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なかなかいいかも?カラヤンの60 年代の録音

2006-12-15 13:42:32 | 音楽の感想
以前からカラヤン/ベルリン・フィルの1960年代の録音が気になっていました。
でもCDで聴くとどれもそっけなく、全般的に印象が薄いと感じてました。
演奏スタイルも60~70年代のものは優等生的に感じていて、やっぱりこの人は万人向きの演奏をするが、「オンリーワン」と思える演奏はこの年代のものにはないのだろう、と思っていました。
個人的にはそれに比べると、カラヤンの演奏は1950年代後半のもの(つまりステレオ初期)の方がよいように思っていたのです。
ただ、同時にこうした印象はレコードでも同じか?という疑問も持っていました。
CDは16ビットになっているせいか、音に潤いが少なく、余裕が無いように感じていて、反面レコードはノイズは多いが、アナログの情報がもらさず記録されているために、音楽に独特の密度の高い感じがあるように感じていました。(デジタルも最近の20ビット、24ビット録音やSACDなどはだいぶましになってきてるとは思いますが)
そのことを痛感したのが、以前このブログでも書いた、ベーム/ベルリンフィルのシューベルトの交響曲第9番ハ長調「グレート」のレコードとCDでの著しい印象の違いだったのです。
ですので、カラヤンの演奏も、レコードで聴けば60~70年代の録音でもかなり印象が違って聴こえるのでは?と思っていました。しかし、いつも他の初期盤を買うほうが優先されてしまい、なかなかカラヤンまで行き着かないでいました。

そんな中で先日、たまたま彼等が60年代前半に録音したシベリウスの交響曲第四番のレコードを入手しました。グラモフォンの有名なやつです。
(138 974 SLPM、但しプレスは初期のものではなく、あとで書きますがよくある中期以降のものです)
印象は、CDとはかなり違いました。
まず60年代前半の録音にしてはかなり質が高いのに驚きました。
実は、一緒にそれより数年あとの録音の、ベーム/ベルリン・フィルのシューベルトの交響曲第3番・第4番「悲劇的」のレコード(2530 526)も買ったのですが、カラヤンのシベリウスの方が、録音に広がりと厚みがあり、随分差を感じました。多分ベームとカラヤンとではオーケストラ編成の規模が違うということも原因だとは思いますが。
条件は、どちらもグラモフォンのいわゆる「ブルーライン」と呼ばれる、よくある盤ですので、盤による差はあまりないと思います。
そして、ベームのシューベルトも録音は本当に素晴らしいのです。しかしカラヤンのほうはベームの録音より数年古いのに、決して劣ることなく、もう一段上を行くような存在感を有した録音だと感じました。
これはひょっとしたら、カラヤンとグラモフォンの密接な関係のなせる業なのかも知れません。カラヤンも録音の技術的な面に非常に関心を持っていたので、すでに60年代初めからその共同作業の成果が録音に出ていたのかもしれません。特に弦楽器の生々しい表情、各楽器間での細やかな表情のやり取り・溶け合いが胸に迫ってきたのにはかなり驚きました。
又第四番に関してはカラヤンの感性が曲にぴったり合っているなと感じられたのが驚きでした。
このシベリウスの交響曲第4番は簡単に言うと「根暗な曲(笑)」ですが、よくよく聴いていくと、なかなか随所に細やかな表情が息づいていて、幽玄な美しさに満ちていることに気づかされます。曲の主要な動きがほとんどスラーの付いた滑らかで緩やかな曲線のような動き-太極拳か、能の動きのような-であることも、美しさを醸し出すのに一役買ってるのではないでしょうか。またこの曲の「哀しさ」は、号泣というより、能のシテ方が見せるような、手で顔を覆うだけで「泣く」表現になる、という風情のほうが近い場面が多いように思うのです。
カラヤンの演奏はこのような第4番の特質を、決して曲にのめりこんでどろどろとした表現になる(そんな演奏も面白いのですが)ことなく、曲が持つ劇的な起伏を保ち、ずっしりとした手ごたえある音を引き出しながらも、同時に非常に美しい流れを曲から導き出しているように感じました。北欧的な情緒にも不足していないとも思います。
ひょっとしたら、他のシベリウスの交響曲ではこんなアプローチではないかもしれないですが、この交響曲第4番はなかなかのものでした。
今後も機会があれば、グラモフォンのほうのシベリウスの交響曲はレコードで全部聴いてみたいです。80年代に録音したEMIの方の全集はどうなのでしょうね。また「新世界」も、今までは1959年録音のEMI盤しか聴かなかったのですが、1963年録音のグラモフォン盤も聴きなおして見ようか?など多少興味が出てきました。
しかしいつになるやら。多分初期盤を今後も優先して買ってしまいそうですから(笑)

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