降ったりやんだり ときおり激しく降った
サッシを細目にあけて
まだ咲かないのに写した
雨粒は 首筋をなぞっている
籠り居を愉しまなくちゃ
ことわざに「夕立は馬の背を分ける」と言われるが、水曜日の雨がそれだった。
雨は覚悟のうえ いざ新宿まで「ユトリロとヴァラドン」を見に行く。
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スュザンヌ・ヴァラドン コルト通り12番地
小さなテーブルに置かれた花束 (部分)
母 ヴァラドンの生気あふれる色彩に魅了される。 生きいきと生命力溢れる作品の 高いデッサン力。 裸婦像の黒の縁どりも明快で好もしい。 情熱的。奔放さがみられる。ゆたかな色彩。ユトリロの白の時代から色彩の時代へ。 母と子の物語は作品が語っていて切なくなる、 病んでゆくユトリロの葛藤も哀しい。こころに残った。 2時間ちかくかけて愉しく相棒も喜んだ。
会場を出るころ、外はどしゃ降りになっていた。 風は強く、舗道を叩きつけ滝のような音がする。降りしきる雨のなか途方に暮れるひとたちがあちら側に小さく見える。 こちらはビルから駅までつづく地下道があり濡れずに済むけれど、地上から流れこむ泥水をみると、ちょっと怖い。
荒れ模様に英国屋で昼食だけすませ 後のことは諦めて帰った。
池袋 赤羽、川口… 電車の窓に雨粒が走り、ほそい条を引く。
大降り、小降り、糠雨、本降り、霧雨、場所によって様々だ。 最寄駅で改札を出ると、大きな水たまりができている。先刻こちらにも、たっぷりと降ったのだろう。 小降りになってよかったと傘をひろげ、新しい靴を気にしながら歩き出した。
少し行くと様子が変だ。 舗道が全く濡れていない、 側溝など白く乾ききっている。 えっ! 何が何だか、狐につままれたような感じだ。 東京ではあんなに激しく降っていた。 駅前でも降っていた。 旧中仙道を渡るころもふっていたのに。 馬の背を分けて。 家のあたりでは全く降らなかったらしい。 庭では紫陽花がうなだれて 菊の葉が萎れかかっている。 土はカラカラ。焼けた石のうえでトカゲが伸びをしている。
驚きつつ、美術館を出たあとの慌てぶりが可笑しくなった。
雨の日には カメラに貯まった写真を整理
ヤマボウシ
家のガクアジサイ
散歩道で 名前のわからない花
これって 兼好さんが言う 藜?
アカザ? 食べられるの
舗装の隙間に たった1本生えてきた
※ 葉は食用になり 粗末な食物としてアカザの吸い物が登場する。(徒然草)
(出典「花おりおり」)