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AFRO RITMO MAQUINA 【ARMブログ】

アフロ・ラテンジャズを追求するバンド【AFRO RITMO MAQUINA】の徒然なるブログ

ライブにおけるキーボード考(2)

2005年07月02日 13時21分40秒 | 楽器
Fender Rhodesです。今更説明不要な名機中の名機です。元々ピアノの代用品としてスーツケース型に収納できてポータブルであることを前提に開発された楽器ですが、音に強烈な個性があるため、「Rhodes」という一つの楽器のブランドとして現在も確固たる地位を築いています。その一音を聴いただけで'70年代のサウンドを思い起こしてしまう方も多いのではないでしょうか。それが決して古臭いイメージではなく、現在でも新しい音楽にどんどん使われているところがこのキーボードの素晴らしいところです。
この写真ものは1974年製のFender Rhodes Mark Iで、会社の軽音楽部の倉庫に永いこと放置されていたものを譲り受けました。ARMを始めた1999年9月頃から2002年秋頃迄、キーボード持込「要」の場合はほとんどこれを使用していました。長野県車山に持って行って気温5℃の中演奏したり、仙台では雨降りの中演奏したり、数々の修羅場をくぐりぬけましたが常に素晴らしい音で鳴ってくれました。しかし、ポータブルと言っても重量89kgは重過ぎで、車への積み込み、楽器のセッティングなどに非常に苦労させられるため、じょじょにその出番を失いつつ現在に至ります。
さて、ピアノの代用と書きましたが、発音原理はヴィブラフォンに近いため、アコースティックピアノのつもりで弾くとちょっと問題があります。原理上アタックがピアノより弱く、特に低音はルートを「ゴーン」と叩くつもりが「ブョーン」と鳴ったりします。また機構上ハンマーの戻りが遅いため、早弾きすると独特のモタり感が出ます(単に楽器が古いせいかもしれませんが)。和音は音を少なめに、できるだけオープンヴォイッシングとした方がきれいに鳴ります。倍音が複雑で、コードを弾いているうちに気持ちよくなってトランスできます。ラテンではEddie Palmieriが70年代に多用し、狂気のトゥンバオを弾きまくっています。
個人的な見解ですが、そんなFender Rhodesの特性を最も理解し、最大限にその特性を自分のオリジナルミュージックに適用できたプレイヤーと言えば、Chick Coreaではないでしょうか。音色の違いだけに捕らわれてピアノの代用としてRhodesを弾いていたジャズピアニストが多かった時代に、「Light as a Feather 」などの完成度の高さは素晴らしいものがあります。Rhodesのサウンドを堪能したい方に是非お勧めします。(八巻記)

ライブにおけるキーボード考(1)

2005年06月21日 09時29分25秒 | 楽器

全国10万人のライブ・キーボーディストの皆さんこんにちは。ARM piano 八巻です。

バンドでライブをする場合、とても苦労するのがキーボードの運搬・設置ではないかと思います。特にピアノを使いたいと思った場合、生ピアノが常設されているライブハウスなら問題ありませんが、持ち込みとなると非常に大変です。弾き心地を重視してデジタルピアノを選択するか、それとも軽量なシンセで代用するか悩むところであります。またライブハウスに常設されているキーボードによっては色々なトラブルが発生します。演奏途中で音が出なくなることもあるし、鍵盤が2、3個引っ込んでいるものもあります。しかし、いかなるキーボードでも有り難く弾かせて頂いて、どんな劣悪な状況においてでもバンドをグルーブさせることがキーボーディストの役目であります。

まさにそんなことを実感させてくれるビデオ映像があります。5年くらい前にパーカッションの山方さんが貸してくれた怪しい輸入版の「Salsa Latin Pop Music in the Cities」というビデオなのですが、現在はDVDも出ています。演奏は'70年代後半のTito PuenteのビッグバンドにCharlie Palmieri(piano)が参加したNY South Bronxでの野外ライブで始まります。観客はヒスパニックの人たちで、昼間から酒を飲んだり目付きが怪しかったり、子供から大人まで踊りがうまかったりで、非常に危ない雰囲気の溢れる場所です。ここでの演奏がとにかく凄く、Tito Puenteの疾走感溢れるティンバレスソロはまさに絶頂期のものです。そしてCharlie Palmieriが弾くキーボードは.....たぶん70年代にKORGが出した6重和音くらいのポータブルキーボード(写真参照)でしょうか、音はアナログのウニョウニョした音で音程が辛うじて分かる感じです。鍵盤も2,3個引っ込んでいます。しかし御大Charlie Palmieriはそんなことお構いなしに、ノリノリにトゥンバオを弾きまくります。アクロバット的なプレイも満載で観客の大喝采を浴びます。これがラテンピアニストか!と、まさに目からうろこが落ちる演奏です。他にもラテンプレイヤーの素晴らしい演奏がたくさん入っていて是非一見の価値有りです。

引き続きこのブログでは、私が6年間のライブ活動で弾き倒したキーボードの数々を御紹介したいと考えております。それでは、また。