時には目食耳視も悪くない。

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【動画紹介】ヒトコトリのコトノハ vol.15

2023年07月21日 | 動画紹介
☆本記事は、Youtubeチャンネル『本の林 honnohayashi』に投稿された動画を紹介するものです。
 ご興味を持たれた方は是非、動画の方もチェックしてみて下さいね!

 ●本日のコトノハ●
  結婚とは最初長くて三箇月間の感興を生命に
  一生涯の歓楽を犠牲にするものだ。

 「雲」―『ふらんす物語』永井荷風(1951)新潮社より


 『雲』は1908年に永井荷風(1879-1959)によって書かれた小説です。
 結婚観は時代によって移り変わるものだと思っていましたが、100年以上も前に書かれたこの言葉に私は共感を覚えてしまいます。

 「昔はよかった」とか「今とは全く違った」などと言う人もいますが、考え方も性格も違う二人の人間が一緒に暮していくことの難しさ、煩わしさを昔の人も感じていたということなのでしょう。
 主人公小山貞吉は今で言う「クズ男」の典型ですが、現代でもきっとこういう男の人がいるんだろうなぁと、妙に納得しながら読んでしまいました。

 現代は結婚しない、できない人の増加や少子化が社会問題として取り上げられていますが、この作品を読むと結婚に対する男性の考え方は今とあまり変わりがないような気がするのです。
 男性側からしたら、恋人もしくは夫婦ならば無条件に女性を経済的に支援しなければいけないというのは理不尽に思えるでしょうし、自分のこと以外にお金を使いたくないという男性は今も昔も変わらずに存在すると思います。

 そして、恋愛関係にある男女は最終的には結婚しなければならないという社会からの無言のプレッシャーも昔から変わらないのかもしれません。
 実体験から言うと、結婚は二十代とか若い頃にしてしまわない限り、年齢を重ねてしまうと自分に関する不利益を考えてしまって、できなくなるものです。
 女性の場合、(日本では)苗字が変わるので、銀行の通帳や携帯電話の契約や自動車の名義、その他の契約の氏名変更をしなければいけませんし、仕事を辞めたり、変えたりしなければいけないこともありますし、生活環境が変わるならば引っ越しなどもしなければいけないかもしれません。
 40歳も過ぎると、そんな体力気力などないのです。

 いつか世間の風潮が変わって、現在の「結婚」というカタチではない、全く別の新しい男女関係(他人同士が築く家族あるいは仲間のような法的関係)が出現しないか、バツイチアラフォーの私はひそかに期待しています。
 なにはともあれ、結婚や恋愛、交際関係について悩んでいる人、一度「雲」を読んでみたら、何か新しい気づきや発見があるかもしれません。


ヒトコトリのコトノハ vol.15


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