あこぎな人、あこぎな商売、と聞けば、何やら強引で強欲なイメージの言葉になっていますが
この言葉の語源、それが能楽「阿漕」で解き明かされます
阿漕とは、そもそも三重県津市の「阿漕ヶ浦(あこぎがうら)」と言う地名です
能楽では
その昔伊勢神宮専用の漁場だった阿漕ヶ浦に、強欲な漁師が何度も密猟を行い
最終的には捕まって簀巻きにされて海に沈められ
地獄でその罪のための責め苦にさいなまれる様子が描かれています
周囲の制止をよそに何度も密猟を繰り返したことや、それが強欲に起因しているとされることから
しつこく・ずうずうしく・あくどい事や無慈悲なやり方など
「あこぎな人」「あこぎな商売」などという今につながるイメージが出来上がっているようです
が!
今回、演能を前に調べてみますと
地元、三重県津市にはこんなお話が残っていました
阿漕の平治という猟師が、病気の母親のために、密猟区でしか手に入れられないお魚を釣りに行ったのでした
病気の母親は、平治の釣ってきた魚でだんだんと元気になっていくのですが
たび重なる密猟がお上の知るところになり、平治は捉えられ簀巻きにされて海に沈められます
一人残った母親も、ほどなく亡くなってしまう・・・
親孝行の平治の悲しいお話だったのです
このように、能楽や一般に知られるお話の裏に、それぞれの地元などではしみじみした人情話が隠れていることが多いのですね
「紅葉狩」なども成敗する側から書かれた能楽と地元の伝承とでは逆な扱いになっていたりします
これからは、能楽公演に合わせて、曲にちなんだこぼれ話なども拾い集めてご紹介したいと思いますので
お楽しみに~
それにつけても、
あこぎなのは「平治」を捕まえちゃって、母親を死に追いやった側にあるような
昨今の都会の孤独死のニュースなどともリンクするような気がいたします
あこぎなのはどっちなんだ?
思えば能楽は時の施政者の保護を受け続けた芸能
ったく政治家なんつぅもんは!←おいおいっ
などということにも思い至ったりしております
ココまで読んじゃったあなた!
古い芸能だと思われる能楽の中に描かれている世界は
意外と今の年金問題にもつながっている(ムリヤリ・・・)
見にいらっしゃいませんか~
お待ちしてます<(_ _)>
あ、すみません、これを書いているのは、
能楽師本人ではなく、変な嫁です
お含みおきくださいまして、こじつけ論ご容赦くださいませ