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*王子様とかくれんぼ シド編*

2015-04-12 16:42:28 | イケメン王宮☆王子様とかくれんぼ


イケメン王宮のイベント「王子様とかくれんぼ」


シド編です




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私はひとり、薄暗い時計塔の階段を上る。

(誰もいないし、少し怖くなってきたな…)

不安な気持ちで足を進めていると…―

「……!」

時計塔の上から足音が聞こえてきた。

足を止め、息を飲む。

(誰か来る……?)

近付いてきた足音の先にいたのは……

シド「………」

「シ、シドっ……」

私に気がついたシドがふっと眉を寄せる。

シド「あ?お前こんなとこまで来たのか」

「う、うん…」

私はどきどきと音を立てる胸に手を当てる。

その様子を見てか、シドはふっと笑みを零した。

シド「そんな怖がりが、よくここまで来れたな」

シド「だが……」

シドが階段を下り、私を見下ろす。

シド「見つかった以上、このまま帰すわけにはいかねえ」

にやっと口角を上げ、私の身体をふわりと横抱きにする。

「ちょっ……」

なす術もなく、私はシドに抱かれたまま階段を上がっていく。

時計塔の頂上まで来ると、シドは私をそっと下ろした。

広がる景色に、私は思わず目を瞬かせる。

城下町の向こう側に見える森が、

春の訪れを感じさせるように、色とりどりの花々で綺麗に色づいていた。

(綺麗……)

シド「その顔、最高だな」

私の隣に並んだシドが、ふっと笑みを浮かべる。

「この景色を見せるために、連れて来てくれたの…?」

シド「さあな」

曖昧な言葉に、私はつい警戒してしまう。

(何か目的があったりして……)

シドは見透かしたように、私を見て大きく笑った。

シド「俺が何かすんのかと思ってんのか?」

そして、私の瞳をぐいっと覗き込んだ。

シド「だったら、お前の希望通り」

シド「今から何かしてやっても、いいけどな」

「結構ですっ……」

また大きく笑うシドが、私の頭をくしゃりとした。

柔らかな風が吹き、シドの髪が揺れる。

シド「…こんなとこで、何もしねえよ」

そう言ってシドは景色に目を細める。

(もうっ……)

私は乱された髪を押さえながらも、広がる景色に心を震わせていた…―



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おわり


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