INSIGHT

ある化学工学系大学教員の大学とあまり関係ないブログ.twitterやFacebookに載りきらない長文の置き場.

論文執筆上のアドバイスをメールしてみた

2012年01月10日 | 研究室
今年も卒論や修論の季節になってきた.

文章を自分で考えるのが面倒なためか,どこかの本や論文の記述を自分の論文にそのまま写してしまう人がいたりする.毎年言ってることだけど厳に慎んでほしいことなので繰り返す.ということで研究室内に以下のメールをば.

卒論・修論執筆上のアドバイスです.
今回は引用する際の基本的な考え方についてです.

他の論文や本から記述を引用するときは「」でくくり,引用箇所がはっきりわかるようにすること.文献番号を示しただけでは,元となるデータやアイデアが引用元にあることを示しただけであり,論述している主体はあくまで自分自身であるということになりますから,事実と異なります.剽窃(ひょうせつ)として著作権法上の問題になります。

当然のことですが論文は自分自身の表現で書くべきものです.他人の表現が自分が言いたいことを的確に表している場合などには引用することが許されますが,それは,どこまでが自分自身のオリジナルな記述で,どこからが引用なのか,範囲と「誰が言ったのか」が明確に示されていることが前提です.

これまでに提出されてきた卒論・修論原稿の中には,本の記述をほぼ丸写ししていながら引用範囲を示さず,あたかも自分の記述であるかのようにしているものがありました.こうしたものは引用範囲を示すか,オリジナルな表現に書き換えてください.

実際,博士論文や学術論文の審査等ではこうした行為は非常に厳しく扱われます.

筑波大で中国人留学生が論文盗用…学位取り消し
http://www.acs.yomiuri.co.jp/national/news/20111217-OYT1T00417.htm

東京大学社会科学研究所助教に係る論文等の不正行為及び博士の学
位授与の取消しについて
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_231209_j.html

たかが卒論・修論と考えず,十分注意して執筆してください.


まあ,これまでの勉強の度合いが試されますわな.