北海道旭川市は多くの文化人芸術家を誕生させた文化芸術都市です。
『輝く旭川人アーティスト達』ではそんな旭川市で生まれ育った素晴らしい才能の持ち主達を紹介しています。
ヤマモトマナブさんは1986年旭川市生まれの漫画家です。
旭川凌雲高校(現永嶺高校)を卒業、北海道教育大学旭川校へ進学しました。
小学生の頃から絵を描くのが好きだったヤマモトさん。同級生を登場人物にした漫画を描いては、みんなに読んでもらっていたのです。
周りの人に読んでもらうことが楽しい。そして学校というコミュニティの中で、人間関係をつくるための武器としても、漫画を描くことが日常となったのです。
2008年、大学卒業が迫ったある日「漫画家になるために今まで本気で取り組んでこなかった」と今までの自分を振り返ります。
漫画を描くこと自体はずっと続けていました。しかし漫画賞への応募や出版社への持ち込み等「プロ漫画家になるための行動」はほとんど取ってこなかったのです。
『このまま就職という道を選んだら、きっと一生後悔する』
そう思ったヤマモトさんは家族や大学の先生方にも相談のうえ、漫画家になるための挑戦を決意します。
生活の糧として、旭川市内の書店(富貴堂)でアルバイトを始めます。
漫画へのモチベーションを高めるため、本に囲まれるという環境を選択しました。
友人の勧めで、東京で行われている同人誌即売会「コミックマーケット」へ自費出版の冊子を持ち込んだところ転機が訪れます。
漫画編集部の方から「一緒に連載を目指してみませんか」と誘われたのです。
作品づくりが上手く進み、2013年、マッグガーデン刊「月刊コミックブレイド」にて、商業誌初連載となる「リピートアフターミー」を連載。単行本全2巻が発売されました。
「リピートアフターミー」は、女子高生とコンビニ強盗が「ある1日」を10回繰り返すことになるSF漫画。旭川市をモデルにした架空都市「朝日河市」を舞台にしています。旭川らしさが物語全面に出てくるわけではありませんが、地名や乗り物など、細かい所に地元ネタをちりばめてあります。
連載中も書店でのアルバイトは継続。
「自分の描いた漫画を自分で売る」というとても貴重な経験をします。
漫画を買ってくれた常連客との親交し、直に感想や応援のメッセージを頂く等を経験。それが創作の励みになりました。
2016年には北海道主催の「北のまんが大賞」がスタート。
その名の通り「北海道を題材にした漫画作品」を募集し、北海道在住のプロ漫画家や東京の漫画出版社の編集部なども審査に加わるという本格的な賞レースです。
ヤマモトさんはここに応募した「片道82円の転校生」で、記念すべき第1回の最優秀賞。この作品もが舞台が旭川市。転勤族の女の子と、その子のことが気になる男の子の文通をテーマにしたものです。
2016年末旭川市を離れ、札幌市に移住。「北のまんが大賞」受賞者として、北海道庁から発行される漫画パンフレットや地域振画など、北海道らしいさまざまなお仕事に携わります。
2019年2月から、約5年ぶりとなる商業誌連載を開始(タイトル『キューナナハチヨン』少年画報社刊「月刊ヤングキングアワーズ」4月号(2月末発売)より)
今度も舞台は「朝日河市」。神社の敷地内にある書店を舞台に、書店員とお客さんの「ちょっと不思議な」日常を描きます。
北海道らしさ、旭川らしさがチラッと顔を出すような作品になるようです。
★主な活動歴★
2008~ 全国大学生協連発行誌「UNIV.CO-OP」にて漫画「今日も生協。」連載(継続中)
2009 北海道FMラジオ「AIR-G'」内番組「Superduper Radio Next Generation」とコラボレーション、実際のラジオ制作者たちをモデルにした漫画「LISTEN!」を携帯コミック配信。ラジオの繋がりから、道産子アーティスト「momonaki」のCDのジャケットイラストも担当。
2013 コミックブレイド3月号より、「リピートアフターミー」連載。単行本(全2巻)各種電子書籍サイトで発売中。
2015 旭川藤女子高等学校の受験生向けパンフレット「マンガで知る藤の学び改革」作成。
2015 自然素材でクレヨンや絵の具を作る工房「Tuna-Kai」の画材を使ってイラストを描く企画展「Tuna-Kaiと12人の作家展」に参加。北海道各地で巡回展が行われる。
2017 北海道主催「第1回北のまんが大賞」にて、「片道82円の転校生」が大賞受賞。
2017 北海道庁発行の漫画パンフレットを作成。
・小学生と保護者へ向けた防犯啓発パンフレット
・危機対策パンフレット「ミサイルが飛んできた時の避難行動」「雪害の際の避難行動」「地震・津波の際の避難行動」
2017 北海道東胆振地域に配布される学習マンガ「お宝!ハスカップ」(有限会社エアーダイブ制作)の漫画部分を担当。
2018 石狩振興局農務課による、農業士育成のための寄付型自動販売機のラッピングデザインを作成。石狩管内の市町村それぞれに異なるデザインを用意し、2019年1月現在で札幌市・新篠津村・江別町・恵庭市の4都市分が設置完了。
2018 北海道発行の情報紙「広報紙ほっかいどう」にて4コマ漫画「ほっかい家族」掲載
2018 北海道宗谷総合振興局による、樺太(サハリン)学習漫画冊子「となりのサハリン」(有限会社エアーダイブ制作)の漫画部分を担当。
2018 道内の日本画家による企画展「鼓動する日本画CONNECT」に招待作家として参加。
2019 少年画報社刊「月刊ヤングキングアワーズ」4月号より「キューナナハチヨン」連載
・「鼓動する日本画CONNECT」展示短編漫画「繋げよ、乙女」