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ADONISの手記

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魔王エリーゼ その二

2020年03月01日 21時03分28秒 | 小説

EL1年1月1日

 エリーゼが魔王になって二ヶ月ほどたったその日、魔王城には魔人、使徒、魔物大将軍がほぼ総ぞろいしていた。ここでほぼというのはJAPANで封印されている魔人ザビエルとその使徒たちや、ますぞえとその使徒が参加していないからだ。

 しかし、バークスハムの使徒三姉妹に復活したレキシントンとレキシントンの使徒であるアトランタとジュノーまで参加していたことには、周囲も意外だったようだ。まあ、どちらも何百年も行方不明だったからそれも無理はない。

 エリーゼは事前にバークスハムには人間界に赴いて使徒を連れ戻すように命令していたし、レキシントンとその使徒たちにいたってはエリーゼ自身が闘神都市ユプシロンに赴いてレキシントンを復活させて後に連れてきていた。

 ここで復活と言っても単にレキシントンの魔血魂にタイムふろしきを使用しただけである。タイムふろしきを使えばワニの毛皮の製品からでもワニを生き返らせることができる為、魔人そのものといっていい魔血魂さえあれば魔人を倒させる前の状態でよみがえらせることが可能であった。つまり、魔人の復活に一々依代を用意する必要がなく、精神が書き換えられるリスクもないのだ。

 当然ながら魔物界の重臣たちが総ぞろいしたのは、昨年にエリーゼがこの日に集まるように命令していたからだ。

 皆あらたな魔王の不興を買わないように呼ばれたら来るのは当然だった。なにせ下手をすれば粛清されかねないのだから、それを素で無視するのは引きこもりのますぞえだけである。

 玉座の間に集う魔の者たち。そんな彼らを注目を浴びていたのが、新たなる魔王エリーゼであった。彼女の統治がいかなるものになるか興味がつきないようだ。

「さてと、封印中のザビエルとますぞえ並びのその使徒を除いて全員集まったみたいね」
「いえ、まだバボラが……」
「そいつなら処分したわ。魔血魂も初期化済みよ」

 エリーゼがそういった瞬間周囲に緊張が走った。最初の謁見すらもなしにいきなり魔人が粛清されたのだからそれも当然だ。

 最もバボラは既に原作と同じように50mを超える巨人で頭が悪くなっており非常に扱いに困る、ぶっちゃけると邪魔者でしかなかった。それなら、さっさと処分して代わりに新しく魔人を作った方が合理的だった。

「正直、命令を理解する知能すらない無駄飯ぐらいなんて邪魔者でしかないわ。どうしてガイがあんなのを放置していたのか疑問ね。まあ、私はガイと違って甘くはないから邪魔だと思ったら処分するわ」

 魔人すら処分する魔王に魔人としては最悪だろう。そんな魔人たちを表情を眺めながらエリーゼは言葉を続ける。

「それと、私の政策は基本的に現状維持よ。つまり魔物界と人間界の境界の維持と、私の許可を得ずに魔物将軍以上の上位の魔物が人間界に干渉することを禁止するわ」

 ガイの方針を継承するというエリーゼの宣言に強硬派の魔人や魔物大将軍に不満を持ったが、それを口にすることは誰もしない。何しろ魔人バボラが邪魔だからという理由で粛清されたばかりなのだ。表立って魔王の方針に異を唱えれば命はないのは誰の目にも明らかだった。

 最もエリーゼは表立って反対できない状況で宣言することで既成事実化してしまうという目的もあって、このタイミングでバボラを粛清していた。この手の政策は最初に反対しておかないと後で反対しずらくなるので、最初に反対できない状況を作り上げたのだ。

「次に、ホーネットこれの中身を確かめてみなさい」

 エリーゼはアイテムボックスから大袋を取り出しつてそれをホーネットに渡す。ホーネットは言われるままに渡された袋を開いて見ると中には赤色の丸い球がびっしりと詰まっていた。

「これは魔血魂、ですがこの数は!」

 そう、大袋には魔血魂が477個も入っており、その異常な数にホーネットが驚愕したのは当然だった。

「なにバボラの魔血魂を元に魔血魂の複製を作っただけよ。そもそも魔人の数が24人に制限されているのは血の量に限りがあるからよ。それなら、複製して数を増やせば魔人を枠を増やせるというわけね」

 実際、バボラを始末してその魔血魂をフルコピー機で476個増やしただけであるが、複製元は使徒を持たず血を分散させていない魔血魂が望ましかった為、その条件に合って処分しても惜しくないバボラが選ばれただけである。

 またエリーゼはオリジナルを含めた477個の魔血魂を少数ずつ初期化して外に排出するという手順を踏んで初期化済みの魔血魂477個を用意していた。ここでいちいち取り出さずに全部取り込んでおけばいいだろうと思うかもしれないが、そもそも魔王は最大24個の魔血魂を取り込むように設定されているものの、それ以上の魔血魂を取り込むとどんな影響がでるか不明だった為それを避けたのだった。

「これで最大500人まで魔人がこの大陸に存在できるけど、問題は魔人の素体だから、魔人候補として丁度いいのを用意したわ」

 エリーゼが合図をするとその場に15人の少女たちが入ってきた。彼女たちはいずれも十代の人間の少女に見えるが、実際はエリーゼが製造した人造人間だ。

 魔人の質を高めるには素体には十分気を付けねばならない。才能限界値や技能レベルだけでなく知能や人格などにも注意しなければならないが、そんな極めて稀な天才を探すよりも優秀な素材を作った方が早い。

「彼女たちは外見は人間に似てるけど私が製造した人工生命体よ。サテラのガーディアンと似たようなものね。まあ、レベルアップが可能で才能限界値や技能レベルが高いという違いはあるけどね」

 エリーゼが些細な差のようにいうが、これはとんでもない事だった。この世界ではガーディアンやあてなのような人工生命体は魂を持たないためレベルアップができないのが常識だが、人工霊魂を精製することでそれを可能としているのだ。現にそれを熟知しているサテラは驚愕していた。

 そして肉体だけでなく魂まで自在に作れるという事は才能限界値や技能レベルもある程度調整できる事も意味している。現在では人工霊魂一つに対して技能レベル3を一つ、技能レベル2を二つ与える事ができるようになっていた。

「外見はそれなりだけどこの子たちは製造されたばかりで経験が圧倒的に足りないから、教育が必要なのよね。そこでケッセルリンク、お前にこの十五人の教育を命令するわ」
「はっ、かしこまりました」

 ケッセルリンクは即座に了承した。彼も魔人だから魔王の命令に対する反応には敏感なのだろう。命令自体も彼の美学に反しないというのもあるだろうが。

 エリーゼは自分が作り上げた人造人間は自分で教育するのが普通だったが、魔人候補となると話は別だ。魔人は千年間限定で部下として使うが、その後は次の魔王に引き継がせることを前提としている為、自分で教育する気になれなかったのだ。勿論、教育を担当するケッセルリンクには彼女たちの資料を渡しておくとしよう。

 その後は、10年おきに魔人、使徒、魔物大将軍を召集することや、その際に新たに魔人、使徒、魔物大将軍になったもののお披露目を行う事を伝えて解散となった。

 


解説

■タイムふろしき
 風呂敷を模したドラえもんのひみつ道具の一つ。このふろしきを被せると、被せた物の周囲の時の流れが逆行もしくは進行して物そのものの状態が大きく変容する。効果は無機物・生物の両方に作用する。対象物がタイムふろしきより巨大な場合でも一部に被せただけでその効果は全体に及ぶ。時を巻き戻すか進めるかはふろしきの表と裏で使い分けるようになっており、表と裏では配色が異なる

■フルコピー機
 ドラえもんのひみつ道具フエルミラーの上位互換。監察軍がハツメイカーなどを用いてフエルミラーの欠点を改善して製造したオリジナルのひみつ道具。レプリケーターのように登録した物ならいくらで複製できる上に、レプリケーターでは不可能だった生き物や宝具といった神秘概念等の完全な複製まで可能としている。


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