「サイコーだ!」
コロンバイン高校で起きた、銃乱射事件を出発点として、アメリカ銃社会の矛盾について考える、というドキュメンタリー。
ちなみに『ボウリング・フォー・コロンバイン』という題名は、乱射事件を起こした学生二人が、事件前にボウリングをしていた、ということかららしい。
とにかく、いろいろなことを考えさせられる映画だった。
恐怖に支配された資本主義経済。
これって今の日本に見事に当てはまってる。
恐怖の対象を黒人……見知らぬナニかに仮託する。
これも日本に当てはまってる。
ゲーム脳が凶悪事件を起こすわけではない。
ヘンな本を読むより、こっちの方が説得力がある。
こういった事象を解明するために、毒々しい突撃取材を敢行し、血祭りに上げられる人々の姿には、同情を禁じ得ない部分もあるが。
(たとえばミサイル工場の職員とか)
しかし、毒々しさだけが際立つのではなく、監督マイケル・ムーアのユーモアも冴えており、知らず知らずのうちに映画に引き込まれる。
このへんのバランス感覚って、スゴイと思った。
さらに付け加えるなら。
メディアってのは、銃以上に凶悪な武器になるってこと。
この映画では、病んだ銃社会の象徴の一つとしてライフル協会を吊し上げ、そのシンボルたるチャールトン・ヘストンをこき下ろそうとする。
もう、これを観ているだけで、ヘストンがキライになる。
こうやって嫌ヘストン感を増幅させ、クライマックスでヘストンへの突撃取材を敢行。
明言を避け、逃げようとするヘストンの姿は、悪の象徴のように見える。
……でも、この突撃取材は、もの言えぬ老人をなぶっているように見えなくもない。
カメラの前では、人は本音を語れない。
この作品で一貫して描かれているだけに、なおヘストンの姿が哀れに見える。
なんかヘストンに偏った見方になってしまったが。
他にも見所はたくさんあり、考えることはたくさんあった。
とにかくオモシロイ映画だった。
『ボウリング・フォー・コロンバイン』(CATV)
監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア
評価:文句無しの10点!
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