終末医療に携わっている人が書いている本をちらっと立ち読みした。題名ははっきり覚えていないのだけど「死ぬときに後悔すること」みたいなタイトルだったと思う。
人間はみないや命あるものはいずれ皆死んでいくんだけど、そういうことを日常気にしているかと言えばそんなことはない。
生まれたら死に向かって歩んでいると言っても良いのが人生だけど、普段は「死」なんて身近に感じて生きていたりしない。
私のガンが発見されたのは母がガンで亡くなった翌年だった。
母を亡くし毎日ため息ついて毎日「会いたいな~~」って思っていた私に、意外な形で「ひょっとしたら会えますよ」みたいに渡されたのがガンというチケットだった。
ガン告知の時真っ先に思ったのは「え~~!!母に会いたいと思ったけど死にたい訳じゃないよ~」だった。
身内が亡くなって身近に思えた「いずれは死にゆく」という現実が目の前に一気にハイジャンプしてきてしまった。
告知の時頭は真っ白になり「うそ~~??」の台詞が頭をぐるぐるしてた。
それからは手術、抗ガン剤、放射線とベルトコンベアにのった治療で忙しくて体を立て直すことに必死で
返って溜め息つく暇は無くなった。。。
身近に「死」を意識したとき、確実に自分の中で何かが変わっていった。先延ばしにする性格も「今日やれることはなるべく今日やっておこう」になり、5年後、10年後どうなっていたいかというビジョンもそれなりに持てるようになった。
たぶん、病気になっていなかったら5年後なんて子供がいくつになってるとかそんなことしか考えてなかったと思う。
どちらかといえば受け身の人生が楽だったけど攻めの人生にしようかなんて考えるようになった。
明日がいつまでも来る訳じゃないって思ったからだ。
病気だから歳だから、もう働かなくなって久しいからとか言い訳ばっかり考えて尻込みせずに仕事に就きたいって希望も持とう。
行きたいところに行って会いたい人には会っておこう。
再発してよりそういう思いになった。
誰だって人生には期限がついている。それは同じなんだ。でも私はガンにならなければばあさんになっても気がつかなかったかもしれない。明日が必ず来るって信じて疑わずに。
鬱にもなってしまったので日々有意義にとはなかなかいかない日もあるけれど、死ぬ前に「あ~しときゃよかった、こうしておけば良かった」って思うことを少なくしていこうと思ってる。