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花ファイルという言葉

2025-03-16 20:41:02 | 日記

「花ファイル」という言葉の誕生

 

 

10年ほど前のこと。ある日、ふと浮かんだことがありました。

 

いつも通り静かにお稽古が進む中、生徒たちは花と向かい合い、それぞれの思いにふけっていました。

何を考えているのだろう――無心になっているのか、

それとも夕餉の支度のこと、あるいは朝、家族と交わした会話のことだろうか。

 

当時、生け花のお稽古に通ってくる人の約8割は専業主婦で、

時々ボランティア活動にも出かけていました。

「忙しいのよ」と言いながらも、

経済的にはゆとりのある方が多かったのを覚えています。

 

そんな静寂を破るように、私はふと口を開きました。


「もし、あなたの好きなことでお仕事ができ、

そのお金で家族へのプレゼントを買ったり、ボランティアの活動費に充てたりできたら、嬉しくない?」

 

突然の問いかけに、生徒たちはキョトンとしたまま。再び静寂が戻りました。

 

その後、私はひと月、ふた月と考え続けました。

そして、一つのチームをつくることにしました。

しかし、私の生徒で参加したのは一人だけ。他のメンバーは、過去に生け花を学んだことのある人や、

別のサークルに所属する旧友たちでした。

 

私たちが目指したのは、生け花で装花するウェディング。

 

**「生け花ウェディング」**と

名付けましたが、誰にも理解されていないようでした。

おそらく、いつものように私の独りよがりだったのでしょう。

 

ターゲットにしたのは、

若い新郎新婦ではなく、結婚式を挙げられなかった両親のために、

子どもたちから贈るウェディング。

 

その装花には、お二人の思い出の花を使うことにしました。

こうして、**「花ファイル」**という言葉が生まれたのです。


新郎新婦の歩んできた人生のファイルを紐解き、

その物語を思い出と重なる花で彩るウェディング。それが、「花ファイル」のはじまりでした。

 

 

残念ながら、システムが整い出した頃、

コロナ禍の暮らしになってしまいました。

 

 

野花人

 

 



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