豚熱(旧称豚コレラ)は養豚農家にとってはとても恐ろし伝染病です。最近、豚と同じ種である野生のイノシシの感染が広がりました。
伝染力が強く糞尿、唾液、感染個体への接触などで伝染し、とても致死率が高いそうです。
この病気はヒトには感染せず、肉や内臓を食べても影響はないそうですので安心しました。
高知県内では2022年9月、56年ぶりに野生のイノシシから豚熱が確認されたと報道されました。
高知県としては、2021年10月以降は生後40日ごろの豚全頭にワクチンを接種しているとして、飼育豚の移動や搬出は制限していません。
私は狩猟免許を持つワナ猟師で、捕まえたイノシシが異様に痩せて衰弱していたことや、やせ細って動きも緩慢な野生のイノシシに何度も遭遇してきました。
①22.8.18 健康体のイノシシ
②22.8.27 健康体のイノシシ
③23.4.7、やせ細ったイノシシ
最初に異常なイノシシに出会ったのは③の画像のイノシシで、庭先に仕掛けていたくくり罠に掛かっていたものです。ふつうイノシシが罠に掛かると、足をくくったワナのワイヤーが届く範囲を暴れまわり、土を掘りまくります。大きな穴を掘るのです。ところがこのイノシシはほとんど暴れた形跡はなく、私と出会っても暴れようとしませんでした。
ははあ、こいつは病気なんだと思ったことでした。そのときはまだ、豚熱のことは頭にありませんでした。当時、食肉処理業、食肉販売業の許可をもっていましたので、保健所から豚熱のことを知らせる通知書を受け取って、はじめて、あのイノシシは豚熱に感染していたのではないかと思ったことでした。
2024.4.8、ミカン畑への道中、おかしな所作をする若いイノシシに出会いました。それほど痩せてはいませんでしたが、普通だとイノシシはヒトと出会うとダッシュして逃げます。それはもうイノシシの本能で、彼らはギャートルズの時代から、美味しいお肉の持ち主としてヒトに狩られていたのです。当時から今まで、最高に恐ろしい天敵がヒトなのです。出会ったイノシシは軽トラに出会ってもキョトンとして逃げようとはしませんでした。動画を撮ろうとスマホを構えて、撮影しながら近づいていくとやっと踵を返して逃げ始めました。それも、トコトコというスピードで少し進むと立ち止まって振り返るのです。こうした行動を繰り返して、たっぷり撮影させてもらいやがて山にゆっくり登っていきました。
こいつも豚熱にかかっているのだなと思ったことでした。
④2024.7.16 健康体の若いイノシシ
④の個体はミカン畑の中に仕掛けたワナにかかったイノシシです。肥って脂肪たっぷりのイノシシでした。
7月に入って、道路脇の落ち葉が積もった所をイノシシが掘りまくってカンタロウやドバミミズを捕食しています。おかげでカンタロウを捕まえることが難しくなりました。雨の後、よく出てきていたのですがまったくいなくなりました。
⑤
⑥
24.6.29、画像⑤、⑥は我が家の下、お隣さんとの間にある廃屋が撤去された宅地でイノシシがミミズや虫を探したもので、ヌタもしています。これは大イノシシの痕跡で健康体のイノシシでしょう。
7月末の現在、山の道路やミカン畑で一歳未満の子どものイノシシにほとんど毎日のように出会います。単体であったり2匹一緒であったり、どちらかといえば健康体のほうが多いように思います。親イノシシと一緒のはずですので、親子ともども健康なイノシシでしょう。一方、7月25日から、毎日、家の近くや市道で出会うイノシシがいますが、それは痩せこけていて、動きも緩慢で明らかに病気であることがわかるイノシシもいます。
⑦2024.7.25撮影
⑧2024.7.9 撮影
⑨2024.7.9 撮影
この若い雄イノシシはおそらく豚熱に感染しているのでしょう。この伝染病の猛威にイノシシの個体数は激減しています。それでも健康体のイノシシも結構います。これまでひどい被害を被ってきた農家として、あまり増えてもらいたくないのですが、絶滅までは望みません。
歳をとって気力、体力が衰えた今、ワナに大きなイノシシがかかるのは歓迎しません。恐ろしいのです。
若いときは、恐ろしいなどと思ったことはなく、数百頭のイノシシをすべて一人で、ナイフ一丁で仕留めてきました。昨年、初めて鉄砲撃ちの助っ人を頼みました。雄の大型でした。これは正解でした。くくった足の関節が半分切れていました。一人でやっていると足を切ってやられていたことでしょう。
若い時、鉄砲の免許とっといたらよかったなあ。
歳はとりたくないもんだなあ。
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