ペルシア湾魚介三昧

アブダビで入手出来る新鮮魚介類の目利きと調理法を紹介。時々番外編で地中海岸や伊勢湾沿岸の魚も登場。

ところ変われば値打ちも変わる

2012年02月17日 | 日記

 場所によってモノの値打ちが大いに変わる好例をひとつ。
 写真の魚、体長約10センチメートル。うっすらとした赤味に、黄色の側線が美しいことを除けば、何の変哲もない小魚に見えませんか?
 日本の標準名はヒメジ、でも各地では地元の名前で知られています(例えば長崎のベニサシ、新潟のヤヒコヤマなど)。つまり、各地でよく獲れるのだけれど、傷み安い上に、小さな魚体に似合わずウロコが多く、捌くのが面倒なせいか、なかなか流通ルートには乗りません。東京では小平の「角上魚類」で新潟産のを数度見ただけで、価格は半キロほどが200円でした。まったくの雑魚扱いです。
 アブダビでは、もう少し獲れるけれど、雑魚扱いという点は日本と同じ。1キロ10ディルハム、日本円で220円程度です。鮮度が良ければ山盛りに買って来ます。
 何故かって?
 実はこの魚、レバノンに行けば「スルタン・イブラヒーム」の名で、1キロ3,000円近くの値がつく最高級魚なのです。それもスーパーでの値段。シーフード・レストランでこれを注文すればさらにその1.5倍程度に跳ね上がる。ベイルートにはそのものズバリ、「スルタン・イブラヒーム」の名を冠した高級レストランがあるくらい。
 確かに、新鮮なものをサクッと唐揚げにしてレモンを絞っていただくと、甘味のあるホクホクの白身がほぐれて、美味には違いないのですが…。

 なお、色が赤っぽくて口の下に二本のヒゲ(触覚)があるヒメジの仲間は、アブダビではオジサン、ウミヒゴイなど、他にも結構居ます。こちらは体長30センチメートルくらいまで大型化し、キロあたり30ディルハムを超える中流価格(?)。皮を引くと、ピンク色の薄皮が表面に残り、金目鯛の刺身そっくりになります。身がぎっしり凝縮された食感で、味の方も金目鯛以上。


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