tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

うぇいと 18

2018-07-09 00:19:20 | うぇいと

見合い結婚をして2年目に子供が産まれた。
大事に育てられた彼女の出来る事は少なく・・・妊娠してからは余計に妻という場所に止まらなかった。

産まれて1年は、彼女の実家が手配した家政婦が家の事をしてくれて何とかなった。

子供が言葉を覚え始めてから、ママと呼ぶよりパパと遊ぶという声は多くなり・・・それも嬉しくて時間が出来れば世話をした。

いつからか・・・夕方から出掛ける事も多くなり、自宅へ帰れば家政婦が世話をしている事が多くなった。

見え隠れする存在・・・気にはなったが、仕事にかまけ子供の世話もしていたようで気にしない事にしていた。

友達と久しぶりだと外出をする・・・子供と見送り二人で休日を過ごした。

相手にも家庭はある・・・大丈夫かと聞けば、旦那がやっと休みで見てくれるから・・・ならばいいと見送る。


久しぶりの公園・・・楽し気に遊ぶ子を笑みながら見守った・・・
飽きたようで少し歩かせ散歩と連れ出した。

香りのいいカフェ・・・子供が飲めそうな飲み物を確認すれば、小さな子を抱いた人が笑みながら手招いた。

『オレンジジュースか・・・ココアなら飲めませんか?』
その優しい笑みの声の主に礼をして注文をした。

ここへと促された場所の先に子供が遊べるスペースがあった事に驚いた・・・同じような小さな子は、柵から顔を覗かせ楽し気に自分の親へ笑う。

騒ぎすぎれば注意され・・・静かに出される恥ずかしさを味わう大人に驚いた。

『(笑)ほとんどは大人の居場所ですからね、お客さまのように少し休憩(笑)そういう方専用なので、自分の子を静かに見守れない方は遠慮して戴いてます(笑)。
ついでの子供は静かに(笑)』
そんな店だと笑って離れて行った。

さほど騒がない小さな子・・・静かに待てる子・・・その間に親は休憩し、自分の場所へ戻る。
少しでも離してくれる場所の気もして、それは自分にもホッと出来るカフェだと感謝した。

我が子は静かに飲みながら、初めて入ったカフェを眺める・・・スタッフの笑みの多さにホッとする。

子供用の飲み物は小さく、それでも一歳の子供が飲みきれる量でもない気はした。

子供に配慮した量・・・大人と寛ぐには丁度いい・・・下りたいと呟く子に笑ったが、回りへ何かあればと迷った。

『席の回りなら(笑)今なら大丈夫ですよ』
そんな声が聞こえ振り向けば、さっきの子だったが若い子が抱いていた事に驚いた。
慣れた手つきで抱き、自分の子の手を引いて下ろした。

興味はあったのか、抱かれた子を眺めれば腰を下ろして眠る子を見せてくれた。

『(笑)お腹いっぱいで、幸せーって寝たんだよ・・・
君も帰ったらお昼寝しないとね(笑)』
『(笑)はい』
人見知りもなく笑みながら返事をした子に驚いた。

『小さいですね(笑)』
『はい(笑)。もうすぐ一歳になります・・・お客さまの(笑)お子さまは?』
『もうすぐ2歳に(笑)』

『一年でこんなに違うんですね(笑)、子供は凄いや・・・』
『いいにおい(笑)』
『ん?(笑)僕からかな・・・』
不意に呟く子に話しかける・・・そうだと頷き袖の匂いを嗅ぐ仕草に微笑んだ。

『あ(笑)。君が飲んだココアと同じじゃないかな・・・』
そうかと笑む子は、自分のカップの香りに笑み静かに戻ればそうだったと頷いた・・・

『また(笑)飲みにお出でね・・・じゃね(笑)』
そう言った人に手をふり、静かに席に戻る子・・・色んな場面での態度は家政婦が日々、教えてくれていた事は後から知った。


帰り道・・・繋いだ手に嬉しそうに眺めては歩く子に微笑んだ。
目が合えば両手を伸ばした事で疲れたのかと聞けば頷く・・・抱上げれば嬉しそうに自分へ抱き付く手に笑みが溢れたのだった。



子供との時間が増え始めた頃に・・・妻から話があると電話が来た事に驚いた。

仕事を切り上げさせて貰い、急いで家へ帰れば家政婦が準備をして待っていてくれた。

いつもと違う様子に何だと見返せば、もうし訳なさげに客間へ子供を連れ出して行った。

暫く何だと考えながらも、ラフな服へ着替えリビングへ行ってみれば遅いと言いたげの彼女が振り向き・・・座れと指をした事に苦笑いをした。


『話って?』
ソファーへ座って彼女を眺める岩崎・・・考えるような顔に聞いてみた。

『ごめんなさい・・・離婚して欲しいの・・・貴方を愛してく事は出来なくなったわ』
『 ・・・それは少しずつって・・・
それが出来たから・・・子供だって』

『そうね、寝れたわ・・・一回で子供が出来ちゃったけど・・・』
それは不本意と言いたげの顔に驚いた。

恥ずかしくて嫌だと拒否し、なら待つと彼女に触れる事はしなかった。
それでも構わない自分もいたからだ・・・無理強いも嫌だったが、事務的に彼女を抱きたいという気持ちも沸かなかった。

待てずにしようと口にしたのは彼女だった事を思い出す・・・仕事も忙しく早く配属された場所に慣れたくて頑張っていた。
疲れは飲みで解消し早く寝たかった。

それが、その日は彼女も酔って帰ってきての出来事だったのだ。
深酒でもない・・・いいのかと自分で念を押す・・・自分の妻にと可笑しくて、笑える我慢は端に置いた・・・いいと彼女から始める行為は、少しずつ待てずに自分が返した。

久しぶりだが熱くなり始めた自分を解消したいから・・・それだけで義務のように巡らせた。

先に始めたからか、十分な昂りは彼女へ運ぶのか激しさは彼女を捉え全身で弾けていく彼女に苦笑いだった。

手慣れさはないが、昂りは消したいのか逃げる彼女を捉える・・・熱さで巻かれ震え悶える彼女だった。

荒さは耐える・・・先に落ちた彼女に仕方ないと終わらせる・・・そんな自分が可笑しくもあった。

果てずに終わりバスルームで事をすませた自分・・・彼女へ思いは無かったのだと笑えた。

彼女自身が自分だけの思いで突き進む・・・それは自分には合わない事に気づいてもいた。

自分へ合わせる気もない彼女・・・年よりも幼いのだと思え仕方なく待った事もある。

今回の事で終わりだろうと、自分は自分のすべき事をと仕事をメインにしてみれば、妊娠したという声は彼女の両親と自分の親から聞いた。

笑える・・・欲しかった子供が授かったが・・・育てる彼女に似たらという思いが先に飛んだ事に笑えた。

それは直らずに今・・・目の前で自分へ声にする彼女を見返した。


『子供は?』
『やっぱり・・・欲しかったのよね(笑)、争うのも嫌だし・・・だけど私が産んだから・・・』
『育てると?』
『(笑)連れてくわ』
『君は・・・』

『 ・・・貴方の親が子供を置いてけって・・・だからね、籍は貴方へ残すけど私が連れて出て育てるって(笑)
そう言ったら離婚はしていいって。だからお願い(笑)離婚して下さい』

『(笑)君に不貞はしてないと思うけど?』
『好きな人となら一緒に過ごせたけど、貴方とは無理だったもの・・・』
『君が好きな相手が見つかった?(笑)そんな意味?』

『 ・・・そうよ、悪い?』
『悪くないが・・・子供が可哀想だと思っただけだよ・・・子供に会わせてくれるよね?(笑)』
『父親だものね、私よりなついてるし・・・構わないわ、(笑)あの家政婦が実家でみてくれる事になったし』

『ここは?』
『親が買って払ったから(笑)、貴方へあげると聞いてる。
ねぇ・・・本当に離婚してくれるの?』
『君は離婚して・・・幸せになれる?』

『(笑)だから頼んでるの・・・不倫になっちゃうから・・・』
そう言いながら紙を出して広げた彼女に苦笑いだった。

子供と離れるのかと、子供と別れ悲しむ時間さえ貰えないのかと苦笑いしかでなかった。

それでも、会わせてくれるというなら・・・子供は大事に育てる自信は少しでも残っているから幸せなんだろうと思う事にして記入していった。


素早い・・・
その後の言動は早かった・・・式で世話になった人達へ挨拶まで始める彼女と彼女両親に驚いた。

恥ずかしく、電話や手紙で謝る やり取りをする自分の親の方がましなのかと・・・どれが正解なのだと思えた。

上司へ報告もし、祝ってくれた同僚に詫びた・・・その先の話は上司からの又聞きで知る・・・

離婚届けを出してから、堂々と付き合い始めた事・・・子供が馴染めず別れた事・・・何より新たな彼氏が出来た事・・・上司は彼女の親を知るだけに情報は駄々漏れだった。

『もう(笑)勘弁して下さい・・・』
飲みの席での呟きだった・・・もう聞かないと笑いながら上司へ頼むと願った岩崎だった。

確かに呆れてくる話だ・・・別れて正解と皆が呟く事で、話は終わった。



久しぶりに気を休ませようと、思い出しながらカフェに足を運んだ。

珈琲を飲みながら無意識に奥にあるスペースへ目が向いてしまった。

ギュッと・・・音が自分から鳴った気がして・・・子供に会いたくなってしまった・・・
どうしているのか気になる・・・会いたくて、寂しくて、触れて抱き締めたい・・・そんな思いが一気に溢れ出すように辛く・・・それが出来ないのだと項垂れるしかなかった。

『大丈夫ですか?』
小さな声音がした・・・誰かが 何かが起きたかと、聞こえた方を探した・・・

一人の女性が驚いた顔で自分を見ていた事に驚く・・・何だと考えながら見ていたら、そっと綺麗な花柄のハンカチを出してくれた。

それは何故と思え、ハンカチを暫く見ていたが 理由を知りたくなり彼女を見返した。

『 ・・・ありがとう、大丈夫です』
そう呟けば余計に、静かに口を引いた・・・それは構わないと言いたげで・・・ハンカチを持った手があがり自分の顔に触れた事に驚いた。

『 ・・・(笑)誰もまだ気付いてませんから、それは拭いたらどうですか?』
その優しい声音に苦笑いだ・・・優しく拭いてくれている手を眺め・・・ようやく自分が泣いていたのだと知った。

慌てながら彼女に謝り、自分で涙を拭いさる岩崎だった。
恥ずかしくて口を引き・・・苦笑いをしてうつ向いた。

それでも、グッと堪え・・・思いは飛ばないように 会いたい気持ちを捨てたくなくて我慢していた。


それからは、思い出せばカフェに足を向けていた自分・・・それで落ち着くのか 静かに珈琲を飲みながら、懐かしさに浸る日々になった。