医療「改革」を巡る俗論を、医療経済学の立場から解明, 2007/4/30
レビュアー: 歯職人
「改革」と称するものが勢いを得て、「とにかく改革」「まずは改革」と社会が躁状態に陥る時がある。その時、立ち止まり、思考を積み重ねるためには、知であり学であり、論理が必要となると思われる。
本書は、日本の医療「改革」論議の貧困を照らし出す。耳障りの良い言葉の裏付けの不在、予断による国際比較。
この一冊に、余りに多くの項目を詰め込んだきらいはあるが、冒頭からの章立てと記述を工夫し、読者に医療経済学を伝えることに傾注している。
著者のアメリカで掴んだ現代の医療経済学を正確に日本の読者に伝えたいとの熱意が充満している。
著者の医療経済学者としての成長史、医療経済学の学び方、医療経済学者への道案内としての読み方も可能かもしれない。
著者の兪炳匡[ユウヘイキョウ]先生は、北大医学部卒業後、国立大阪病院で臨床研修を経て、医療経済学を志、1997年ハーバード大学にて修士号(医療政策・管理学)取得、2002年ジョンズ・ホプキンス大学にて博士号(PhD、医療経済学)取得され、その後アメリカでキャリアを積まれた医師であり医療経済研究者。
米国厚生省疾病・管理予防センター(CDC)エコノミストとしても活動され、現在も彼の地で医療経済学の研究・教育に従事している。
(カイカクノタメノイリョウケイザイガク )
「改革」のための医療経済学
ISBN:9784840417594 (4840417598)
263p 19cm(B6)
(吹田)メディカ出版 (2006-08-05出版)
・兪 炳匡【著】
[A5 判] NDC分類:498.1 販売価:\1,995(税込) (本体価:\1,900)
タバコを吸って財政赤字を減らそう!?効率の良い予防医療はかえってコストを高騰させる?岐路に立つ日本の医療選択に必要な科学的根拠とは?最先端の医療経済学から、日本の医療制度改革に警鐘。
1章 忙しい読者のための総括
2章 比較による医療の相対的な位置付け―3つの分類別に(医療問題の3つの分類;コスト(医療費)の比較
アクセス(医療へのかかりやすさ)の比較
医療の質の比較)
3章 医療経済学に何ができるのか(誤解を解くための医療経済学の定義;医療と経済学の関係―妄信でも嫌悪でもない冷静な距離のとり方;専門大学院(プロフェッショナルスクール)で求められる教育)
4章 医療費高騰の犯人探し(疑われた5要因はいずれも犯人格としては小物―最大の黒幕は医療技術の進歩?;人口の高齢化が医療費に与えるインパクト ほか)
5章 改革へのロードマップ(制度改革の前に明らかにすべき価値基準;5つの効率の基準とその改善案 ほか)
兪炳匡[ユウヘイキョウ]
1967年大阪府に生まれる。1993年北海道大学医学部卒業。1993~95年国立大阪病院で臨床研修。1997年ハーバード大学にて修士号(医療政策・管理学)取得。2002年ジョンズ・ホプキンス大学にて博士号(PhD、医療経済学)取得。2002~04年スタンフォード大学医療政策センター研究員として高齢者介護制度の国際比較研究に従事(2004年以降非常勤研究員)。2004~06年米国厚生省疾病・管理予防センター(CDC)エコノミストとして遺伝子スクリーニングを含めた予防医療の経済評価に従事。現在はニューヨーク州ロチェスター大学医学部地域・予防医学科助教授として、医療経済学の研究(特にインフルエンザ予防接種の経済評価)・教育に従事。関心領域は、高齢化が医療制度に与える影響の国際比較、予防医療(特に予防接種・スクリーニング)の経済評価(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
レビュアー: 歯職人
「改革」と称するものが勢いを得て、「とにかく改革」「まずは改革」と社会が躁状態に陥る時がある。その時、立ち止まり、思考を積み重ねるためには、知であり学であり、論理が必要となると思われる。
本書は、日本の医療「改革」論議の貧困を照らし出す。耳障りの良い言葉の裏付けの不在、予断による国際比較。
この一冊に、余りに多くの項目を詰め込んだきらいはあるが、冒頭からの章立てと記述を工夫し、読者に医療経済学を伝えることに傾注している。
著者のアメリカで掴んだ現代の医療経済学を正確に日本の読者に伝えたいとの熱意が充満している。
著者の医療経済学者としての成長史、医療経済学の学び方、医療経済学者への道案内としての読み方も可能かもしれない。
著者の兪炳匡[ユウヘイキョウ]先生は、北大医学部卒業後、国立大阪病院で臨床研修を経て、医療経済学を志、1997年ハーバード大学にて修士号(医療政策・管理学)取得、2002年ジョンズ・ホプキンス大学にて博士号(PhD、医療経済学)取得され、その後アメリカでキャリアを積まれた医師であり医療経済研究者。
米国厚生省疾病・管理予防センター(CDC)エコノミストとしても活動され、現在も彼の地で医療経済学の研究・教育に従事している。
(カイカクノタメノイリョウケイザイガク )
「改革」のための医療経済学
ISBN:9784840417594 (4840417598)
263p 19cm(B6)
(吹田)メディカ出版 (2006-08-05出版)
・兪 炳匡【著】
[A5 判] NDC分類:498.1 販売価:\1,995(税込) (本体価:\1,900)
タバコを吸って財政赤字を減らそう!?効率の良い予防医療はかえってコストを高騰させる?岐路に立つ日本の医療選択に必要な科学的根拠とは?最先端の医療経済学から、日本の医療制度改革に警鐘。
1章 忙しい読者のための総括
2章 比較による医療の相対的な位置付け―3つの分類別に(医療問題の3つの分類;コスト(医療費)の比較
アクセス(医療へのかかりやすさ)の比較
医療の質の比較)
3章 医療経済学に何ができるのか(誤解を解くための医療経済学の定義;医療と経済学の関係―妄信でも嫌悪でもない冷静な距離のとり方;専門大学院(プロフェッショナルスクール)で求められる教育)
4章 医療費高騰の犯人探し(疑われた5要因はいずれも犯人格としては小物―最大の黒幕は医療技術の進歩?;人口の高齢化が医療費に与えるインパクト ほか)
5章 改革へのロードマップ(制度改革の前に明らかにすべき価値基準;5つの効率の基準とその改善案 ほか)
兪炳匡[ユウヘイキョウ]
1967年大阪府に生まれる。1993年北海道大学医学部卒業。1993~95年国立大阪病院で臨床研修。1997年ハーバード大学にて修士号(医療政策・管理学)取得。2002年ジョンズ・ホプキンス大学にて博士号(PhD、医療経済学)取得。2002~04年スタンフォード大学医療政策センター研究員として高齢者介護制度の国際比較研究に従事(2004年以降非常勤研究員)。2004~06年米国厚生省疾病・管理予防センター(CDC)エコノミストとして遺伝子スクリーニングを含めた予防医療の経済評価に従事。現在はニューヨーク州ロチェスター大学医学部地域・予防医学科助教授として、医療経済学の研究(特にインフルエンザ予防接種の経済評価)・教育に従事。関心領域は、高齢化が医療制度に与える影響の国際比較、予防医療(特に予防接種・スクリーニング)の経済評価(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)