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森茂氏作品鑑賞

森茂氏の作品を個人的に鑑賞します

詰将棋パラダイス 26番

2006-10-23 21:21:42 | Weblog
詰将棋パラダイス 26番

(10月26日修正:変化同手数かと思われた部分で早詰が残念ながら見つかったので、内容を修正。)

最悪詰は触れる機会が極端に少なく経験がないため、今回も作品を観ていくのに時間がかかった。
まだ疑問な点が残っているが書いていくことにする。

攻方は王手義務だけ守りながら、ひたすら無理攻めにして詰まなくなるように心がけてくるので、受方はなるべく攻方の手を限定していくことに注意を払いたい。

この作品では、1二、2二の角や6四の飛が自由に動くようでは到底詰ませてはもらえないので、おのずと受方の方針も決まってくる。

初手は1五金しか王手できないが、これをあっさり同玉などと取ろうものならば、たちまち2四銀とされ、角飛を自由に動かされて、紐がつかない状態でどんどんと擦り寄られ逆に受方の手が限定され、玉を詰ませてもらうことなど到底望めない状態になってしまう。
(もっとも2四銀以降に1六玉とかわされた後にどのように攻方が攻めれば攻めが頓挫しそうかが今一つ読みきれていないのだが)

初手1五金から同金、1七歩、同玉、2六銀、同玉とほぼ必然手が続くが、3五銀に対して、取らずに1七銀とかわすのが当然ながら旨い手である。
この銀を取っては、角飛全てが自由に動けてしまうのは明らかである。
2六に呼び込んで取ることにより、次の手を2二の角による王手に限定して、攻方を誘導するのが肝要である。

さて11手目は4四角成だが、生ではいけないのであろうか?
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ 飛 ・ 角 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

この場合は、3五桂合ならば、作意手順と同じ進行になるが、それ以外の手で詰む手を未だ見つけていない。引き続き検討したいところである。

3五桂、同馬、同飛で先手はようやく6四の飛を縦に使うことができるようになったが、3五同飛の瞬間が逆王手なので、取った桂で、3八桂と王手を防ぎつつ手を続けるしかない。
攻方が駒を持てば、指し手の自由度が格段に広がるはずだが、逆王手を利用して手順をコントロールしているのはさすがと言ったところである。

さて、角筋に気をつけて、1七玉と行き、6七飛と王手をさせるわけだが、ここでまた大きな問題がある。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・v玉|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし
 【17手目:6七飛まで】

作意では、3七桂合とし、同飛、同飛生の交換を入れて、この後、1二の角と桂馬のコンビネーションで詰ませるわけだが、ここで、5七桂合、同飛、3七桂合とするとどうであろうか?
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ 飛 ・v桂 ・v玉|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:桂

3七同飛では、同飛生、2九桂に1六玉とする。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 桂 ・|九
+---------------------------+
持駒:桂


2八桂を強制され、2七玉、4五角(成)に3六飛と引き、同角(馬)で詰みである。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 桂 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 桂 ・|九
+---------------------------+
持駒:飛

なので、2九桂だが、ここで2七玉と寄られてどうだろうか。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ 飛 ・v桂v玉 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 桂 ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

2七玉には、3七飛、4五角生、4五角成とあり、攻方の手を限定できなさそうに見える。
しかし、3七飛には1八玉と入る。
1七飛では詰みなので、4五角と王手するが、同飛と取られて、1七飛をやはり強制されてしまう。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・v玉|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 桂 ・|九
+---------------------------+
持駒:桂

4五角生、成も単に手順前後で、同飛、3七飛、1八玉、1七飛の順に誘導するのを防げないように思える。

作意は全く桂のない局面から徐々に桂を入手し、最後は大駒は全て捨て四桂で詰め上がる見事な作である。
今回の余詰では、桂でのコントロールと大駒の威力がちょうどよく詰んでしまう。
作意の狙いを残しての修正はかなり難しいと思われるが・・・

早詰順:
1五金 同金 1七歩 同玉 2六銀 同玉 3五銀 1七玉 2六銀 同玉 4四角成 3五桂 同馬 同飛 3八桂 1七玉 6七飛 5(4)七桂 同飛 3七桂 3七同飛 同飛 2九桂 1六玉 2八桂 2七玉 4五角 3六飛 同角まで29手詰(飛余り)
21手目2九桂は2七玉 3七飛 1八玉 4五角 同飛 1七飛まで(桂余り)