From Verbier Festival 2011 (ヴェルビエ音楽祭舞台裏インタビュー)： アルゲリッチ、ハーディング編

今年の夏のヴェルビエ音楽祭のインタビュー集。随分前に観たのだがビデオの貼り付け方もよく分からず、ぐずぐずしていて、シーズンが始まってしまい、つい機会を逃していた。感謝祭の休日でのんびりできたので、ご紹介したい。

現在の心境は、好きな作曲家は、好きな食べ物は、等の質問表をめくりながら音楽家たちが答えていくという形式。へんな質問に悩みつつ、その人らしさが出ていて、素顔に近い感じで喋っていることを見たことがない人たちもいて、なかなか面白かった。

まずはマルタ・アルゲリッチ
さすがのオーラ、でも自然体で面白い答えがとても素敵。これが一番見ごたえあった。



現在の心境は： ２つあるわ。なんとなくじりじりしてるけどとても満足してる
好きなドラッグ： 会話
あなたには凄いカリスマがあるのをご存知ですか： わかんない、どういう意味なの? うふふ
あなたがもし音楽ホールだったらどれですか： ロンドンのウィグモア・ホール（注: ベヒシュタインが20世紀始めに作った音響ばつぐんの室内楽ホール。ブリン・ターフェルも同じ答えだった）
好きな言葉： ブラボー、ボンジュール、美しい、魅力的
住みたい場所： 今住んでるところ。でもあちこちに住んでるから本当はあんまり家にいないんだけど。でもイタリアは大好きね。
モットーは？： やりつづける
好きな捨て台詞： くそ、くそっ
好きな作曲家： ベートーベン。彼だけじゃないわ。シューマンも好き。でもやっぱりベートーベンは愛してる
あなたがアートだとしたらどの作品？： わかんない。ピザの斜塔? あはは。
好きな食べ物： スパゲッティ。バジリコ、ポモドーロ・ソースね。他にも色々あるけど
一番刺激を受けた人は： うーん、死んだ人? とても沢山いるわ。人間的にリストは好き、一人の人としてのリストよ。シューマンね。先生のグルダ。レナード・バーンスタインも好き。ロストロポーヴィッチ。とても沢山。
最初の音楽開眼は?： ベートーベンピアノ協奏曲4番。パガニーニ。ラ・カンパネラも。
歴史上の人物と食事が出来るとしたら、その3人は?： イエス・キリスト、ダビンチ、シューマン
どのように死にたい？： わからないわあ。知らないうちに、うーん、知りつつっていうのも面白いかもしれないわ。でもやっぱり死にたくないわ。
嫌いな職業： 音楽評論家！

変な顔をしてください、という最後の質問にとってもかわいい笑顔。

やっぱり逐語訳は大変。

次に面白かったのはダニエル・ハーディング。舌が長いんだか短いんだか、相変わらずなんだか舌ったらずの口調で、父性・母性をくすぐります。



現在の心境は： 少々この企画に困惑してる。でも次にどんな質問がでて来るか楽しみ。
好きなドラッグ： もちろん紅茶。
好きな言葉： えぇと、「もうおしまい」って言おうかと思ったけれど、それじゃあ意地悪だよね。なんだろう、ハロー、かな
あなたがもし音楽ホールだったらどれですか： とても小さいホールだね。オックスフォードのシェルドニアン。（声を出さずに、「こんなの分かんないよ」）
わたしの主な特徴は： 執着心
あなたには凄いカリスマがあるのをご存知ですか： いいえっ！
好きな作曲家： 回答不可能。シューマンかな。でもそういってしまうと、他の好きな作曲家に悪いな。うーん、でもやっぱりシューマンには特別な思い入れがある。
モットーは？： わかんない、ないです。
好きな食べ物： ピッツァ。とってもおいしいやつ、本格的ナポリ風ピッツァ。
嫌いな職業： 政治家。職業じゃないよね。病気といってもいいかもね。
歴史上の人物と食事が出来るとしたら、その3人は?： 月並みだけど、やっぱりモーツァルトと食事したい。みんながモーツァルトについて、色々「真実だ」と言ってることが、全くの間違いだ、なんて本人から聞けたりするのは、とっても面白いだろうし。残りの2人は... 後まわしにしよう。
住みたい場所： わからないなぁ。よく自分でも考えてみるんだけど。こういう生活をしてると、どこに住んでもいいんだけど、やっぱりわからない。むずかしいね。
好きな捨て台詞： ファック、かな、一番よく使うのは。でも特に好きだからじゃなくて、よく出てくるのがこれ。
あなたのアドレス帳の中で一番有名な人は： 誰だろう... クラランス・セードルフ。チャンピオンズ・リーグで3回も優勝したことのある唯一の選手。（文句ないでしょ、の顔）
一番刺激を受けた人は： 沢山いる。若い頃、一番大切な影響を受けたのがサイモン・ラトル。今でも刺激を受けている。
あなたがアートだとしたらどの作品？： ムンクの叫び
妄想させてください、何を着て寝ますか： なに着るかなぁ、あ、そうだこの間ミラノですごくいいパジャマを買ったんだ。いつもパジャマを着る習慣はないんだけど、これはとっても素敵なやわらかいコットンで、先週買っちゃったんだ。
最初の音楽開眼は?： 僕の場合は、ラヴェルのボレロ。サラエボ・オリンピックのトービルとディーンはとても大きい出来事だった。
どのように死にたい？： ウディ・アレンが、なんて言ったっけ、作品を通じて不滅になるより、死なないことによって不滅になりたい。いい言葉だね。
歴史上の人物と食事、残り2人： まだ分かんない。

トービルとディーンにはちょっとびっくり。たしかにわたしもこのカップルのかわいらしくも圧倒的なパフォーマンスのスケートは覚えてるけれど。小さかったころのダニエル・ハーディングが目を丸くして息をのんでるさまが目に浮かんで微笑ましいです。