いろいろ時間の都合とかあったので、行くかどうか悩んだのですが『夕張アーカイヴ2014』だけは、どうしても見たかったので行ってきました。
見たのは二日目の「夕張の「記憶と記録」アンコール」
おそらく当時を知る夕張市民の方も大勢駆けつけたのでしょう、立ち見が出るほど超満員の中での上映でした。
上映中もガイドの方による映像の解説と、当時を振り返るお話が聞けてホントに面白かった!
このトークも込みで映像アーカイブが真の価値を発揮するんだと思います。
内容を時系列順に並べると
・1960年の夕張市内と北海道
・1960年代の夕張の小学校の鼓笛隊
・第1回 黒ダイヤ祭りの様子
・1980年 夕張石炭の歴史村周辺
・1983年 夕張炭山祭りの様子
・飛翔・ゆうばり(夕張市広報が製作)
いずれも夕張市民が撮影した1960年代~1980年代の映像です。
【1960年の夕張市内と北海道】
カラーの8ミリフィルムで夕張市内と北海道の様子を撮ったもの。
(1960年は夕張市の人口が最多となる116,908人となった年)
現在とは比べものにならない夕張市内の賑わいと、今とは違う札幌雪祭りの様子が撮されています。
特に在りし日の錦沢遊園地(1970年閉園)には会場も大賑わいでした。
かつての映像が見られるのもおもしろいですが、当時では非常に珍しいカラーの8ミリフィルムを回せる人が夕張市にいた、というのも驚き。
それだけ当時の夕張市の炭鉱関係者は裕福だったということでしょう。
【1960年代の夕張の小学校の鼓笛隊】
こちらはモノクロですが、夕張第2小学校の鼓笛隊の様子。
鼓笛隊だけで100名以上の児童がいたようです。
炭鉱の保安活動のイベントのために子どもたちが炭鉱の側まで歩き、その様子を職員たちが見物しています。
この動画に限らず、市の行事ではなにかと小学校の鼓笛隊が駆り出されています。
【第1回 黒ダイヤ祭りの様子】
どうやら市か商工会が製作に携わっていたようで、ちょっと記録映像的な作りになっています。
黒ダイヤ祭りとは、現在の「ゆうばり夏まつり」の前身です。
昭和40年代、故・中田鉄治元市長が夕張市職員だった頃に企画・立案して始まった、と『夕張市長まちおこし奮戦記』に書かれています。
(黒ダイヤ祭りが、ゆうばり夏まつりと名称を変えた経緯なども載ってます)
映像には中田元市長と思われる人物も写っていました。
夕張本町通を仮装パレードなどをして練り歩いている様子が収められています。
この映像に限らず、1960年代の映像で本町通でのパレードがあると、必ず丸丹おかむらというデパートが二階の窓から紙吹雪を降らせています。
(この映像では丸丹おかむらの社員が仮装パレードもしている)
きっと、そういう賑やかなことをするのが好きだったんでしょう。
ちなみに丸丹おかむらは現在はなく、その跡地にホテルシューパロが建っています。
【1980年 夕張石炭の歴史村周辺】
1960年代と違い、すでに夕張市内の炭鉱存続が危機的状況となっていた時代の市内を撮っています。
炭鉱住宅にも空き家が目立ち、かなり寂しい様子になっていますが、それでもまだ山の上まで炭鉱住宅が広がっていました。
そして、この年に中田元市長の企画によって、石炭の歴史村内に石炭博物館がオープン(全村オープンは1983年)します。
ここで特筆したいのが、炭鉱住宅街の中にそびえる石炭博物館の櫓という奇妙な光景。
まだ、この時代は石炭博物館の周囲にも炭鉱住宅が残っており、さらには遊園地など他の施設はできていなかったので、現在の様子とかなり異なっています。
何もない更地にSL館のSLだけがポツンと置かれているのも、なかなかな映像。
【1983年 夕張炭山祭りの様子】
夕張神社のお祭りです。
当時の夕張市内を御神輿が練り歩いているので、夕張の町の様子が見て取れます。
この映像で衝撃的だったのは、御神輿を担ぐ掛け声が「ワッショイ」から、いつの間にか「新鉱再建」と変わっていくところ。
町の各所にも新会社再建のスローガンが掲げられていました。
当時は夕張新鉱が閉山しても、また炭鉱が再建されるのではないか、という期待があったそうです。
(『全記録 炭鉱』によると、北炭は閉山交付金による新鉱開発を繰り返していた)
そんな期待というか、願望みたいなものが町中のスローガンや御神輿の掛け声となって、映像に収められたという瞬間でした。
なお、ご存じの通り新会社による再建は実現していません。
【飛翔・ゆうばり】
これは夕張市役所による広報用の映像です。
作ったものの、あまり一般には広く公開されなかった、という変な曰くのあるものだそうです。
内容的には退屈なんですが、当時の夕張の様子がそれなりのクオリティでハッキリと撮られているのが興味深いです。
工業団地の誘致や農業振興など、『夕張市長まちおこし奮戦記』で中田元市長が柱に上げていた新産業についてのプレゼンもありました。
時間の都合上、最後まで上映されなかったのですが、いつか全編を見てみたいです。
石炭の歴史村に関連するものが収録されていればいいんだけど。
といったカンジの6本の映像でした。
夕張の歴史は何も知らないし、現在の様子しか見たことがありません。
公式サイトには「夕張は、おおよそ二度にわたって「風景」を失ってきた町です」とありますが、まさにその通りで、失われた風景を見比べるだけでもおもしろいです。
そして、歴史村の開村のような歴史的な転換点だけでなく、御神輿の掛け声が変わるという、町の歴史や風景がまさに変わっていこうとする、その瞬間が見られたのも貴重でした。
こういった映像の上映会は、映画祭以外でも上映会はあったようです。
機会があれば次回も絶対に見たいです。
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