goo blog サービス終了のお知らせ 

ADONISの手記

主にADONISが書いた二次小説を公開しています。リンクフリーです。
ハーメルンとマルチ投稿しています。

シオン・カーライル その四

2015年11月15日 23時04分03秒 | 小説

 C.E.73、コーディネイターのテロリストによるユニウスセブン落下未遂事件を機に地球で蔓延したコーディネイターに対する反発をブルーコスモスの盟主ロード・ジブリールとロゴスが煽って強引に開戦に持ち込んだ。その結果として先の大戦から僅か二年で再び戦争が始まったわけであった。

 当初監察軍はユニウスセブンの落下を阻止してブレイク・ザ・ワールドが発生しなければ戦争が起きないと思われていた。実際、監察軍に所属するシオン・カーライルが、DXで地球へと落下しようとしていたユニウスセブンを消滅させたことで地球に被害は出ていなかった。

 しかし、ブルーコスモスやロゴスの行動は監察軍の予想を超えていた。そのため戦争が始まったとき、シオンとウナトは後手に回った。更にフリーダムの式典乱入とアスハ代表誘拐という誤算もあった。これらは彼等のキチガイぶりが常軌を逸していたため予測を外す羽目になった。

 

「シオン、何を読んでいるの?」

 一人の少女が50歳ほどの女性に話しかける。その少女はシオンと同じく監察軍に入っているトリッパー。

「いえ、昔の資料を見ていたのですよ」
「確かこれって40年程前に干渉した『機動戦士ガンダムSEED』の並行世界の資料だったね」
「ええ、当時監察軍のトリッパー二人がこの世界に関わっていたですから」
「そう、でも国家レベルの干渉している割には変化が少ない方ね」

 監察軍が干渉する世界は干渉が個人レベルから国家レベルにまで多岐に渡る。そのため影響が少ない世界もあれば歴史が根本的に変わってしまう世界もあった。この世界は歴史が変わっているけど結局同じような流れになっている。

「でも原作よりは被害が少なくなったから、干渉したのは全くの無駄ではないわ」

 シオンがはっきりとした口調でいう。

 ブレイク・ザ・ワールドと原作でいわれているユニウスセブン落下テロの犠牲者は5億人ともいわれいる。しかも、ザフトがユニウスセブンの破砕作業をしてもそれだけの被害が出たのだ。もし、ユニウスセブンが丸々地球に墜ちれば被害はその比ではないだろう。下手をすれば『機動新世紀ガンダムX』の世界の二の舞になりかねない。

 まして、シオン・カーライルというイレギラーが発生している為、それが現実のものになる恐れがあった。だからDXを投入してユニウスセブンを跡形もなく破壊した。

 シオンはそれが最善の道だと思った。実際多くに人々を助けることができた。それは無駄ではないはず。

「でも、C.E.世界にDXを持ち出すなんて随分と派手な事をしたわね」

 資料によるとこのDXの攻撃力は陽電子砲の比ではなく、ジェネシスの様な破壊力だ。こんな物を持ち出せば、あの世界に激震が走ったのは間違いない。

 サテライトキャノンによるユニウスセブンの破壊。それは当時メディアを通じて地球圏に広く伝わった。セイランが予め用意しておいたカメラマンだけでなく、その映像を入手した他のマスコミも大騒ぎした。オーブは地球を救ったという功績を手に入れたが、その余りの力を警戒されることになった。最もウナトはそれを逆に利用して中立の維持に成功していたが。

 アスハ代表が拉致されるという失態を犯したオーブ。ウナト達は諸事情から奪還のための行動が出来なかった。

 原作と違いDXの存在が強力な抑止力となり、連合は同盟を拒否したオーブに干渉することを避けたので、代表不在の異常事態でありながらもオーブは問題なく争いを避けることができたが、その為シオンとDXはオーブに釘付けとなってしまう。

 その後、ザフトがフリーダムとアークエンジェルを撃沈させてアスハ代表が死亡したと判断された(プラント側の認識では)。

 しかし、案の定彼等は無事で、ロゴスを打倒された直後に、デスティニープランをぶち上げたデュランダルを倒すためにオーブで内乱を起こした。

 彼等からすればカガリの国であるオーブを好き勝手にするセイランを撃つというつもりでしょうが、内乱となると国が焼けます。

 結局、アスハ派やクライン派のバックアックを受けたキチガイ共はオーブを掌握して、プラントに戦いを仕掛けました。この混乱でウナトが死亡。

 

「あら、ウナトさん死んだんだ」
「ええ、この戦いでね」
「トリッパーでも死ぬことが多いの?」
「トリッパーといっても不死身ではありませんからね。死ぬときは死にますよ」
「でも、オーブの戦力が欲しいからっていきなり侵略する?」
「彼女にとって侵略ではなくセイランからの解放だったのでしょう」

 

 シオンはウナトが死亡するとオーブに見切りを付けてDXと共に撤退した。シオンが撤退したのはシオン自身にとって小国のオーブ一国は重要度が低かったという事もあるが、キチガイ共に踊らされるオーブの馬鹿共に呆れたのが大きかった。

 その後、キチガイ共はデュランダルを倒して、ラクスがプラントの最高評議会議長になるという原作とほぼ同じ流れとなった。

 

「ここは大して問題はないわね」

 監察軍にとって、あの世界にDXの技術が一切漏洩しなかったのは成功だった。ウナトとシオンはその点には注意を払っていた。

 基本的に異世界は技術を収集する対象であっても提供する対象ではない。実際、監察軍の技術が漏洩するとかなり都合が悪い。あの世界だとたとえ画期的な技術を提供しても、悪い方へ利用されるのは分かり切っている。

「でも、何であっさり撤退したの?」
「ああ、それね。私は元々オーブを守ることに執着してはいなかったの。あくまで私の目的のついでにウナトを支援していただけ」

 ブレイク・ザ・ワールドを阻止する。それが達成できたので私自身はあの世界に用はなかった。それでもオーブに手を貸していたのはウナトの支援のためだ。そのウナトが死んだ為に支援する理由がなくなった。

 あの内戦の時、クライン派とアスハ派の支援を受けた彼等は奇襲によりオーブの首脳陣がやられた。ウナトは抵抗したため射殺された。こうなるとシオンはオーブに義理立てする理由もなくなり、離脱することになる。

 

「この世界のラクス・クラインって、かなりキチガイな性格しているね」
「そうね」

 こうして戦争が終わった世界であるが、けして平穏な世界ではなかった。地球圏はラクス・クラインという独裁者に支配された。彼女は問題を政治ではなく力で解決していく。

 側近達は彼女に聞こえの良いことのみを言い増長していった。結果として軍事力による恐怖政治となった。彼女にとって政治とは他者と話し合い調整するという物はなく、力で他者をねじ伏せて自分の意見をごり押しする物だったから、それも当然だった。

 数年後、たまりかねた者達により戦争が起きることになる。

 オーブも有力なセイランと閣僚達が消えたことで政府機能が麻痺した。そもそも前大戦でオーブ首脳陣が自爆したため人材が払拭していた。セイランはそれでもなんとかオーブを支えていたのにそれを排除してしまった。

 更に言うとカガリがラクス達に担ぎ上げられて起きた内戦で、オーブは少なくない被害を出してしまった。ラクスはアスハを蔑ろにしてセイランがオーブを好き勝手にしていると考えていたが、最早アスハではオーブを統治できないという実体に気付いていなかった。

 この国難に、為政者としてお世辞にも優秀とは言えないカガリではどうしようもなかった。こうしてオーブは急速に傾いていった。民も能力のない統治者に失望していく。特に内戦の被害者達はその傾向が強かった。

 

「結局、あの女は政治家としては向いていないんだよね」

 所詮は歌姫。歌手として生きていた者が政治の世界に行く。現代で言えばアイドルがいきなり政治家になるようなもの。無理がありすぎる。ボロが出てしまうのは当たり前です。

 

 現在ではあの世界とのリンクは切られている。技術は入手していたし、シオンもあの世界への干渉はしなくなったからだ。

 シオンはその後も監察軍で活動をしていたが、現在では前線から引いている。さすがに年齢から前線で活動することは出来なくなったからだ。トリッパーの中には不老長寿を得た者や長命な種族になった者もいたが、シオンは普通の人間だった。トリッパーとしては凡人であったが、凡人なりに頑張って生きてきた。

「時々、貴女のようにチート能力を持った者が羨ましくなるわ」
「そうね。トリッパーといっても個人差が激しいから」

 最古のトリッパーと言われる某セイバーな少女アルトリアは事なしげにいう。

「私達は、あくまで前回での不運の帳尻の合わせのために第二の人生を送っているだけだから別にいいんじゃないかな?」

 トリッパーの人生はサービスのようなもの。その人生が終われば本来属する上位世界の輪廻転生に戻る。なら楽しまないと損だ。

「そうですね」

 シオンはそれに同意して笑った。

 

後書き

 トリッパー列伝 シオン・カーライルはこれにて終わりです。シオンの話がちょっと長引いたので四話の中編になりました。

 


3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (たむたむ)
2009-11-24 06:48:05
シオン編、全部読んだのですが、とりあえず「ネタ切れたから打ち切った」という印象しか受けませんでした。
自分の望む世界のために行動したはずなのに、やったことといえばDXでユニウスセブンを消したのとフリーダムぼこったことぐらい。
そのあとはほぼ原作どおりに進みました。あとは知らん。中途半端すぎですよ、ホント。

一応期待していたキャラも駄目。シオンなんて、どうみてもコピーシドゥリな性格で、個性がゼロ。やってることも上記の通りシドゥリ同様支離滅裂で滅茶苦茶。お前ら一体何がしたいんだと。飽きたらポイとか、介入なめすぎだろと。
まあ、要はもうちょっと頭捻ってがんばってくださいということです。
返信する
Unknown (D・ガンボーイ)
2022-09-19 15:17:13
>数年後、たまりかねた者達により戦争が起きることになる。
・・・で、その後のキチガイ連中はどのような末路を送ったんでしょうか?
まさか、無事生き残ったなんて「自他ともに認めた某クソアニメ」みたいなものではないですよね・・・・・・。
返信する
Unknown (廃止のF)
2024-09-18 13:00:59
>・イレギラー・が発生している為、

>・イレギュラー・が発生している為、
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。