理解できんこの世の中

平和な日本、安全な日本。でも不満がいっぱい。理解しがたいことを考えます。

BSE-米国産牛肉輸入再開は大丈夫?!-特定危険部位(SRM)

2005年03月14日 23時14分32秒 | BSE関連
日本は現在BSE検査を全頭行っているが、「20カ月齢以下はOKの根拠」のとおり全頭検査を行っても完全ではない。検査精度に限界があるからです。
全頭検査の賛否は色々あるが、どちらかというと否定派の意見の中に、検査を行う事よりも、危険な場所を切って取る方が重要であるし、その方がリスク回避には効率的であるという意見がある。
もっともですね。ただし、危険な場所が間違えなく特定でき、完全に除去できればの話しです。
現在、日本で特定危険部位と呼ばれている部位は次のとおり。
すべての舌と頬肉を除く頭部、扁桃、脊髄、脊柱、回腸遠位部
ここで、日本でと但し書きしたのは、海外では特定危険部位が違うからです。
ちなみに、アメリカでは
30ヶ月歳以上の牛の頭蓋、脊髄、脊柱(扁桃、小腸においてはすべての牛から除去)
EUでは
12ヶ月歳以上の牛の頭蓋、脊髄、脊柱(扁桃、腸、腸間膜においてはすべての牛から除去)となっています。
まぁ大きな違いは、月齢指定があるかないかでしょうか。それにしても細部が微妙に違います。特に私の大好きな腸部分は微妙ですね。アメリカやEUの基準では牛ホルモンは危険となっています。
このことに関して、2004年5月に当時の亀井農水相が「この背景につきましては、羊のスクレイピーにおいて腸に感染性が確認されていることや腸を食する習慣のない国、回腸遠位部のみを摘出管理することが実際的にないことと聞いているわけでありまして、牛のこの回腸遠位部以外の腸にBSE感染性は認められておらないわけでありますが、我が国においては腸を食する習慣もあることでありまして、現時点としてはこの規制を見直すということについては厚生労働省の問題にもなるわけでありますが、見直しをするということはなかなかこれ考えにくい話だ」と述べている。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04062101.htm

なんだか、経済的”へ理屈”で科学的とは言いがたい理由です。まぁ農林大臣に科学的見地を聞こうとは思いませんが・・・・

また、「農水省系の動物衛生研究所プリオン病研究センター(茨城県つくば市)は国内11例目のBSE(牛海綿状脳症)感染と確認された北海道の乳牛の末しょう神経と 副腎から、病原体の異常プリオン(たんぱく質)を検出したと発表した。」のです。あれれ?まぁごく少量だそうですけど。
異常プリオンは、蓄積が進むと末梢神経にも存在することが確認されています。特定危険部位に存在するのが99%でそれ以外が残りということらしい。だとすると、危険な部分なんて除去しきれる訳ないではないですか。まぁ神経質になることはない量でしょうか。実はそうでもないのですよ。どのくらいの異常プリオンを摂取すると感染するかが重要ですから。
続きままた明日

BSE-米国産牛肉輸入再開は大丈夫?!-20カ月齢以下はOKの根拠 Part2

2005年03月11日 23時02分45秒 | BSE関連
3月11日、食品安全委員会は、BSEの全頭検査を21カ月齢以下に範囲を緩和しても汚染度は変わらないという見解を示した。
でも、ちょっと待てよ。これまでに発見されたBSE感染牛の最低月齢は21カ月齢。21カ月齢の牛は感染しても、20カ月齢の牛は”ほとんど”感染していない、というのは素人ながらよく理解できんなぁー。
ちなみに、21カ月齢と20カ月齢の差っていうのは、実は30日ではなく、最短では1日しかないんですよ。
月齢の計算方法は決め方によって何種類かあるけど、例えば1カ月齢を30.4日(365日÷12か月)とすると
生後639日の牛は639日÷30.4日で21.02カ月齢となり、BSE検査必要となります。
だけど、生後638日の牛は638日÷30.4日で20.99カ月齢となり検査免除となります。この差1日。異常プリオンの蓄積量がこの1日で劇的に変わるわけじゃないよ。
たしかにどこかで区切りをつけようという発想はわかりますが、21カ月齢でBSE感染牛が判明していることを考えると、20カ月齢に区切りを求めるのはかなり乱暴であるとしか言いようが無い。
これまでの食品安全委員会の中でも、21カ月齢で感染が判明した牛が、20カ月齢、あるいはそれ以下の時点でBSE検査した場合、判明したかどうかわからない、としていた。
そう、もしかしたら20カ月齢以下の時点でもその牛は感染が判明したかもしれないのである。
世界的にみても20カ月齢以下の感染はほとんど判明した例が無いようであるが、そもそも、そんな若い牛は検査していないのである。アメリカは死亡した「へたり牛」の一部しか検査していないし、ヨーロッパでも30カ月齢以上しか検査をしていない。
これでは、20カ月齢以下の感染例が見つかる筈ないではないか。

更に、今後BSE検査精度がどんどん向上していくと考えられる。
実際、東大と伊東ハムの研究で、より短時間で検査結果がわかるようなチップが開発されている。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050304AT2G0401204032005.html
短時間で結果がわかるということはすなわち、少量の検体で検査が行える、検査精度が向上したということである。

また、北海道大電子科学研究所の研究では、血液検査でBSE判定が可能となったとしている。
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/03/2005030501000046.htm
血液中に異常プリオンが存在することは、あまり一般的に知られていなかったかもしれないが、輸血などでBSEは感染しているのである。しかし脳などの特定危険部位(SRM)に比べると異常プリオンの存在量は極めて少なく、これまで検査できなかったのである。
しかし、血液検査でいいとなるとこれは革命である。ノーベル賞ものだね。検査精度が大幅に向上しているばかりではなく、なにより牛が生きているうちに検査ができるのである。まぁここでも異常プリオンの蓄積度合い、即ち月齢などが課題となるだろうが、明らかに検査精度は向上の余地をみせている。

さて、これまでの検査方法では20カ月齢以下の牛は検査対象から除外してもリスクは増加しないとした今回の食品安全委員会の見解、今後、検査精度が上がった時、どうするんでしょう?
例えば「15カ月齢以上なら血液検査で結果がわかるよー」となった時は?
そう遠くない将来にはそういう時代がきますよ。
「やっぱ、検査できるようになったから、全頭検査再開しまーす」なんて安直な政策転換をするのでしょうか?

もっとドツボにはまりそうなのが、今回の決定を受けての米国産牛肉輸入再開です。
20カ月齢以下は輸入OKとした場合、「検査精度が上がったから、やっぱり15カ月齢以下に変えるわ」なんてできないよ、絶対。

だから、米国産牛肉の輸入再開は、20カ月齢以下は検査できないから、検査しないでも輸入OKなんて話じゃなく、20カ月齢以下は安全だからOKという科学的根拠が必要なのではないかな。

明日以降、特定危険部位について考えよう。

BSE-米国産牛肉輸入再開は大丈夫?!-20カ月齢以下はOKの根拠

2005年03月10日 16時53分37秒 | BSE関連
政府は、米国との輸入再開協議の中で、「20カ月齢以下の牛はいいでしょう」という回答をし、牛肉輸入再開は大きく前進したかに思われた。
しかし、フタをあけてみると、実はアメリカでは「この牛は20カ月齢以下です」と結論づけできる根拠がまったく存在しない。
ここで、話が変わってきた。「アメリカの牛肉は安全か」ということを議論するはずが、「どうやって20カ月齢以下を見分けるか」ということになってしまった。

まあ、政府は、米国との協議で「20カ月齢以下の牛はいいでしょう」と言ってしまったのだからいたしかたないのであるが。

20カ月齢以下はOKの根拠は、平成16年9月に食品安全委員会が出した「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について-中間とりまとめ-」が根拠となっている。
http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/index.html

日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について-中間とりまとめ-[PDF]

(参考)食品安全委員会における牛海綿状脳症(BSE)問題の調査審議について[PDF]


この報告では「BSE 感染牛が、潜伏期間のどの時期から発見することが可能となるのか、また、それが何ヶ月齢の牛に相当するのか、現在のところ断片的な事実しかない」としている。
また、「BSE 感染牛9 頭のうち、21、23カ月齢の2頭のBSE 感染牛が確認された事実を勘案すると、21カ月齢以上の牛については、現在の検査法によりBSE プリオンの存在が確認される可能性がある」とし、「20カ月齢以下のBSE 感染牛を確認することができなかったことは、今後の我が国のBSE 対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実である」と結んでいる。

さて、この報告の中から「20カ月齢以下は安全である」とと言えるでしょうか?
まったく無理である。
20カ月齢以下はBSEを発見しにくいということを、今後の政策では留意するべきであると言っているにすぎない。結局20カ月齢以下ではBSEかどうかわかりにくいといっているだけなのである。

BSE-米国産牛肉輸入再開は大丈夫?!-はじめに

2005年03月10日 16時31分20秒 | BSE関連
アメリカからの牛肉輸入再開に対する圧力が強まっている。日本は20カ月齢以下に限って輸入再開を了承しているのに、いったいいつから再開できるのか?

日本では、食品安全委員会でその是非を検討しているが、米国の要求-報復もあるぞ-や政府の政治的かけ引きと世論の狭間に揺れ動き、結果を出すのは非常に難しい事態となっている。この検討委員になってしまった人の心情を察するに、深く悲哀の念を感じざるを得ないが、ことは国民の生死がかかっているので、早急に正しい結論をだしてもらいたいものだ。

国会での政府の見解を報道等で聞くと、米国で20カ月齢以下の牛をいかに見分けるかということに論点が集中してきているようであり、20カ月齢以下の牛は「安全と考えて当然」と考えられるやに聞こえるが、本当は「米国の牛は安全か」ということを議論すべきである。
ここでは、項目を分けて「米国の牛は安全か」ということを考えてみる。

・20カ月齢以下はOKの根拠
・特定危険部位とヤコブ病
・吉野家報道
・国内牛肉の安全性と全頭検査

などなど