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東京貧困女子/中村淳彦(著)

2023-04-17 | 書籍


 
2019年4月読了
別の書籍サイトに載せていたものです。
 
 
 読んでいて思ったのは、私や子供達は、如何に恵まれた環境で生活をしていたのか。

親からの支援と奨学金だけではやりくりすることも出来ず、パパ活する大学生。
奨学金を悪用する父親。
親から虐待を受けて育った子供。
元夫からのDV。
精神疾患等々、読むたびに絶望的になり、気分を切り替えるため他のことに興味を持つようにしなければ、気持ちが沈んでしまう。

これは労災認定される案件ではないか?と思う話や、刑事告訴や労働監督署に通報してもおかしくない事例などもあり、それらを教えてくれる仲間が近くにいないことも、不幸を生んでいるのだと思うと、やるせない気持ちになる

ただ、全ての話に同調出来たわけではありません。

正規雇用ではない事に不満を募らせているわりに、司書の仕事に拘り、仕事を選り好みし「自分は悪くない。社会の仕組みが悪い」と言う女性。


また、最初に登場する医大生は、ネットで随分バッシングを受けたようで、そんな彼らに著者は批判的でした。
誹謗中傷は論外として、正直言うと私も何故部活を諦めることが出来なかったのか?と思いました。

大学へ進学したい。

部活もやりたい。
わかるし、理解も出来ます。
ただ、親からの仕送りと奨学金だけではやりくりできないのなら、せめて部活を諦め、その時間をバイトに使えば良いと思うのは、短絡的なのでしょうか?
両方を取るための選択が、身体を売ることも、ありだと思う。
同調出来ないと思ったのは、国が身体を売ることを強要したわけではなく、自分が出した選択なのに、世の中を悲観する大学生と、国の制度問題にしたがる著者に少しイライラしました。

末期ガンの母親のために最先端医療を望み家庭を顧みなかった結果、離縁され、子供からも見放された話も、母親を想う気持ちは分からなくはないのですが、幼い子供を海外に残し、家庭を犠牲にしてまでやることなのか?

精神疾患を患った姉の介護をするため、仕事を辞めた女性の話で、著者は「姉を捨てるべきだった」と言うように、この病気療養の母親の介護でも同じことが言えるのではないか?

「捨てろ」とまでは言わないにしても、他に方法があったのではないか?
ましてや、海外に住む家族を残し、日本と海外を行き来しながら夫の給与の半分を母親の医療費に使うことにも、疑問を抱かずにはいられなかった。
他にも、自業自得が当てはまる事例があり、客観的に考えるように努力しても、国の制度の問題だけにして良いものなのだろうか?
確かに今の日本はおかしくなっているのかもしれないが、著者の主観も強く感じます。


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