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ADONISの手記

主にADONISが書いた二次小説を公開しています。リンクフリーです。
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12.神殺しの世界(カンピオーネ!)

2014年07月15日 22時43分42秒 | 小説

「何か最近美月が腕を振るう機会がないわね」
「何を唐突に言っているんですかみこ?」

 とある世界のイタリアの街を観光しているといきなり妙な事を言い出したみこに美月は嫌な予感がした。

「うん、やっぱりここいらでちょっと腕試しでもしようよ」
「いや、腕試しって言っても私と戦える奴はあまりいないよ」

 これは美月にとって問題な事に常人では美月の相手にはならないが、強い奴を選ぶと美月では勝てない敵に当たってしまう事が多いのだ。これはみこが能力持ちのトリッパーの中では比較的弱いから起こる事で、ようは美月の強さが中途半端すぎて戦う相手を選び過ぎてしまうのだ。結果として、そこいらのゴロツキ相手に無双してばかりだったりする。

「この世界にはカンピオーネという神殺しをなした連中がいるでしょ。そいつらと戦ってよ」
「まさかボクにカンピオーネにケンカ売って来いと?」
「ううん、実は美月にはまつろわぬ神の気配がするようにしておいたからカンピオーネの方から仕掛けてくれるよ」
「な、なに勝手なことしているんだよ!」

 まつろわぬ神の気配がするという事は、カンピオーネがボクをまつろわぬ神だと誤認して襲い掛かってくるだろう。そんな事を了承もなしにしないで欲しい。

「ほら、早速来たよ」
 と、みこが指さす方向を見ると金髪の青年がこちらに向かってきていた。

「ちっ!」

 ボクは慌てて全速力で走り街中から移動した。街中でカンピオーネと戦闘などやっていられないのだ。

「ちょっと、逃げないでよ」
 と、金髪の青年がボクを追いかけて来た。

 ある程度人通りの少なくなった場所で、ボクは蔵から引狭(いなさ)を取り出して、ボクを追って来た青年に切っ先を向けた。

「やっとやる気になってくれたようだね。じゃ早速行くよ」

 彼は右腕を銀色に輝かせて、その手に持つ剣が尋常ではない力を発している。金髪の青年で右腕を銀色に輝かせるとなると、こいつはイタリアのカンピオーネ剣の王サルバトーレ・ドニに間違いないだろう。

 ボクはサルバトーレの権能、斬り裂く銀の腕(シルバーアーム・ザ・リッパー)によってあらゆるものを切り裂く魔剣と化した剣を引狭で受け止めた。そしてボクとサルバトーレ・ドニは目にも留まらぬ速度で激しい剣劇を行っていく。

 先読みによりサルバトーレ・ドニの防御を掻い潜り斬撃を加えるが、まるで鋼に刃をぶつけたかのような感覚にボクは一端後ろに下がった。

「やるね。真正面からボクと切り合いができる神様がいたなんて思わなかったよ。君どこの神様?」
 と、サルバトーレが感心したように言う。

「ボクは神様じゃなくてただの人間だよ」
「えっ、だって僕の身体が反応しているよ」
「それはボクからまつろわぬ神の気配がするように細工されているからだよ。みこいい加減に細工をやめてよ」
「そうだね。もういいかな」

 ボクの言葉にみこが答えて、ボクからまつろわぬ神の気配が消えたが、
「あれ、本当に神様の気配が消えたね。まあいいや。君とやり合うのは面白いからもっとやろうよ」
 サルバトーレ・ドニはあまり気にしていなかった。

 やはり、こうなるか。正直な話、ボクがあの魔剣とまともにやり合えるのは引狭が不朽不滅の属性を持っているからだ。言うまでもないがそれを与えたのはみこだ。みこは折角完成させた業物を朽ち果てさせるのを惜しんで製作するついでにその属性を与えていたのだ。この為、魔剣の権能はどうにかできるが、問題は鋼の加護(マン・オブ・スチール)だ。

 正直言って、引狭を使ってもあれを破るのは少々難しい。並大抵の技では無理だろう。となるとあれしかないか。ボクは引狭を鞘に納めて抜刀術の構えを取った。

「それは確か日本の侍が使う居合という技だね」
「ボクの奥義は伊達じゃない」

 剣心は抜刀術に不向きな逆刃刀を使っていたが、ボクは正真正銘の日本刀、それも一級の宝具に匹敵する業物を使っている。おまけにボクの技量と身体能力と相まって天翔龍閃 (あまかけるりゅうのひらめき)の威力はとんでもない物になっている。これなら鋼の身体をも突破できる筈だ。

 サルバトーレ・ドニがボクに斬りかかるが、ボクが超神速で天翔龍閃 (あまかけるりゅうのひらめき)を放った。次の瞬間、サルバトーレ・ドニの剣は砕け、彼の身体は斬りつけられていた。

「ま、まさか僕の鋼の身体を純粋な技で突破するなんて君本当に凄いね」

 サルバトーレ・ドニは胴体を大きく切り付けられて明らかに重傷で戦闘不能だ。このままでは死ぬのではないかと思わんばかりで常人であれば即座に病院に連れて行かないと命に係わるだろうが、こいつらカンピオーネの生命力は化け物染みているからそうそう死にはしないだろう。

「いやー、美月強いね。流石!」
「ほんまにごっつやねん」

 調子のいい事を言う二人(?)にボクはため息を吐いた。

「もういいでしょうみこ。さっさとこの世界から引き上げましょう」
「あー、そうだね」
 と、みこが少々バツが悪そうに言うが、そう思うなら最初からこんなことやらないで欲しい。

 その後、サルバトーレ・ドニが人間に重傷を負わされて病院送りにされた話が欧州魔術界に広まり、そんな偉業を達成した者を探そうとしたが、その人物が見つかる事はなかった。

 

解説

■不朽不滅の属性
 決して朽ち果てる事がなく破壊不可能な属性。カンピオーネ世界の神具が保有している事が多い属性である。

■逆刃刀
 るろうに世界の剣心が使用している刃と峰が通常とは逆になっている刀である。この刀の場合、普通に振るっても峰打ちになるが、原作のように逆刃刀で他の刀と切り合うのは実際には無理(笑)。

 


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