カプアン通信

田中一光さん




1週間くらい前になりますが、東京ミッドタウンの
21_21designsightで開催中の「田中一光とデザインの前後左右展」に
出かけてきました。


田中一光さんのことをご存知ない方もいらっしゃると思います。

今の時代のグラフィックデザインの基礎を作った
といっても、過言でないような
昭和から平成の時代を代表する、グラフィックデザイン界の巨人であり
とくに、海外に、日本のデザインとは何ぞや
ということを沢山発信された方です。

ごく簡単に経歴を紹介すると

田中一光さんは、1930年に奈良市に生まれ
京都でデザインを学びました
(京都市立美術専門学校、現、京都市立芸術大学)
大阪でカネボウ、産経新聞に勤務したあと
東京に転出し、広告制作会社ライトパブリシテイに入社。
日本デザインセンター創立に参加後独立。
西武流通グループのクリティティブディレクション
大阪府のアートディレクションほか
数々の国際的な仕事にかかわり
1994年64歳のときに紫綬褒章
2000年70歳のときに文化功労者となりましたが
2002年71歳で急逝しました。

今回の展覧会は、没後10年を記念するイベントでもあります。




田中一光さんは、生涯5,000点以上の作品を手がけたそうです。
その1点1点はとても緻密で神経がいきとどいた作品が多く、
作品制作以外でも多忙な日々を過したはずなのに、
驚異的な多作といえます。

代表的な作品を1点選ぶとすると「第八回産経観世能」のポスターが有名です。

このポスターは何がすごいかと言うと、能の告知ポスターでありながら
絵も写真も使わず、しかも、告知の情報が、ビジュアルに表現されて
能の幽玄な世界を表現できていることです。
この作品の完成は1961年。私が生まれた年です。
50年以上昔に作られたものなのに、今見ても、斬新で、モダンで
現代でも通じるデザインだと思います。

田中一光さんが、はじめて産経観世能のポスター制作の担当になったのは
24歳のときだったそうです。恐ろしく早熟ですね。




私が好きなのは、一光さんの「演劇のポスター」です。
一光さんは、子どもの頃から芝居が好きで、
大学時代は、演劇部で役者もやるなど、演劇に打ち込んだそうです。
1973年から担当した西武劇場のポスターでは、毎回
人気イラストレーターをポスターに起用して
イラストレーションブームを牽引しました。

上の写真は、1975年「エクウス(馬)」のポスター。
イラストレーション制作は滝野晴夫氏です。

また、1975年からは、西武美術館のグラフィックデザインおよび
会場構成を担当しました。
当時高校生だった私は、同美術館の学生会員になり
入場無料なのをいいことに、2~3年間で100回くらい通いましたが、
いつも、会場のポスターや、会場デザインに魅了されてました。




田中一光さんは長年「文字」と格闘したデザイナーでもあります。

写真は、1973年「日本の選択(毎日新聞社)」ポスター。
「日本の選択」という文字は、一光さんのオリジナルで
会場に原画の展示がありましたが、筆を使って書かかれたものです。
この書体は、のちにモリサワと共同で開発され商品化されました。
以下のサイトで購入することができます。

モリサワフォント「光朝(こうちょう)」

モリサワのフォントは、
ほとんどのグラフィックデザイナーがお世話になってますが
モリサワフォントの流通のため宣伝に力を入れたのも一光さんでした。




田中一光さんは、ロゴマーク、シンボルマークの制作が得意な
グラフィックデザイナーでもありました。

1981年「科学万博つくば’85』シンボルマーク




1979年「イッセイミヤケ・ライセンスグループ」ブランドマーク


「無印良品」のアートディレクションも有名な仕事ですが
「無印良品」では、商品デザインというよりも、
コンセプト(考え方)の開発が一光さんの主な仕事でした。
「無印良品」の発案はセゾングループを率いた堤清二氏と
田中一光さんの共同作業です。

展覧会では、ポスターなどの作品も秀逸ですが、
このギャラリーも田中さんの発案? このイベントも? 
と幅広い活動の紹介に驚くばかりでした。

この会場、21_21designsightの館長は、
ファッションデザイナーの三宅一生氏ですが
田中一光さんとの共同作業も多く
21_21designsightのオープンは、一光さんの希望をカタチにしたようなもの
といった趣旨のメッセージを寄せてました。
今、国立デザイン美術館の発案もされてますが
それも、一光さんのスピリッツが元になっているはずです。

時代が求めていたのかもしれませんが
こんなデザイナーは、現代ではいません。
今後もあらわれるでしょうか?




展覧会で唯一、撮影が許されている、弟子のデザイナー廣村正彰氏の作品。
130色を超える色数の洋紙「タント」を使ってますが、
田中一光さんは、この商品の開発にもかかわったそうです。

他にも、DICの特色インキの選定など、デザイナーの道具の開発にも
深くかかわってます。

とても登れない山のような偉才でありますが
私は学生時代から、文字のセンスや、色使いなど、
ずいぶん、一光さんの作品から学びました。

グラフィックデザインにかかわる方や、デザインに興味がある方は
ぜひ、展覧会に行かれることをお薦めします。

会期は1月20日(日)までです。

「田中一光とデザインの前後左右」オフィシャルサイト


きょうは、田中一光さんの誕生日です。
ご存命なら、満83歳でした。










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ちばわんいぬ親会ねこ親会のおしらせ

ちばわん八王子プチいぬ親会
同時開催New Year ふれ愛コンサート


1月19日(土)11:00~15:00  雨天決行(荒天中止)
会場:JR八王子駅南口2F「とちの木デッキ」
ことしさいしょのちばわんイベントは、八王子からです。
参加予定わんこなどの詳細は↑上記バナーをクリック!


第162回ちばわん定例いぬ親会

1月20日(日)12:00~15:00  江戸川河川敷 篠崎緑地にて開催!
ことしさいしょのちばわん定例いぬ親会です。
参加予定わんこなどの詳細は↑上記バナーをクリック!


1月のちばわん品川ねこ親会いぬ親会

1月27日(日)12:00~15:00  品川区ウエルカムセンター原・交流施設にて開催
参加予定にゃんこわんこの詳細は後日、ねこ親会ブログおよび
品川いぬ親会ブログに発表されます。


2月のちばわん湘南プチいぬ親会

2月9日(土)11:00~14:30  茅ヶ崎市BOWWOWさんにて開催!
湘南地区でことしさいしょのちばわんいぬ親会です。
参加予定わんこなどの詳細は後日発表されます。

コメント一覧

カプアンパパ
ホリーままさん
昔取った杵柄ですね(笑)
西武のポスター、当時は一光さんのことなど知らなくて、イラストレーターのことばかり注目してました(笑)
でも、東京に住んでいても、ポスターの実物はほとんど見た事がなくて、今回の展覧会で初めて実物を見ました(原画も)。

イナズマくんとは、ずいぶんご無沙汰です。「つばさ」でお会いしたんですか? ホリーくんはボールが頭に当たったそうですが、その後大丈夫ですか?
ホリーまま
http://blog.goo.ne.jp/holymama/
すっかり現役とかけ離れた身分ですが、今でも良いデザインを目にすると、清々しいドキリを感じます。
(エクウスのポスター、懐かしいです。西武の仕事本で見た記憶があります。)
田舎者にとって、直接触れられる環境にある東京は羨ましい限りでした。笑

(昨日、久しぶりにイナズマくんに会いましたよ♪)
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