戦前戦後を通じてブラジルに移民した日本人は「23万人」に上ると言われています。安住を求めるもの、一攫千金を夢見るもの。おのおの胸膨らませ、知らぬ土地に渡ったものの、現実は厳しく、過酷な労働と人種差別で立ち往生する人たちが大勢いました。
ドラマは、そんな苦難を乗り越えブラジルで70年間も暮らした女性(姉/ハル、80歳、森光子)と、ブラジルに渡ることができず家族から取り残されることになったもののその後細腕一本で大企業の社長にのしあがった女性(妹/ナツ、78歳、野際陽子)との「再会」と「途切れなかった姉妹愛」が描かれます。
第一話「姉妹」では、70年ぶりに日本に帰ってきたハルが、いまは大企業の社長になっているナツに会いに行きますが、ナツは会うことを拒絶します。それでもなんとか一目でも妹に会いたいと願うハルは、待ち伏せしてナツと会いますが、ナツは、いまさらなんだ、何で手紙も寄越さなかったなどと冷たい。
ハルは、妹とともに日本で余生を送りたいと思ってましたが、見事に裏切られ、いまは日本の大学に留学している孫(大和/今井翼)に慰められ、もういいいから、ブラジルに帰ろうと思い始めます。それをなだめる大和に向かって、ハルは、初めて大和に自分の過去を聞かせます。
自分の生い立ち。北海道での生活。妹との別れ。新天地での過酷な労働と人種差別。
それは、大和の想像を超えた厳しい時間の流れでした。
一方、ナツのもとへ、「イトコ」と名乗る女性が現れました。亡くなった母が、ハルからの手紙を持っていたのでそれを渡しにきたという。ブラジルに渡ったハルは、過酷な労働のあいまを見て、妹に手紙を書き綴っていたことがわかりました。それを知らず、妹を追い返した自分が情けなくなりました。
実はその当時、日本にいたナツの方からもブラジルに向け手紙を送り続けていたのでしたが、郵便事情が悪く届いていなかったのでした。ここへきてブラジルに住むハルの息子が偶然それを見つけることになりました。
互いに手紙を送りあっていたにも関らず、一通も受け取ることができなかったという悲しい過去。しかしそのことによって、二人は再会と時間の重さを知ることになります。
一貫して「家族の肖像」を追い求めてきた、脚本家の橋田寿賀子さんが「ニッポン」という大きなテーマに切り込んだ意欲作。
本当に日本が好きな人、日本人から捨てられたにもかかわらず、日本を愛して死んでしまう人。そういう愛国心のある人間を描きたかったということです。そうゆう意味でこのドラマの本当の主人公は、ハルとナツの父親役の、忠次(村田雄浩)であるとも言えるのかもしれません。
ドラマに原作はなくテレビドラマ用に書き下されたものです。
これまでの橋田作品とはかなり趣が違ったダイナミックな作品に仕上がっています。
ドラマとすれば、主人公の性格は対照的なほうが
わかりやすい場合もありますが、
「ハル(春)とアキ(秋)」でもなく
「ナツ(夏)とフユ(冬)」でもなく、
このドラマは、あくまでも
「ハル(春)」と「ナツ(夏)」なのだという。
充分なそのこだわりに
挑戦し続ける橋田作品の意地が見えている。(「ドラマの視点」トップへ)
人気ブログランキングへ
「NHK」「NTV」「TBS」「CX」「ANB」「TX」
ドラマは、そんな苦難を乗り越えブラジルで70年間も暮らした女性(姉/ハル、80歳、森光子)と、ブラジルに渡ることができず家族から取り残されることになったもののその後細腕一本で大企業の社長にのしあがった女性(妹/ナツ、78歳、野際陽子)との「再会」と「途切れなかった姉妹愛」が描かれます。
第一話「姉妹」では、70年ぶりに日本に帰ってきたハルが、いまは大企業の社長になっているナツに会いに行きますが、ナツは会うことを拒絶します。それでもなんとか一目でも妹に会いたいと願うハルは、待ち伏せしてナツと会いますが、ナツは、いまさらなんだ、何で手紙も寄越さなかったなどと冷たい。
ハルは、妹とともに日本で余生を送りたいと思ってましたが、見事に裏切られ、いまは日本の大学に留学している孫(大和/今井翼)に慰められ、もういいいから、ブラジルに帰ろうと思い始めます。それをなだめる大和に向かって、ハルは、初めて大和に自分の過去を聞かせます。
自分の生い立ち。北海道での生活。妹との別れ。新天地での過酷な労働と人種差別。
それは、大和の想像を超えた厳しい時間の流れでした。
一方、ナツのもとへ、「イトコ」と名乗る女性が現れました。亡くなった母が、ハルからの手紙を持っていたのでそれを渡しにきたという。ブラジルに渡ったハルは、過酷な労働のあいまを見て、妹に手紙を書き綴っていたことがわかりました。それを知らず、妹を追い返した自分が情けなくなりました。
実はその当時、日本にいたナツの方からもブラジルに向け手紙を送り続けていたのでしたが、郵便事情が悪く届いていなかったのでした。ここへきてブラジルに住むハルの息子が偶然それを見つけることになりました。
互いに手紙を送りあっていたにも関らず、一通も受け取ることができなかったという悲しい過去。しかしそのことによって、二人は再会と時間の重さを知ることになります。
一貫して「家族の肖像」を追い求めてきた、脚本家の橋田寿賀子さんが「ニッポン」という大きなテーマに切り込んだ意欲作。
本当に日本が好きな人、日本人から捨てられたにもかかわらず、日本を愛して死んでしまう人。そういう愛国心のある人間を描きたかったということです。そうゆう意味でこのドラマの本当の主人公は、ハルとナツの父親役の、忠次(村田雄浩)であるとも言えるのかもしれません。
ドラマに原作はなくテレビドラマ用に書き下されたものです。
これまでの橋田作品とはかなり趣が違ったダイナミックな作品に仕上がっています。
ドラマとすれば、主人公の性格は対照的なほうが
わかりやすい場合もありますが、
「ハル(春)とアキ(秋)」でもなく
「ナツ(夏)とフユ(冬)」でもなく、
このドラマは、あくまでも
「ハル(春)」と「ナツ(夏)」なのだという。
充分なそのこだわりに
挑戦し続ける橋田作品の意地が見えている。(「ドラマの視点」トップへ)
人気ブログランキングへ
「NHK」「NTV」「TBS」「CX」「ANB」「TX」