Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

レリック事情

2011-02-22 20:31:23 | BASS GUITARS

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「何もせっかく作った楽器にわざわざ傷を付けなくてもいいのに」と世間はお思いだがビンテージ好きはチョッと変なのである。

フェンダーも上級クラスはみなレリック。製作者名を入れたカスタムショップ品もみんなそうだ。選び抜かれた材やトップビルダーがセットアップした付加価値にレリック加工という疑似経年変化が加わり、ストラトキャスターやPB、JBの適正価格を3倍に価格を跳ね上げる。レリッカーと呼ばれる専門職人も出てくる始末。

しかしこのレリック、ただ傷をつけるだけではお話しにならない。リアルなビンテージ的風合は数多くオールドギターを見ていないと的外れになる。ハードレリックなどとただ汚いだけの素人作業の代物も多く見かける。SRVの様な仕様はマニア以外手を出さない。でもこの加工はハマればこんなコストがかからない付加価値もない。

批判的な見方をしていてもだめなので自ら3年前に作ったPBにレリック加工を施してみた。作ったときはヴァンザントのようなトップコート吹きっぱなしで磨く仕上げだったがフェンダーにはそんな仕上げは存在しないので、ビカビカのグロスフィニッシュに磨き上げてから作業開始。

エルボー部分は摩った感じを出すため♯800の耐水ペーパーで削り、アンダーコートの白が消えるあたりでやめ♯1500でさすった後コンパウンドで磨き。サイドエッジは棒やすり軽く叩くようにし全体を♯1500の耐水スポンジヤスリで光沢が消えるくらいまで摩る。仕上げに再度コンパウンドでチョッとだけ艶が回復するくらいまで磨いて終了。打痕のまわりを重点的に磨くとよりリアルに。シーラー部分を超えて生木が出てしまったら水性の少し濃いめの着色をするとビンテージ度合いも上がる。

重要なのは下地のフィニッシュを限りなく薄く仕上げること。これをやるのにベストなのがホームセンターで安売りしている缶スプレー。色は限定されるが198円の缶スプレーが一番塗膜が薄い。吹き付けるときにお湯で温めたら圧力が上昇して細かく噴射出来る。アルダーの表面を出来るだけきれいにペーパーをかけプライマー、サンディングシーラー、着色白、赤、クリアトップコートの順に作業していく。フィニッシュに関しては専門サイトがたくさんあるので詳しくはそちらで。

傷は少しずつ付けていくのがコツ。しかし、つい痛めつけたくなってやり過ぎると取り返しがつかなくなるので注意。程よいところで止めるのもセンスのうち。

出来あがってみると何とも50年代のやれたダコタレッドの雰囲気。これって究極の自己満足の世界。意外と病みつきになりそうな世界かも。

でも自身のない人はやめて下さいな。


2 コメント

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写真で拝見する限り、素晴らしいデキ。見事ですね... (shinmei_t)
2011-02-23 10:11:07
写真で拝見する限り、素晴らしいデキ。見事ですね。充分レリッカーだと思います!うちのヴィンテージのリフモノでもやってもらいたいぐらいですね!
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shinmei_t  様 (WahWah Jam)
2011-02-23 14:43:03
shinmei_t  様
いつもありがとうございます。
数々のビンテージを見てきた方にそう言われると大変うれしいです。
また調子に乗りたくなります。傷をつけるより光沢をチョッとだけ減らすほうがよりビンテージに近づくような気がします。傷はオマケですね。
また宜しくお願いいたします。
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