、あたしの頭に積もっている雪を優しく取り除いてくれた。ぐっちゃんの頭の方にも積もっていたから、ちょっと頭をはたく感じで取り除いてやる。…ぐっちゃんがちょっと怒った感じになっているけど、あたしは無視して会話を続ける。

「…バレンタインデーにくれたチョコ、本当においしかったわよ。感想を言える時間が無くてこんな形で言っちゃうのもあれだけど…」
「ありがとうな…。バレンタインにチョコをあげるのは、別に男から女にあげてもいいっていうのは分かってたから、ハルヒにぜひ味わって欲しいなと思って…作ったんだけどさ……。ハルヒが作ったのもおいしかったぜ?甘すぎず、苦すぎず…ホント、料理を作るのも神がかってるよな……。俺にもその才能の一つか二つくらい、欲しかったって思うしさ……」
「…ふふっ、ぐっちゃんとあたしの子供ができたら、きっと叶えてくれる…かもね?…これからも色々と越えなきゃならないことはあると思うけど、ぐっちゃんと一緒なら、きっと乗り越えられると思うし、ダメだったとしても、一歩一歩、一緒に歩んでいけばその内どうにかなると思うわよ…。だから谷口君、キスさせて下さい!…ってね!」
「あのさ…//キスはいいけど、子供って、まだ早いんじゃ……//」
「二十歳になったら学生結婚して、就職して二年後くらいには…身体を重ね合って子供を作って、幸せな家庭を作りたいのよ?あたしの人生設計はそれなりにできてるの。…だから、強引だけど付き合ってちょうだいね?ぐっちゃん!(思いつきで言ってやったって言えないけどね…///)」
「か、構わないぜ……。でも、俺も恥ずかしいし、家の前で言うんだったら良かったんじゃ…ないかなって……」
「ご、ごめん……//あ、あたし、結構大胆なことを言って自爆してるよね……」
「別に、俺としては気にしてないけどさ。あのさ…、大学でも、頑張ろうな?そして……幸せになろうぜ、ハルヒ!」
「うん……。じゃあ、ぐっちゃんの耳たぶをいっただっきまーす♪」
「ちょ、うおっ!?」

ぐっちゃんがあたふたしてる隙に、あたしは強引に右手でぐっちゃんを引き寄せて頬にキスをし、すぐさま耳たぶに優しく甘噛みしてやった。ぐっちゃんは顔を真っ赤にして怒ろうとしてるようだけど、あたしの笑顔にやられたのかデレデレしている。なんか男なのに可愛いく思えるのよ!

「こんな雪の中で大はしゃぎするなよ…ハルヒ…。でも、一瞬だけ感じちまった……。何やってくれてるんだよてめー!ってな」
「えへへっ♪…だけど、ぐっちゃんも結構可愛くて、ちょっと情けない感じだったよ?」
「ば、ばか……」
「…ところで、ぐっちゃん」
「何だよハルヒ……」
「…谷口君の唇に、キスさせて下さい!//////」
「う、うん…いいぜ//」
「…けど、終わったら帰るわよ。風邪引いちゃ元も子もないし、あたしも暖まりたいしね」
「俺もだ……。ブレザーは少し濡れてるし、風邪引いたりしたらこんな幸せも元も子もないしな」
「じゃあ決まりね!…ぐっちゃん、目を瞑ってちょうだい」

…あたしは、ぐっちゃんの目が瞑ったことを確認して、目を瞑る。何の許可も得てないけど、ぐっちゃんの頬に両手を添えて、そのまま優しくキスをした。
雪がちょっと強くなっても、お構いなしにお互いの体温を確かめつつ、最初のキスよりちょっと長く交わしあった。
…本当に不思議だよね。中学時代にあれだけあたしに失礼なことを言っていた男の子がすごく真面目になって(ちょっとキザになってたりするけど)謝った上で、あたしに告白するなんてさ……。べ、別にあたしはぐっちゃんの事は嫌いじゃなかったし、…むしろ、好きなのよ?////キョンも稲葉君も彼女が出来てたみたいだし、ぐっちゃんも彼女が出来るのはきっと既定路線だったと思うわよ?うん。さて…

「ぐっちゃん!さっさと帰るわよ!」
「…ありがとな、ハルヒ。最後に…ちょっと情けなくて馬鹿な俺だけど…よろしく」
「…あたしも、これからも一緒に頑張らないとね!…よろしくね!ぐっちゃん!」



…こうして、あたしとぐっちゃんにとって、いや、北高としても記録に残るような一日は幕を閉じた。…ううん、家に帰るまでが学校だからまだ続いてたか。この後、あたし達五組の生徒達どころか、この年の北高の卒業生全員が全員進学・就職を決めたということで、地方紙でも話題になったけど、それはまた別の話。それと、ぐっちゃんもあたしを送った帰り道に突然現れた元吹奏楽部の豊原に告白されかけて、気分が悪くなった上に風邪を引いてしまって、合格発表の日まで寝込んでしまったのは…まぁ、どうでもいいけどね。



大学に行っても、あたし達はすごくうまく行ってる。一部からは「五週間は言い過ぎだが五ヶ月で別れるんじゃないか」と言われたけど、あたしもぐっちゃんも、互いに手を繋いでキャンパスに行ったり、週二くらいのペースでデートしたり、時にはSOS団の活動をしたりして絆を深めてる。周囲からは案の定『バカップル』とか言われちゃってるけど、勉強はしっかりやってるし、マナーだってきちんと守ってるから、そんなに気にしてないわ。

「あのね、ぐっちゃん…今度のデート、どこに行く?」
「俺は神戸市立王子動物園がいいな。パンダを見たいし、インドホシガメがのんびり歩いている様子とか見てみたいぜ」
「じゃああたしもそこでいいかな。あたしはオウムに『SOS団は今日も活動中』って言わせたいなと思うのよ!あたしながら結構いいと思うけど、どうなのよ?」
「いいんじゃない?でもオウムに言葉を覚えさせるのは結構難しいらしいけどな」
「…そうかな……やってみないと分からないかもね?」
「無茶しやがって。突然だけど…ハルヒ、愛してるぜ……」
「あたしもぐっちゃんの事、愛してるんだからね……」



これからもあたし達二人が、いつまでもいつまでも、幸せでいられますように……。

「ずっとあたしのそばにいてよね…、ぐっちゃん!」
「ずっとついていく…じゃなくて、ついて来いよ、ハルヒ!」

あたしはぐっちゃんと顔を合わせると、頬にキスしあい、それから唇に軽く触れるだけのキスをした。
9月まで続いた夏休みと異常とも言える残暑が終わり、ようやく秋の便りが来た後学期のはじめの日は、青空が広がっていた。いつものように手を繋ぎながらキャンパスへと向かうあたし達を、その青空の中にぽつんと浮かんでいた雲は優しく見守っているようだった。



Fin.
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ある平行世界での可能性①『どうしても、お前を諦められなかったんだ』 その4

2007-09-25 20:40:10 | 涼宮ハルヒの二次創作
「あのさ……涼宮。これから本題に入る。……どうしても、どうしてもお前を諦められなかったんだ。お前の笑顔に惹かれて、お前の行動に冷や冷やさせられつつも、それでも、どうしても、お前の存在を嫌いになれなかった俺がいた。お前の全てに見取れてしまったんだ。惚れちまったんだ。…俺の前だけで、200ワットくらいのとびっきりの笑顔を見せて欲しい……。そう思うんだ。……涼宮。お前が本当に好きなんだ。ずっとお前だけを見ていたい。俺だって、他の女を好きになるなんて馬鹿な真似は絶対にしないと誓う。だから…、俺と…俺と付き合ってくれ!!」



「…………」
「……駄目なら、それはそれで構わないんだ。こんな人前で告白して、本当にすまなかった……」
「……別にいいわよ。で、何するの?」



……ちょ、ちょっと待て。これって、「涼宮は俺の告白を受け入れた」っていうことでいいのか!?……なんか現実味がないというか……これって本当に現実なのかよ!?って気が本当にしてきたんだけど……。ここにいる涼宮は、長門の作り出した本物そっくりの偽物とか……まさかな……

「ぐっちゃん、なに突っ立ってんのよ…。『あたしも谷口の事が好きです』って訳なのに!!キョンにも負けず劣らずの鈍かn……」
「……涼宮……いいのか…?俺で、いいのか……?」
「当たり前でしょ!あたしはね、あんたの事だけどね…、確かに馬鹿だけど、馬鹿なりにあんたはよく頑張ってたわよ…。それに、高校生活の内に自然と作り出された優しさや真面目さに惹かれた訳だし…。べ、別に、興味本位で付き合おうなんて考えてないからね!////」
「『普通の人間に興味はない』とか言ってた事もあったよな…。それは?」
「もぅ!『若さ故の過ち』よ!…ぐっちゃんも疑心暗鬼にならないで、あたしには素直にしてくれればいいの!…だけど、あたしも全然素直になれなくて…ごめんね。社会人になったら、こんな傍若無人な振る舞いなんて許されないって…分かってるから……。だからもっと素直になるわ。もう一度言うけど、あんたも素直になりなさいよ!…と言うわけで付き合ってちょうだいね、ぐっちゃん」
「お、おう……。神様が見てくれてるんだ!お、お前を幸せにしてやるからさ!だから…よろしくな……涼宮。じゃなくハルヒ……うぅ……」

俺は迂闊にも目頭が熱くなっちまって……思わず泣き出してしまった。まさか、涼宮に告白してOKが出るなんてよ……。本当にとんでもない事になっちまったんだな…って、本当に本当にそれ以上のことは考えられなかった。…俺は涼宮にとってふさわしい人間だろうか?っていう疑問もそりゃ沸きに沸くさ。でも、OKが出た以上、涼宮から『死刑』って言われないように頑張らなきゃな。…ぁぁ、涙がなかなか止まらねぇ……

「ぐっちゃん、泣いちゃって…。もう卒業式は終わってるから、ビンタはしないであげる。…けど、そんなに嬉しかったんだ…あたしと付き合えるってことが」
「あ、当たり前じゃねぇかよ…!ハルヒがOKを出すなんて思ってもなかったからさ……。…だけど、この後に何と言っていいのかわかんねぇよ、すごく嬉しすぎて頭が少し混乱している……」

そう言ってる間に、涼宮は笑顔を見せつつ、人差し指で俺の頬をツンツンと突きはじめた。…ちょっと痛い上に、か、顔が真っ赤になるじゃんかよ…。
ふと周りに視線を移すと、………男子生徒全員と岡部先生は口をぽかーんと開けて、時間が止まったかのように動かずに俺と涼宮を見ている。女子生徒も流石に口を開けてはいないが、動かずに見ているのは同じだ。国木田も稲葉もキョンも古泉も、四人揃って口を開けてフリーズしてやがるし…な、なんだよ!俺と涼宮のカップルができた事自体が、北高10大ニュースに余裕でランクインするほどの出来事かよ!そんなにおかしいことかよ!冗談でやってるにしても、少しは『おめでとう!』とか『この幸せ者!』とか声をかけろよな!…まったく。

「…ぐっちゃん、顔、真っ赤よ?」
「ば、馬鹿…は、ハルヒが頬をつつくからじゃねーか…おめーだって、顔が真っ赤じゃ…ねーかよ……//」
「……ぐっちゃん、本当にあたしだけを見てくれてたんだ……//」
「あ、当たり前だろ……、涼宮。お前がいなきゃダメなんだからさ……」
「嬉しいわよ…そんな言葉をかけてくれて……。ねぇ、ぐっちゃん//」
「何だよ」
「ぐっちゃんが本当に、ほんとーにあたしが好きなら、ここでキスしなさい!頬じゃなく、唇にね!これは団長命令だから…!」
「ぉぃっ!?な、な、な、なんでここでキスなんだよ……////…だ、駄目だろ、固まってるとはいえみんなが見ている訳だし」
「問答無用よ!またあの時のように五分で『付き合うのはなしね』とか言われたいの!?ぐっちゃん…そんなにもう一度あたしに別れの言葉を言わせたいの?」
「い、言われたくねぇよ!……分かった。分かったから、ちょっと心の準備をさせてくれないか?」
「いいわよ!その代わり『お前がいなきゃダメ』と言った以上は、そのまま逃げるのはなしだからね。あんたのファーストキスなんだから…覚悟ができたらあたしに言いなさいよ?」

…時が止まったかのように、俺と涼宮以外のクラス全員が(息づかいだけは聞こえるが)フリーズした空間の中で、俺はとりあえず、心の整理と覚悟を決めていたさ。一瞬『あれは本物そっくりの偽物』と思ったが、この状況下なら、もう本物と思うしかなかった。…涼宮は『そのまま逃げるのはなし』と言ったが、この人だかりの前じゃ、どう考えても逃げられるわけがないぜ。もう覚悟はできた。あとは…口付けだけか。
すまないな、みんな。俺が、俺が……涼宮を幸せにしてやるぜ!だからよ……、キスが終わっても物とか投げつけないでくれよな!頼む!

「覚悟、できた?」
「ああ、もうできたぜ」
「ところでぐっちゃん、一つ言っておくけど。……絶対に他に女なんか作らないでよね…。もし作ったら…死刑なんだからね!」
「おう、そりゃ分かってるさ。…だから、そんな馬鹿は真似は絶対にしないって誓ったし、お前を幸せにしてやるって言ったじゃねーか。心配するなよ…、俺はずっと、お前を愛してるぜ。本気で…」
「…ありがとね、ぐっちゃん。…じゃ、キスしよっか?」

…そう言って、涼宮はそっと目を瞑る。とにかく何も喋らない時の涼宮…じゃなくてハルヒは、本当に抱きしめたくなるほど可愛いと思うな。でも、このままハルヒの目を瞑ったままにして放置プレイなんて、誰も許してくれるはずがない。…だから俺は、ぎこちなくハルヒの両肩に手を置く。顔を天に向け、深く深呼吸。そして俺も目を瞑り、ハルヒの唇に俺のそれを近づけて……優しく唇同士が重なった。

「んっ…」

俺にとっては、本当に唇を重ねるだけの、すごく優しくて、すごく単純なキス。……けど、それだけでも、本当に嬉しかった。ハルヒはSOS団の活動の中で、遊びでキスしたことが何回かあるのは、ある程度は感じがつく。だけど、俺は遊びでキスなんてできない。本気のキスしかできないんだよ。…だから、物を投げるなよ、な?
…そうこうキスしている内に色々思って30秒くらい。俺の方から唇を離して、ファーストキスは終わった。

「…どうだった?あたしとのファーストキス」
「……何と言っていいかな……、ハルヒの唇、マシュマロのような感触がして……すごく、優しい感じだったぜ……。…もう、お前がいなきゃ、ダメになっちゃった……でも、どうして感情的になってんだよ、俺……」
「あんたのも、マシュマロっぽい感じがしてたわよ…。…ところでぐっちゃん、キャラが壊れてるわよ」
「WAWAWAWAWAWAWAWA、すごく嬉しかったからに決まってるだろーが…!」
「それと言い忘れたけど…あのキスで五年前に付き合った時間の記録を更新したわよ?多分。…少しは驚きなさいよね、ぐっちゃん」
「ありがとうな。それはそれで嬉しいぜ!…じゃ、帰ろうか!(けどまだクラスメイトは全員止まったままだけど…)」
「…その前に、ぐっちゃんの体温を確かめたいな……。いいでしょ?」
「いいぜ……。俺の胸に飛び込んでこいよ」
「そんな台詞、ぐっちゃんらしくないわよ?」
「WAWAWA、それくらい、いいじゃんかよ……」

で、未だに口を開けてフリーズしている岡部先生の目の前で、俺とハルヒは抱き合った。最初はちょっと強すぎて、ハルヒが壊れると思ってすぐに優しく、力を抜いてすぐ離れられるようにと…。
……ところで、何分くらいフリーズしてたんだろうか?教室内の全生徒がこの瞬間を狙ったかのようにフリーズ状態から抜け出して、歓声を挙げ始めたじゃねーか!『おめでとう!』『この幸せ者!』『死刑にされるなよ!』『ずっと愛してやれよ』などなど、だったらキスの時に言えよ!と突っ込みたくなる。女子生徒の中には貰い泣きしている人もいる。俺の腕の中にいるハルヒも、とびっきりの笑顔で喜んでいる。…本当に、ありがとうな、みんな。そう言ってくれて、俺だって嬉しいぜ!…で、前代生徒会長の稲葉は、空気を読まずに万歳三唱していた。少しくらい空気読めよ…まったく。

「ぐっちゃん…あったかいな……」
「お前もな……ハルヒ…」

抱き合ったまま二回目のキスに入ろうとしたその時……。岡部先生が、フリーズ状態から復帰してしまった……。そりゃ予想していたことだけどな。

「谷口!!ハルヒ!!」
「「ご…ごめんなさい……俺(あたし)が調子に乗って告白(を要求)して、キスして、抱きしめ(ちゃってた)てました……」」
「『続きは職員室だ』と言いたいところだが、…お前達の勇気と行動にはビックリしたな。だから、俺の前で見せたその愛情と優しさをしっかりと保って、真面目な家庭を築き上げろよ…。お前達、大学でも、そして社会人になっても幸せにな」
「「!!!!!!!!」」

…岡部先生の口から、あまりにもあまりにも意外すぎる言葉が紡ぎ出されて、教室内の生徒からは驚きの声しか出なかったし。そりゃ、俺達も衝撃的だったぜ?あの強面の岡部先生が最後の最後にこんな言葉を、馬鹿な真似をやっちゃった俺達に対してかけてくれるなんてさ……!この俺達の行為のお陰で「卒業式の日、クラスの生徒と教師の前で告白すると幸せになれる」とかいう伝説が出てきたら……いや出てくるな。こんな馬鹿な行為は俺達だけで十分さ。多分。

「…ところで稲葉君」
「あ、はい」
「新生徒会の生徒達に別れの言葉くらいは告げて、学舎を後にしていけよ」
「…わ、わかりました」

…稲葉が岡部先生にちょっとした説教を食らってた。キョン、国木田、古泉以外の生徒達は彼を指さして、彼の空気の読め無さを笑っている。…お前は本当に優秀かつちょっとマヌケっぽい所が良かったぞ。進路も大学も別々になるが、いつかは俺達と酒を交わして思い出話に花を咲かせたいよな…ホントに。

「ついでに古泉……、お前が誰が好きなのかはわからねぇけどさ……、幸せにしてやれよな!…くれぐれも、男の人ばっかり追いかけ回す真似をして、『アイツって気持ち悪い~』とか言われないように気を付けろよ!」
「心得てますよ、谷口くん。僕もそれは薄々分かってましたからね…。とにかく、稲葉君が何か言いたげみたいですよ?」
「…頑張れよな、古泉」

「おめでとう、涼宮さん、谷口さん」
「…何改まってんだよ稲葉。…お前の卒業式の答辞、結構よかったぜ。思わず泣けてきそうだったしさ」
「稲葉、本当にお疲れ様でした。ってね!…あたし達はこれから夫婦同然に生きて行くけど、稲葉もさっさと彼女を見つけなさいよ?」
「もちろんだって。…谷口、ハルヒを幸せにさせてやれよ…。お前にしかできないことが、見つかったんだからさ」
「ありがとよ、稲葉。…そして頑張れよな、稲葉」
「ありがとu」
「ごめん稲葉君。……ぐっちゃん…、もう一度、キスしよ?」
「「まだ岡部先生がいるのにそれだけは!それだけは!(あと見せつけられると自分としても辛いんで……)」」
「う……ごめん//////」

見事なまでにシンクロした断りの台詞が、ハルヒにとっては少しショックだったかどうかは置いておく。
…いろいろあった三年五組の教室から(ほぼ同時に岡部先生も)外に出ると、そこはうっすらと雪が降り積もり、西日本の三月としては珍しいであろう、白銀の世界になろうとしていた。自分は幸せそうに手を繋いだ二人を見ながら、真っ白になりながら、泣いている空をただただ見ているだけ…。だけど、自分は欲しい物が手に入らなかったとしても、世界に絶望しちゃいけないんだって、その光景を見ても分かっているから。『君達の幸せを、心から願っています』。自分は、涼宮にフラレた数多い人間として、そう思っているから。



つづく
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ちょっとお知らせ

2007-09-25 17:34:08 | Weblog
『どうしても、お前を諦められなかったんだ』の続きとあとがきは午後8時~9時頃にはアップ予定です。
もうしばらくお待ちください。

福田内閣ですが…、個人的には最初から期待していません。格差や派遣のピンはね問題には手を付けない予感。
外交も特定亜細亜に土下座する方向な可能性大だし、アメリカへの従属姿勢すら変えない様では期待もできない罠。