中学から高校生の時
海南市井田の鍛冶屋で
よく「むこうづち」-向こう鎚-を
しました。
祖父の向かいに中腰で立った感じで長柄のハンマーを
振り上げて、金床にある
真っ赤な(オレンジ色)の鉄の塊に振り下ろして
伸ばしていくものです。
簡単にいえば、助手が使う長柄の大づちを向う鎚と呼びます。
やってみればわかりますが
祖父がコンと槌で叩く場所を合図してくれて
そこをたたきます。
でも私も言葉で教わったわけではなく
祖母の手伝いをずっと観ていて、槌の下ろし方、リズム
打ち下ろすところなんかを「氣」で感じていたので
実際にやってみて、なんとか少しずつできるようになっていきました。
ただ、初めてやったときは、練習なんかはありませんでした。
だからコツが呑み込めず、あまりに下手だったので5回~8回打っただけで
祖母にかわりました。
商売モノなので出来がすべてだから
私もこりゃイカンと祖母のやり方を真剣にみていたことを思い出します。
「氣」というのは、難しいものでは無く、
鍛冶場の「雰囲気」のことです。
氣=雰囲気
これだけは、ブログでいくら書いても、言葉ではわかりません。
その場にいないと伝わらないモノです。
その雰囲気を感じとることが、見て学ぶということです。
私が鍛冶屋がなぜ好きだったかというと
母が鍛冶屋になりたかったので、
鍛冶仕事のことを詳しく話してくれたからで
ただ、母は真剣に弟子入りしようとして
祖父に断られたと言います。
女はダメだと・・・
今だったら差別だというところでしょうが、
祖父の考えはいまとなっては知ることができません。