私の本棚

※読書感想メイン

誰もボクを見ていない/山寺 香

2021-06-12 | ルポルタージュ




まともな義務教育を受けることができず、ラブホテルで生活をし
お金がなくなれば、野宿生活をする。
お金は全て少年の母親が、ゲーム代に使い果たす。

そして・・・

所持金がない幸子は我が子に、祖父母を殺害し、金品を奪うことを強要。

映画化されるまで、私はこの事件を知りませんでした。
孫が祖父母を殺害する事件は最近でも起きていて
北海道でも孫が強盗目的で祖母を殺害した事件が起きたので
そのルポタージュだとばかり。

母親、幸子のお金の使い方がとにかくだらしがなさすぎる。
お金を自由に使えるのは独身のうちだけで、結婚をすると大抵は生活に充てがうはずなんだけど
幸子は自分の娯楽のために使ってしまうため、1ヶ月のお給料があっという間になくなってしまう。
お金がなくなると、親戚や両親からお金を借り、借りたお金はゲームに注ぎ込んでしまう

仕事をする訳でも家事をするわけでもなく、食事も作るわけでもなく。
ほんとうであれば、幸子がやらなければならない家事を、事件を起こすまで少年が全部担っていたのだ。

母性も全くない

幸子がお金を使い込んでしまうため、一回り離れた妹のミルクを買うこともできず
少年が牛乳を盗んで飲ませたこともあったそうです

幸子が再婚した相手から暴力を振るわれ、性的虐待にも遭っているにもかかわらず
それを助けようともせず、ゲラゲラと笑って見ている。
それでも少年が我慢してきたのは、母親への依存が強く、捨てられたくない思いがあったからだ。

幸子の幼少時代の家庭環境が詳しく書かれてはいないので、どんな環境で育ったのかはわかりません
ただ、少なくとも幸子は親から虐待を受けて育ったわけでもなく
特別甘やかされて育ったわけではなさそうです。

大体親が我が子に虐待をするのは、自身の家庭環境に問題があり
同情の余地があったりするものだけど、幸子に至っては全く同情ができなかった
我が子に自分の両親を殺害し、金品を奪うことを強要させておきながら
殺人は立証することができず、わずか4年で刑期を終えて帰ってくることは納得がいかない。

とにかくムカムカしながら読んだのですが、読みながら2人の知人が浮かびました

この幸子と唯一違うのは、2人とも働いている(または働いていた)と、言うこと

それ以外は、幸子そのものだと思う

仕事を終えると子供を家に残し、パチンコに向かってしまう。
お金がなくなると、夫名義のクレジットからお金を引き出し
パチンコに注ぎ込む

足の踏み場もないくらいに家の中は汚れていて、泥棒が入ったような状態。
ご主人(知人の息子さん)は仕事柄帰りが遅く、出張で2、3日家を開けることが多いため
母親に子供の様子を見に行って欲しいと頼むこともあるそうです。

お子さんはまだ未就学児童なので、自分でご飯を作ることもできず
家にあるお菓子を食べて空腹を紛らわすのだけど
そのお菓子を食べたと言って激怒し、子供を怒鳴り散らしているところに出くわし
いたたまれず知人は、孫を家に連れて帰ってきたこともあったそうです。

今、離婚に向けて話し合いが設けられているのだけど
女性は自分の両親にに都合の悪いことは話さず、自分に都合よく話をしているのでしょう。
娘がパチンコに依存していることも、孫がどんなことになっているのかも知らないで
詳しい離婚の経緯を知らず、娘から聞いた話を鵜呑みにし、吹聴して歩いているそうです。

相手の父親は同業者で、主人と現場で何度か一緒に仕事をすることがあるのですが
とにかく、あちらの悪口しか言わない。
うちの娘が被害者だと言わんばかりのいいように、腸が煮え繰り返り
何度も「あんたそれは違うぞ」と言いそうになると言っていました。
現在、養育・親権をめぐって揉めています
母親がこう言う人なので、子供の将来を案じ、夫である知人の息子さんが引き取りたいと言っているのですが
相手も譲らず、裁判になりそうだと言っていました。


もう1人の知人もやはりパチンコに依存し、食事も作ったことがない
子供達にはスーパーで買った弁当しか与えないから、
当時高校生だった上のお姉ちゃんがアルバイトで稼いだお給料で、食材を買い
妹たちにご飯食を作ってべさせていたそうです。
ところが、アルバイトで得たお給料を、母親が財布から抜き取ってしまう
どんなに隠しておいても、すぐに見つけ出してしまうので
どうしていいのかわからないと、娘にこぼした話を思い出しました。

また、こんなこともあったそうです。
一番下の妹が、小学校に入るか入らない時に
持病である喘息発作を起こしたことがあるそうです
学校から帰宅したお姉ちゃんが妹の異変に気づき
母親を探したけど見つからず、近所に助けを求め、救急車を呼んだこともあったそうです

今、その母親は、10年以上前に脳梗塞で倒れ自由に出歩きことができずにいるのですが
「家族は何もしてくれない」「自分たちは好き放題に出歩くのに私をどこにも連れて行ってはくれない」と
周囲に愚痴をこぼしたらしく、愚痴を聞かされた知人が
「バチが当たったんだ」と、本人に向かって言ったそうです。

黒川博士は、虐待を繰り返す親への支援の必要性を訴えているのですが
それには反対ではないけど、虐待だけではなく
ゲームやパチンコに依存する人たちを矯正させることも必要ではないだろうか?
そうでないと、第2、第3の少年が産まれるのではないかと思います


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