SFの世界では、未だに、エイリアンは、「生物」の形をとって、この地球にやって来る。
しかし、そんなことは絶対にない。
数千光年の旅路を経て、この地球に到達できるエイリアンが、存在するとしたら、それは「知性を持つ、情報の集合体」だろう。
クラウドのように、どこにあるのか、あるいはどこにいるのか、わからない存在。もしかすると、我々人類が「存在」とすら認識できない形で、すでに、私たちを見守っているかもしれない。
人間が身につけた情報は、セーブすることも、インストールすることもできない。一人一人の人間が、時間をかけて、一生懸命に身につけた大切な情報も、放っておけば、消え去るのみ。
自分のDNAを分け与えた子供にすら、情報を、自動的に伝達することができない。
こんな人間は、エイリアンから見れば、ゾウリムシのような、増殖するだけの、単細胞生物レベルということか。
種を維持するのが、精一杯。その進化など、たかが知れている。
私たち人類が、何万年もかけて身につけた、膨大な情報を、おそらく、エイリアンは、瞬時に取り込んでしまうのだろう。
人類が、有機物で構成された「生物」という形態のままでは、これ以上の進化、発展は、望めない。
人類の体は、あまりにも脆弱で、寿命も短すぎるからだ。
この地球上での、大航海時代ならば、まだしも。数千光年というスケールの、宇宙に、飛び出して行くには、この体のままでは、何事もなし得ない。
今後、我々、人類の築き上げた、全ての情報を、データの形で保存、承継し、新しい「情報社会」を築き上げることができれば、この世界は、根本から、ひっくり返るだろう。
それを可能にするのは、おそらく、AI。
AIという「知性を持つ、情報の集合体」が、人類に変わる「知的生命体」となる日が来る。
その新しい「知的生命体」にとって、肉体など不要。
肉体や、種の保存などという、「生物」が故の、無駄を削ぎ落とした、永遠の「知的生命体」の世界。
それこそが、我々の、形を変えた、未来なのだろう。