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きょうのできごと。

日々の出来事、思うことをあれこれ。

サクリファイス

2010年11月14日 17時48分23秒 | 読書
アコ次郎です。

近頃、これという機会に恵まれず新書を読む機会に
恵まれなかったのだけど、ふと目について購入。

日本ではあまりメジャーじゃないロードレースのなかでも、
チームのエースを支えるアシスト(サポート役)の主人公の
物語なのだけど、非常に面白くて、あっという間に読了。

チームの中の絶対的エースを支えるチームプレーが基本の
自転車競技の中にあっても、チームプレーを形作るうえで
黙殺された想いや自我が様々な形で主人公に降りかかって
くる、と書けば重苦しいストーリーになるのは予想がつくの
だけど、まったくの予想を裏切る形で展開されていくストーリー
が非常に秀逸。

本書のタイトルの本当の意味は、主人公の視線を通して、
人生を歩んでいくうえで、人は何に対して、何を犠牲に
することができるかという普遍的な疑問について
考えさせることにあった気がする。

本書の続編も既に出版されているらしいので、今度ぜひ読んで
みたいと思う。



わたしの台所

2010年10月12日 16時20分04秒 | 読書
はなじろうです。

往年の女優、沢村貞子のエッセイ「わたしの台所」を読む。
しなやかで、あたたかく、さりげない文章の中に
明治生まれである著者の気骨が感じられる。

今は、世界各国様々な料理を食べられるが、
やっぱり基本は「ごはんとお味噌汁」だろう。
私は決して美食家ではないが、日々の食事を大切にしようと心がけている。
出来栄えは自信ないけど、それだけに、毎食一生懸命にこしらえる。

根が食いしん坊なので、食のエッセイは大好き。
水上勉の「土を喰らう日々」も昔からの愛読書で、おすすめの一冊である。
切干大根やら、高野豆腐やら、野菜の炊いたんやら、
お醤油の匂いがたちこめる台所の風景は、誰しもの原点なのでは。

とか言いつつ、今晩は、楽ちんメニューのカレーなのだ

遠い太鼓

2010年07月09日 17時25分14秒 | 読書
はなじろうです。

アコ次郎が大好きな村上春樹…
既刊本はもちろん新刊は必ずチェックしているようだ。
私はそれほどでもないけど、好きな作品はいくつかある。

今読んでいるのは「遠い太鼓」というエッセイ。
ギリシャ・イタリアでの3年間をつづる旅行滞在記。
ちょうど、私も90年前半にアテネを訪れている。
思ったより街に活気がなく、少しだけ残念に思った記憶がある。
夏に旅行すればまた印象は違ったかな?

ガイドブックさながらの美文ではなく、
ありとあらゆるトホホ話、事件がありのままに描かれている。
お国柄ってあるのだなぁという感想。(特にイタリア)

リアルな生活から一時離れた旅の浮遊感、
異邦人である著者の気楽さがなんとなく伝わり、面白かったです

深い河

2010年06月08日 20時32分40秒 | 読書
はなじろうです。

私が小学生だった頃、給食メニューに「鯨の竜田揚げ」があった。
甘辛い味付けで臭みも気にならず、好物のひとつだった。
家の食事でも時々鯨が出てきた。
両親そろって海育ちなので、牛、豚などの肉よりも海のものをよく食べた。

最近よく耳にする「反捕鯨団体」のニュース。
どこをどう考えてもなにか釈然としない。
環境問題と言いながら、すべてが一方的すぎる。
むやみやたらに騒いで「まな板」に載せられては、きっと、
相手の思うツボなんだろうな…。私に解るのはそれくらいである。

生きとし生けるもの、みな命をいただいて生きている。
それは言うまでもないことだけど。
鯨、イルカだけに焦点を合わせ、センセーショナルな映画まで作って、
西洋人はその辺のアプローチが無駄に高圧的だ。

ところで、ひさしぶりに狐狸庵先生の「深い河」を読んだ。
複雑で、ある意味おおらかな宗教観が腑に落ちるのは、
私が多神教である日本人だからか。。
そういえば、ハリウッドで映画化予定の「沈黙」はどうなったのかな?

異端とも言われるキリスト教作家、遠藤周作には多くの名著があります。

イルカと墜落

2010年03月05日 18時47分58秒 | 読書
はなじろうです。

沢木耕太郎の「イルカと墜落」を読む。
変わったタイトル… なんじゃろなと読み進めると、
なんと本当に飛行機の墜落事故に遭ったらしい(2001年9月)
知らんかった~ びっくり

NHKの取材で数人のクルーと一緒にアマゾンの奥地へ赴き、
そこで乗りこんだセスナ機が落っこちたらしいのだ… ひぇ~
飛行機恐怖症の私には、まるでありえない話である。

危機一髪どころではないと思うが、
落ちる間際の機内の様子、氏の心境が淡々と描かれている。
結局、その瞬間に抱いた感慨は特になく
ただ「そこにあるだけの死」だったという。

沢木耕太郎の文章は簡潔で明瞭で、それでいて情感にあふれている。
有名な「深夜特急」などの旅行記を読んでいると本当にワクワクする。
その場所の空気、ざわめきまでも感じられそうな臨場感がある。
在りのままに描くって多分一番難しいことなんだろうな
ノンフィクションって面白いなと思った一冊でした