ゴルフの空(GET Golf Academy 主宰 松村公美子のブログです)

ゴルフレッスンのこと、スイング理論(ゴルフスイング体操)のこと、日常でのこと、色々、時々、書いています

侍ジェントルマン

2008年03月11日 | 読書 ・鑑賞・観劇録
春の陽気につつまれて、絶好のゴルフ日和のようだった今日、宝塚歌劇の白洲次郎さんを、屋内で(笑)観てきた。

白洲次郎さんのことは、2月16日付けのブログにも書いたように、本屋さんでたまたま見つけた本を読んで、「かっこいい日本人がいたんだなぁ~」と思っていた人。
「どんなストーリーなんだろう?」
「カントリージェントルマンを自称して、百姓をしていた頃の場面なんかも有るのかなぁ~?」
「マッカーサー元帥に、“ガンを飛ばす(笑)”場面なんかも出てくるんだろうなぁ~?」
などと、観る前から興味津々で、この日を楽しみにしていた。

…宝塚観劇は、1年半ぶりくらい。
久々の観劇だし、白洲次郎さんだし、、、と思いながら着席し、芝居がはじまると、「白洲次郎さんは、いつ出てくるのかなぁ~」と思いつつ、その登場を待った。
そして、舞台がはじまって2~3分後くらいに、『葬式無用 戒名不用』のたった二行の遺言状がせり上がってきて、その垂れ幕(?)の向こう側に、白洲次郎さんらしき影が浮かび上がった。
そして、その垂れ幕が、パサッと降りると、宝塚歌劇の白洲次郎さんが、かっこよく舞台に登場!
「おぉ~、白洲次郎さんだぁ」と、ゾクゾク~として、鳥肌が立ちそうになった…んだけど、その後すぐに、なんと、白洲次郎さんが踊り出した。。。
「え~、白洲次郎さんが、踊るかぁ???」とは、思ったものの、そこは、やはり宝塚歌劇。
ダンスで、白洲次郎さんのかっこよさや信念みたいなものを表現したのでしょう。

また、舞台が進むと、“カントリージェントルマン”を自称していた頃の場面もあり、、、私としては、その頃の白洲次郎さんは、野球帽をかぶって、長ぐつをはいている印象だったのに、宝塚歌劇の白洲次郎さんは、グレーのパンツと白のワイシャツにネクタイまで締めて、革靴を履いて(勿論、野球帽はかぶっておらず)、とても百姓には見えないイデタチだった(笑)。
ま、ここのところも、やはり宝塚歌劇だったのでしょう。

と、私なりに抱いていた、白洲次郎さんのイメージと“違った”部分のところから書いたが、この芝居、泣けた。
本当にポロリと涙が何度もこぼれた。

白洲次郎さんの生涯は、当時の吉田茂首相の懐刀として、戦後の日本の立て直しに尽力しただけではないが、宝塚歌劇では、その戦後の奮闘ぶりがクローズアップされて上演されていた。

戦前、戦中、戦後と言えば、祖父母や両親が、これを体験している。
祖父母がまだ生きていた頃、小学校の社会科の授業で第二次世界大戦のことを習ったり、修学旅行で広島に行ったのを機に、「戦争の頃って、どんなんやった?教えて…」と、祖父母に話してくれるようにせがんだ。
祖父母が、本当は思い出したくなかったかもしれない戦争の頃の話を、伏し目がちにポツリポツリと語って聞かせてくれるのを、私は、その横にちょこんと座って、祖父母の顔を真っ直ぐに見ながら聞いていた。

今回の芝居を観て、「こんな時代を生きて、本当に大変な思いをしたのだろうな…。食べるものにも事欠くような貧しさを経験し、誰にぶつけることも出来ない悔しさも感じていたのだろうな…」と思うと、今は亡き祖父母に対する哀惜の情と共に、涙があふれた。

(一緒に観劇していた知人は、私がポロポロと涙をこぼしているのを見て、もらい泣きをしてしまったそうです…汗)

芝居のフィナーレは、平和への祈り。
白洲次郎とマッカーサー、吉田茂も、その他の日本人もアメリカ人も、みんなで並んで平和を願いながら大合唱する場面では、「色んなことが有ったけれど、日本はこれで良かったのかもしれない。二度とあやまちは繰り返さぬよう、この平和を守る気持ちを、次の世代に伝えて行こう」との、そんなメッセージが伝わって来るようで、現実問題としてなら有り得ない大合唱なのだが(笑)、このフィナーレにも感動!だった。

祖父母が言っていた。
「今は、食べるものでも、着るものでも、何でも手に入るようになったやろ。空襲警報も鳴らへん。防空壕に逃げ込むこともせんでええ。日本は平和で豊かになって、ええ時代になったんや。こんな時代に生まれたおまえは、幸せやなんやで…」
こういうことを言う時だけ、祖父母は、私の目を凄く優しい目でじっと見ていた…記憶が有る。

今回の芝居を観て、戦中と、戦後のアメリカの占領下に置かれていた厳しい立場の日本で、日本を守り、その中で生き抜いて来られた全ての方々に、「ありがとうございました」と、感謝したいような気持ちになった。

この『黎明の風~侍ジェントルマン白洲次郎の挑戦~』は、観た記憶が、いつまでも残りそうな芝居で、白洲次郎ファンとしても、満足だった。

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