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札幌・円山生活日記

「円山別邸」(その3)

「北海道の上質のナチュラルチーズと世界のワインによるワインペアリングで寛ぐあなたの別邸」を謳うチーズフォンデュ&ワインの「円山別邸」。オーナーソムリエの田中さんのチーズとワインへの熱い想いを感じながら頂くワインと料理は格別です。築約90年の古民家レストランでの心よりのおもてなしも心地良いひとときです。

本年最初の外食で「円山別邸」にランチを予約して参りました。実は昨年末のBistro maruyama ハル」や「和仏料理 手打蕎麦 坂」で使用した「令和3年度札幌市飲食店未来応援クラウドファンディング」の「札幌飲食応援お食事券」 の存在を知ったのは「円山別邸」からのメールでした。“こんな美味しい話はない”と早速食事券を購入したのですが「円山別邸」の予約は新年早々のこの日となりました。店の場所は地下鉄東西線「円山公園駅」から徒歩5分ほど、「円山公園」にほど近い路地を入った隠れ家的なところです(地図)。店に足を運ぶのは昨年2月に「テイクアウト限定メニュー;クリーミーなピラフ」を受け取りに来て以来です。 

「円山別邸」への道順です。地下鉄東西線「円山公園駅」を降りて「大通り」を「円山公園」に向かいます。公園には入らず正面入り口の手前を道なりに右折します。
しばらく歩くと左手に「米国総領事館」とその警備詰め所があり、手前に「円山別邸」の表示がありますので右折し路地に入ります。「米国領事館」が写真に写り込むと警護の人に削除を求められます。気を付けましょう。

路地の奥、駐車場の一角に店があります。築約90年の古民家を改装したお店とのこと。雪下ろしが大変でオーナーソムリエの田中さんによると自分でやって怖い想いをしたことがありそろそろ業者に頼もうかと思っているそうです。

玄関のドアを開けると二階に続く階段に置かれたシャンパンの空ボトルが迎えてくれます。

「こちらのお部屋を用意いたしました」と案内されます。半個室空間です。

席には名刺の裏に書かれたウェルカム・メッセージがテーブルセットに置かれていました。

築約90年の古民家は昔は円山地区の郵便局長さんの家だったとか。使われている窓ガラスは建築当時のもので割ると二度と手に入らない大事なものだそうです。


店は方針として完全予約制で1日2組限定。この日のランチ我が家1組でカーテンの向こう側のテーブルは空いています。仮に2組同時でも半個室なので安心です。田中さんからも「宜しければマスクも外してお寛ぎください」とのお言葉。

本日の予約は【ランチコース-C】(前菜+野菜スープにラクレットチーズを添えて+北海道のチーズフォンデュ(ミニサイズ)+北海道産霜降り和牛の溶岩プレート焼き)。1名税込み3,520円。加えて「ワインペアリング」同2,640円に「ノンアルコールペアリング」同2,310円を各×1。

料理がスタートする前に店の方針が田中さんより説明されます。「料理とワインのマリアージュという言葉があるようにワインは食事の大事な一部、調味料のようなもので、和食のお刺身と醤油のようなもの。ワインが有ると無いとでは料理の満足度が全然違うので自分(田中さん)が最適と思うワインを用意しています。またアルコールがダメで悲しい想いをした方のために厳選したノンアルコールのペアリングコースも用意しております 」とのこと。情熱的に語ってくれました。

まずは前菜の「オホーツク産帆立貝の冷製・林檎のジュレ添え」。ワイングラスを器にして供されます。ペアリングのカナダのスパークリング(後述)にほのかな林檎の香りがするのでジュレも林檎にしたとか。
帆立は少し炙って香ばしさを出しています。林檎のジュレも林檎の香りは仄かです。


ペアリングはカナダ・ナイアガラ産「13thストリート キュヴェ ロゼ NV/13th Street Winery - Cuvee Rose NV」。ぶどうはシャルドネとピノ・ノワールが半々でキメの細かい泡立ちに生産者のワイン造りへの情熱を感じるとか。
ノン・アルコール・ペアリングは「ベリーのスプリッツァー」。酸味の爽やかな色鮮やかなドリンクです。


次はじゃがいものクリームスープ。温められたラクレットチーズが目の前で添えられます。
「じゃがいものクリームスープ・ラクレットチーズ添え」。
ラクレットチーズは十勝・新得町「共働学舎 」の世界コンテスト優秀賞ものだとか。ハードタイプでは癖のない味わいということですが存在感のあるチーズです。

次のチーズフォンデュに合わせたワインは米国・加州産「メナージュ・ア・トロワ・シャルドネ/ Menage a Trois Chardonnay 2019」。チーズ料理との相性が最高の力のあるシャルドネだそうです。
ノンアルコールは徳島県秘境の乳酸菌発酵させたお茶ドリンクにクエン酸を加えてものとか。乳製品に合うノンアルコールのワイン的な飲物がなく知人の伝手で見つけた乳酸菌発酵茶を使っているそうです。食べ物・飲物への深い情熱を感じます。

「チーズフォンデュ(ミニサイズ)」。
チーズはオホーツク興部町「富田ファーム」のエメンタールとグリュイエールタイプのチーズ。自家製有機生乳を原料に手作りで仕上げる高品質チーズだそうです。濃厚というよりも生乳のコクを感じる爽やかなチーズです。
ちなみにパンは「ドンクDONQ」のバゲットで気泡の入り方がチーズフォンデュに丁度良いそうです。
最後に鍋に残ったチーズをこそげとってくれます。最後のオコゲが美味いと。

肉料理に合わせた南仏ラングドック地方産「ジェラール・ベルトラン アール・ド・ヴィヴレ ラングドック ルージュ/Gérard Bertrand Art de Vivre Languedoc Rouge2015」。ぶどうのムールヴェードル、シラー、グルナッシュのバランスが良い飲みごたえのある赤ワインです。 

こちらは「ブルーベリーと緑茶カテキンのワイン風カクテル」。もちろんオリジナル。ノンアルコール・ワインはどんな製法での糖が多く残って肉料理には合わないとか。“肉に砂糖をかけて食べるようなものです”ということで田中さんご自身で創作したカクテルだそうです。最初はノンアルコールのペアリングは今多く売られて売る市販のノンアルコールワインが出て来るかと思っていたのですが田中さんの味覚に合うものは無かったようです。この拘りにも感服しました。

「白老牛の溶岩プレート焼き」。
赤身と脂身のバランスが丁度良い牛肉だそうです。
溶岩プレートの上で軽く炙るような感じで自分で焼きます。 
やはり良い牛肉はレア気味が美味しいでしょうということでこんな感じ。味付けは塩のみ。牛肉の旨味が堪能できる料理です。


コースに追加のデザート。「ベルギー産ビターチョコのアイスとピスタチオのアイスの盛り合わせ」。コーヒーとセットで1人前880円(写真は2人前)。
アイスはともに濃厚で土台の爽やかな生クリームのメレンゲが良い感じでした。
最後にコーヒーをいただき満足のランチが終了しました。

これはこれは「円山別邸」の魅力を再認識した訪問でした。まずは円山公園に近くの隠れ家のような古民家レストラン。ロケーションと雰囲気は最高です。それに田中オーナーソムリエのチーズとワインはじめ食材にかける強いパッションと愛情に裏打ちされた味わい深いワインと料理です。それらを総合した格別のひとときが味わえる店です。それゆえに10年以上もこの地で多くの人に愛されてきたのでしょう。大変良い店でした。ご馳走様でした。

「円山別邸」
住所:〒064-0820 札幌市中央区大通西28丁目3-17【予約制】
TEl:011-215-5584 席数:4人掛けテーブル3卓 定休日:火曜日
(2021.1.5訪問)

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