なぜ就活がうまい人は大成しないのか…養老孟司が「食えない職業」と言われた解剖学者になったワケ
2023/11/26 09:15
(プレジデントオンライン)
PRESIDENT Online 掲載
自分の進路はどう選ぶべきなのか。解剖学者・養老孟司さんは「あまり今の世の中に合わせないほうがよいだろう。たとえば『景気のいい企業を選ぶ』というのはよくない」という。講演録をまとめた『こう考えると、うまくいく。〜脳化社会の歩き方〜』(扶桑社)より、一部を紹介する――。
■子育ては世の中に合わせないほうがよい
私は解剖を専攻しましたが、東大医学部で解剖を始めたころは、解剖なんて時代遅れだという感じでした。死んだ人なんか調べて、いまさらわかることありますか、と言われました。
解剖学なんて400年も500年も歴史がありますから、玄人でもそういうふうに言っていました。今さらそんなことをやったって何もわからんでしょうと。そういう仕事をやっていましたが、一周遅れのランナーということで、おかげでずいぶん得をさせていただきました。
余計なことかもしれませんが、子どもさんをお育てになるときに、将来のことなんかお考えになるときに、あまり今の世の中に合わせないほうがよいと思います。これは大学の教師がよく言っていることですが、就職を考えるときが典型的にそうで、若い人に選ばせると、そのときに景気のいい企業に入る、これは有名な話です。
■景気のいい企業も、数十年後には不景気に
僕が学生のころもそうでして、僕が学生のころに景気のいいところ、あったんですが、それが今になると、どうしようもない不景気なんですね。40、50年先なんてとても読めませんから。むしろ一番いいのは、どういう時代になっても人間のすることを考えてみることで、これなら大体わかる。当たり前ということはわかるので、何がつぶれて何がつぶれないか、つまり、流行りとは何かということが何となくわかってくる。
要するに、「身に付いたものが財産である」ということです。私の母は極端な人でしたが、そのことを私が医者になる前に話してくれました。
ハンス・セリエというオーストリアの医学者がいます。皆さんストレスという言葉をご存じだと思いますが、ストレスという言葉は、じつはセリエがつくったんですね。ストレス症候群という言葉をつくりました。
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