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田舎ぐらし(86)

ー 年金生活は隠居ぐらしか ー



  年金生活は隠居ぐらしか?と問われれば、隠居とは何か?から始めねばならない。
 旧民法では・・・などという堅苦しい話はさておき、一般的にサラリーマンが抱くイメージは隠居とは悠々自適の日々を送っているご老人といったところだろう。

 以前読んだ有吉佐和子の「複合汚染」に 「横丁の御隠居」  が出てくる。このご隠居、歳は70歳、口うるさく、気難しく、機嫌がいいことは滅多にない。
 土産のしば漬けを持って行くと、
「また漬物ですか。やれやれ、うまくないものを持って来られると、無理して食べるだけ苦痛ですよ」
「婆さんや、仕方がないからすぐ切って持っておいで。どうせまずいにきまっているが、ご厚意だけはいただかねばならん。」
と憎まれ口をたたく。

 自分もせいぜい憎まれ口でもたたいて安楽に暮らそうかと思った時もあったが、なかなかそう簡単にはいかない。ひとつにはこれまでの会社勤めは社長のために働いただけだ。これから先は時間を独り占めできる。やりたいことをやろうという思いがある。20年、神さまのご機嫌次第ではひょっとしたら30年の時間があるかもしれない。

 先日、家の前にいたら、そばに車が止まって初老の男性が降り立ち、「〇〇城はどのあたりですか」と訊かれた。城を訪ねて歩いているという。
“ 春高楼の花の宴・・・” いいご趣味である。

 それで、自分は何をやっているかというと、畑で野菜を作っている。家の前にある猫の額ほどの畑を杭と生垣で囲み、自家用にイモやダイコンを育てている。これがなかなかおもしろい。

 野菜を買わないですむ分、経済的でもある。前年採れたキュウリの種を取っておいてこの5月に蒔いたら芽を出してくれた。ということは全部の野菜の種を取っておいて、時季を見つけて蒔けば、種に使う金さえ要らなくなる。

 肥料も生ごみを使えば自分で作れる。驚いたことに生ごみの穴に捨てたスイカの種がツルを延ばし、花をつけている。生ごみの肥料を気に入ってくれた証拠だ。

 そんな日々の発見で、少なくとも今の年金生活は退屈とはまるで縁がない。世の中、流行り病のせいでどこにも行けない、うつになりそうだと騒いでいるらしいが、どこかに行きたいと思ったことなどない。忙しいのである。

(  次回は ー  今どきの口のききかた ー  )

 

 

 

 

 

 


 

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