tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

Fork -5

2015-12-31 15:42:05 | Fork

天幕の下で、客と寛いでいると声をかけられた。

『これを聞いて下さいますか?』
手帳を見せて言った人が、彼女へとイヤホンを渡したが・・・・彼女のソバに居た人はイヤホンを、その人へ返しながら
『変えて頂けますか?無理ならスピーカーで・・・・』
そう言った・・・・驚き眺める人達・・・

『聞かれて・・・・』
『ここで、プライバシーも何もないでしょう・・・・
あからさまに客の居る中へ踏み込み、捉える貴方がたの姿に脅され・・・』
『脅しては・・・・』

『警察の方が、大勢の中で取り調べるのでしょ?
身動き出来ない中で・・・他へ聞かれないように配慮など不可能・・・・・
どーぞ、音声を出して下さい』

刑事がジッと彼女を眺めていたが、隣の彼が持つイヤホンに代えスイッチを入れた。


『貴女の見知る全てをお話下さいませんか?』
彼女は男を眺めた・・・・
『これが私の仕業と? よく、調べて頂けました?
口だけは、どーでも言えます(笑)』
言い返した彼女・・・・イヤホンをとった。

『お聴かせ下さい・・・・私は彼女の弁護士でもあります。
聴かせて頂いたら、コピーを頂きます』
『手際がいいですね・・・』
『護衛も兼ねますから常に控えております・・・』
『会長が居ませんでしたが?会わせて頂きたい』
担当も違うのか、それぞれに質問していく刑事達に苦笑いもして眺めた。

『失礼いたします、この方はウチの招待客です。話があるなら我らへ 一言頂けませんか?無礼にも程があります・・・・』
『中の事とは別の件で、彼女に用がありました』
『それでも、ここでなさるのは控えて頂きたい』

『中と関連していますか?』
『客の争いに巻き込まれたのに、貴殿がたは事件へも巻き込むのですか?』

睨むように警察へ言った男・・・・弁護士は制止して
『中身は今回の事では、なさそうです。誰かの差し金と思われますので、私が調べあげましょう』
『それは我らにも、詳細を賜りたく・・・・』
言われた弁護士は呆れ顔だったが彼女へと確認した。

『いいわ、それぞれに言った記憶はあるけど同じ日に言ってはいなかったわ。
盗聴したモノを意図的に繋げたのでしょうね・・・・腕のある方の仕業でしょ?(笑)』

『盗聴と・・・・』
『録音しながら話す内容ではありません・・・・違いますか?』
弁護士は彼女を後ろへひき、刑事から離した。

後から来た男は、彼女を抱き寄せ優しく背を撫でていた。
『俺が掴まえるか?』
『中で何が? もう、行っても?』
『このまま帰ろう・・・疲れただろ』
小さく頷く彼女を抱いたまま、場を離れていった。

止めようとした刑事の行く手を塞ぐ人達・・・・
『早々に解決し、素早く出て行って下さいませんか?』
よく見れば、庭に居たはずの客らは誰一人いなかった事に驚いた。

『貴方は弁護士でしょう・・・・なぜマフィアの中で働きますか?』
『働いてなぞいませんが? 私は彼女のみ警護しておりますから・・・』
『行かれましたよ?』

『刑事さん(笑)話しは逸らさず、コピーを頼みます・・・』
『君も危ないだろう・・・・』
怒りを抑えた声で話す刑事を見つめ

『私達を危険に晒しているのは貴殿方ですよ?
無関係の人 一人に目をつけている・・・利用される気はありません。
早々に解決し出て行って下さい』
弁護士はパソコンを出し、手を刑事へと出したのだった。



車に戻る途中で、声をかけられた・・・
「なんでココに?」
そう呟く人を見つめた彼女・・・
「君はいつから知り合いだ?」
彼が彼女を引き留めた人を見つめた。
「貴方には関係ないわ、サラ・・・」

「・・・・・確かに私の名だけど、貴女を知らないわ(笑) どんな関係?」
「知らないなら行こう(笑)、増えたら帰れなくなる・・・・」
手を繋ぎ抱き寄せた彼は、彼女を引いて歩き出した。
話を割って引き離した彼に驚いた・・・


「女性よ? (笑)やきもち?」
「違う(笑)帰って寝たいだけだ・・・疲れたしな・・・・」
「そ?(笑)、警察に知り合いが居たのね・・・私」
「警察じゃなくて、学生だった頃かもな・・・・」

「なら・・・話してみたら・・・・」
「近い関係なら、もっと早い段階でサラを探してるさ・・・・きっと違うんだよ」
「そっか(笑)」
彼の腰へ回した腕を掴む彼が、より彼女を抱き寄せて歩くのだった。

引き留めようとした女性に、手下が立ちはだかった。
『警察に用はねぇ』
『二人への手出しは無用・・・』
『あんたは、察の仕事を始めな!』
動きを止めた彼らは諦めた。

『お願いします、話があると伝えて下さいませんか?』
『りょーかい(笑)』
肩越しに手を振ると車へと乗り込んだ・・・・走り出す車を、呆然と眺めていたのだった。



上司に注意された彼女は、屋敷へと歩いていった。
警察らが、忙しなく動いている中で
女性が二人囲われて二階から降りてきていた。

『彼女は大丈夫だった?巻き込まれてなかったの?』
若い方の女性が自分を支えている人へ聞いていた。
『大丈夫だ・・・・さっき帰ったみたいだ。俺たちも帰ろう(笑)ココは暫くは無理だろうから・・・・』
『せっかくサラちゃんと話せると思ったのに・・・・ドレスのお礼もしてないわ・・・・』

『日を改めなさい(笑)、人が死んだらしいわ。
終わったら全て綺麗に直しましょう(笑)貴女が決めなさい』
『お母さん・・・・』
『母さん・・・・暫く彼女と出てるよ・・・母さんもそーしてくれ』

通り過ぎていく人達の中で続く会話・・・・それは一般の中でする会話では無いことに ため息をする彼女だった。


『エリン・・・・』
『・・・・・・もしかして、会えた?』
『確かに本人だった気もするが、俺たちと初対面の顔だった』
『サラだったけど?』
『記憶?』
『ない? なんで、コイツらの中にいるのよ・・・・

囲われて帰っちゃったわよ・・・・
そういえば、いつからの知り合いか聞いてきた・・・・記憶・・・ないなら、どこまで消えてるんだろ・・・・』
『向こうとの接触は?』
『ずっとない・・・・なぜだ・・・・』

仲間が回りを探り始めた・・・・様子を探るように手下らは、あちこちから自分達を監視していた事に苦笑いをしていたのだった。


次々と来る弁護士達へと対応し、場は人でうるさかった。

『あの・・・・貴方はサラの弁護士と聞いてます。
彼女とは昔からの知り合いで・・・会いたいので連絡先を教えて貰えませんか?』

『お断りを・・・・身の危険に晒されてます。まして貴女も警察側のようだ・・・・浅い付き合いでしょう?
彼女も知らないようです』
『なぜ分かりますか?』
ムッとした顔で彼女は聞いた。

『私に伝言はありませんから。
万が一知り合いがいれば、言伝ては必ずあり連絡先を渡しますが・・・・今日は仰ってませんでしたから』
『帰りがけに会ったから・・・・』

『その場合でも、彼女から・・・もしかしたらと連絡は下さいます。
では失礼を致します、仕事がありますから』

『なら貴方から言伝てを頼みます・・・・会いたいと・・・話したいと伝えて下さいませんか?』
名刺を差し出したエリンに、仲間が止めた。
マフィアに身をおく弁護士に、情報を出すなと・・・・

『それでも会いたいから・・・』
止めも空しく、エリンは弁護士へと渡したのだった。

Fork -4

2015-12-30 19:32:26 | Fork

郊外に・・・ある真っ白な豪邸があった・・・ソコへ向かう高級車は列をなしていく。


綺麗な街路樹が連なる道・・・・・その木々が銀杏並木に代わる。
それが途切れた頃に左折すると、その豪邸へ行く為の私道になる。

その道もまた、季節毎の色鮮やかな木々が立ち並んでいるのだった。


塀の向こうは、何かの照明で光りを放っていた・・・・
ガーデンパーティが開かれていたのだ。

広い庭に天幕が張られ、日中は日除けになった・・・
昼少し前から始まったパーティだったが・・・それぞれの時間差で客らは招かれていた。

招かれた客は、主に挨拶をすませると好きな時間で帰っていく。
特に気にいられた客のみが、豪邸で過ごせたのだった。

チケットはなくても、顔パスでパーティへ入れる者らは数人しか居なかった。

道の端に並ぶ高級車・・・・運転手らは車に控えていた。
駐車場がわりに停めるその車は・・・・主に近いほど・・・豪邸に近い場所に停められるのだった。

だから・・・誘導され停めた場所で自分の位置を知る。




品数が揃う酒店・・・・他の高級感が出ている店は、高く品数も少なくて利用していなかった彼女。

「お前は(笑)ここで調達していたのか・・・・」
一緒に着いてきた彼が店内を眺めていた。


店の外で待つ人達に呆れたが、それは諦め 前に代わり頼んでいたモノを買っていたのだった。

一応と店主の勧めで試飲している彼女に抱きつく・・・・グラスを彼へと運び、ゆっくりと飲ませ味見をさせた彼女だった。

「うまっ(笑)」
後ろから抱きつき、肩越しに物色している彼に口をひいた。
「よくあったな・・・・姉さんの好きなワイン(笑)、探すの大変らしいぞ?」
言われて肩を竦めた彼女に微笑むと、真っ白なリボンで飾りラッピングしてくれた店主へ彼女はカードを渡した。

色んな土産として買ったモノは、手下が大事に運ぶのだった。

『次までの補充は、時間が必要で・・・当分は入荷しませんよ?』
『飲めるか分からないわ・・・開けるかも(笑)』
『コルク・・・・頼みますよ?(笑)』
頷いた彼女は、店を出ていった。


見るからに分かる姿だった・・・だからか、人が自然と道をあけてくれる事に苦笑いしながら戻る。

屋敷までの道すがら、真っ黒な服が数多くいるので・・・様子見で警察車両が遠巻きに観察し・・・・何かあれば、直ぐに来れる事に安堵した組員もいた。

なぜなら、客達の間に挟まりたくないのだ・・・・
後ろを張り付く人達・・・・遠巻きでも警察と分かる・・・・
揉め事は駐車する場でも起きていたのだ。

「酒を買いに来ただけなんだよな・・・」
「集まるから不安なんでしょ・・・ただ顔ぶれが知りたいパーティなのにね・・・・・」
「見張りあったか?」
「・・・・私は昨日からだったかな(笑)」
それを聞いた彼はため息をしたのだった。



一番・・・・出入口に近い場所へ車を停めた。
遥か先まで連なる黒塗りの高級車に、ため息が出た。
二人の乗っている車は真っ白で、目立たないようにとソコへ停めさせたのだった。
その隣へ手下らも黒や白の車を停めた。

二人が歩く・・・・その後ろを手下が連なり、出迎えた人達は数歩 離れた前を案内するように歩く。

運転手らが車から出て来ると、手を前にくみ頭をさげた・・・・・それは何も持っていないという意思表示でもあったからだ。

奥へ行きたい車でも、歩く誰かを知ると 追い越す事はせず・・・静かに間を離し車を停めた。

話しながら歩くので、私道は渋滞になってしまった。

知らない者は、車から下りて歩く羽目になった・・・・時間厳守だったが、それは回りに抑えられ、説明をうけると項垂れた。

誰もが彼へ挨拶をし、謝ってから追い抜いて足早に屋敷へと向かう。
彼もまた、事情を知るので先に行かせたのだった。



豪邸の前から街並みが見える・・・・それを二人で眺めていると、屋敷から出てきた者が後ろへ佇んだ。

「・・・・申し訳ありませんが、早く入って頂けますか?」
「もう?」
「お待ちです・・・・」
嫌そうな彼・・・深いため息をしたのは、彼女だった。

「嫌いなのは分かりますが・・・・待つ方は酔いも回ってしまわれ、話しも出来ずにお帰りになられ・・・」
「いる人達で話せばいいだろ・・・」

「・・・・・口下手の方が多いのですよ? まして大通りには、警察車両が満載・・・・」
「(笑)確認しに来たか?」
「これからかと(笑)」
「面倒くさい・・・・親父を上手く動かせよ。兄貴もいるだろ・・・」

「お姉さんが時間を稼いでいるのよね・・・・ほら、助けないと・・・」
言われて彼女に抱き着くと・・・肩越しに嫌そうな顔が見えて、男は呆れ中へと手真似いたのだった。


「お姉さんのドレスと被ってない?」
「大丈夫です(笑)、贈られたドレスを着ておいででした。
ですが(笑)お二人は、それしか着ませんし・・・」
「どーだった?綺麗?」
「はい、気に入ったようで見せびらかしておりました(笑)」

「お兄さん、アクセサリーをプレゼントしてくれてた?」
「・・・・・・・じゅ、準備されて」
彼が笑いだした。

バレたと項垂れた男の肩を叩く・・・・・
「(笑)誰が選んだ?」
「聞いた通りに・・・店側へ・・・チェックし・・ ・」
「やーね(笑)つけてたら無理よ・・・。
それより、今 入った人の後ろ・・・銃、持ってたわよ?」
「見えましたか?」
「ホルスターのベルトだと思うけど・・・・・入ってたかは見てない」

手を繋いでいた二人・・・・彼が指を絡ませた。
それに気づいた彼女は、優しいキスを頬へ向けた。

「ただのパーティだぞ・・・」
「それぞれよ(笑)」
「また遊びに交ざる羽目になるだろ・・・・・外は察が待ってるのに」
サラが居れば確実に持たせるボスを知るので、呟く彼の背を撫でて中へと向かう二人だった。


兄貴と目があった・・・・彼が気づき彼女を引くと身を別の場所へと移した。
リビングで楽しげに飲む人達の中へ交ざり会話を楽しんでいた。


庭へ出る二人・・・・風も心地好く吹いていた。
接待のように招かれて飲んでいる人達へ挨拶しながら回った。

家の中で突然、銃声が響いた。
ソレを無視して二人は、客らへと挨拶に回る・・・・招かれた客が気づくと、二人へ声をかけるのだった。


暫くすると二人は呼ばれる・・・
何事も無かったかのような雰囲気の中に、膝まつき項垂れていた男達がいた。

会釈する男が、スッと銃を取り出すと前へ出し準備するように佇んだ・・・・まるで普通に鞄を持つように。

心配そうな顔の女性を、優しく抱き止めて我慢させている兄貴を眺めた。
離した方がいいと思った二人は目配せる・・・・そっと別室へ連れ出していった。



『後ろめたいと(笑)持ってくる輩は数多いが、集まる中で撃つとはな』
笑いながら話す親父だったので、手下らは身を固くした・・・
なぜならボスから自分へと弾が食い込む恐怖と闘っていたからだ。

機嫌次第で撃ち込むボスだけに、緊張は激しかった。

『いい度胸だろ?まさか、外にいる輩にワシを引き合わせたいとか?』
『・・・・・・・違います、私ではありません』
『(笑)ほぉ・・・・』
ボスが後ろに控えた男から、小さな機械を手渡され眺めた。

その男はソレを踏み潰した。
『盗聴機だったな(笑)』
バン!っと激しい音がした・・・・端の男が ゆっくりと倒れていった。

横の男の体が震えだした。
『親父さん・・・・その辺で終わらせてくれ。待機してる奴等が入ってくるだろ・・・・・客を逃がすのに手間取るぞ?』

『裏切るのは仕方ない・・・・だがな、察に身を任せるヤツは我慢ならん』
また二人へと銃を向けて引き金を引いた。

怒り顔の親父は、ソファーにもたれた・・・・
顎でクイッと手下へとすると、銃を受け取り そのままサラへと手渡した。
迷わずに撃ち込む彼女・・・・それは回りの客らが驚いていた。

グッと立ち上がるボス・・・
『なんで殺さん・・・・』
足へと撃った事に驚いて、怒りが半減していたがサラをジッと眺めた。

『殺したら、私がいつか殺されます。傷がつけば、痛みで思いだし無作法は止めるでしょう?』

『違ったら?』
『丸ごと消すまで・・・・』
ジッと自分が撃った男達を眺めながら呟く彼女・・・・・その瞳は冷ややかで、笑みのない表情だった。

『前も言ってたな(笑)』
『殺しは嫌です、外で暮らしたい』
『代わりはいるぞ?』
『その家族は可哀想ですから・・・』

『復讐で(笑)こーやって来る、消せば2度目はないと思うぞ?』
『私は2度目に・・・・復讐しますわ。
調べあげて・・・・・綺麗に・・・跡形もなく・・・クリアしてあげます』
笑いだす親父だったが、足を撃たれ倒れた男は彼女をジッと震え見つめていた。

『それが銃を使った罰・・・・恋人?妻?親?兄弟?・・・・友人? 残るは・・・・同じプレゼントを貴方へ』
優しい声音は回りへ染み込んでいく・・・・

『誰がいい(笑)』
親父は男へ聞いてみた・・・
『そうではなく・・・・この方は一番最後に逢えると言ったまで・・・』
『(笑)全部殺して最期に逝かせるのか・・・・・こりゃワシより残酷だな』

『私や私の回りを狙った代償です。
間違いを助けたのに狙うなんて・・・人としてどーかと・・・・』
『こいつに子供が居たら?』
『寂しいでしょう?ちゃんと一緒に逝かせてあげますわ』

『ま、ま・・・・』
声の震えに、彼女が微笑んだ・・・
『貴方の代わりに償うのが近い人達の役目じゃなくて?
迷いはないわ・・・・生きるもの全て・・・同じ資格を持つもの。
罪は・・・貴方が償えないなら、誰かがしなきゃね・・・・』

さらりと言った彼女の声は響いた。
辺りの静けさに回りの人達が驚いていたのだ。


『お・・・・お前が消されるぞ・・・』
『その時は・・・・(笑)大丈夫、私の復讐は既に支払い済み。
死んだ時から復讐は始まるの・・・・どれだけの数が必要か分からなくて、物凄い契約をしたわ・・・・』

『誰にだ(笑)』
『さぁ(笑)・・・・・ドキドキしますでしょ? ・・・・・・見れないのが残念だわ』
笑みをこぼした彼女を抱き締めた彼に微笑んだ。

『大丈夫(笑)貴方がされたら、私がしてあげる。だけど、私がされたら(笑)何もしないで・・・間違って消えちゃうかもしれない』
『怖く・・・・』

『人はいつか死ぬわ・・・・予測も無理なら準備は早めに。
貴方は自分の先を考えればいいんじゃない?』
痛みで顔をしかめた男へ呟いたのだった。

『もしも・・・お前の回りで起きたら、どーする?』
親父が迷いながら聞いた。
『私の手の中の人達なら・・・同じです、目には目を・・・刃には刃を・・・
それは丸ごと全部へ返しますわ。
そろそろ来そうですわね・・・』

サイレンの音が聞こえて来たのだった。

Fork -3

2015-12-28 17:13:24 | Fork

警察の車両と同じ数ほどの高級車・・・警察の方は、どーみても武装していた事に苦笑いをする彼だった。
「抗争・・・ありそうなの?」
彼女が眺めながら聞いた。

「ねぇさん・・・ボスが挑んでるんです。だから今日は・・・一人に・・・」
なるなと、はっきり言わない彼に笑み眺めた。

「誰に?業界じゃトップじゃないの?」
「同じ勢力なんです(笑)警察側は、そう思ってまして・・・・」
「あー(笑)トップは誰かを示す為にって事ね・・・・」
呆れた顔の手下達・・・・慌て口を塞ぐ彼・・・その姿に笑いながら眺めた。

「兄貴達に知られたら弾が体に食い込むぞ(笑)・・・・」
「思わせとけば いいのに(笑)
ねぇ・・・あの花束・・・」
花屋が運ぼうとしているトラックを見て彼女が呟いた。

「中に飾る・・・・あるな・・・」
「終わるまで待ってよ(笑)」
車に寄りかかり眺めながらも、辺りの様子を見る彼女を不思議そうに見つめていた。
「流れてきたら痛いじゃない(笑)警察が雪崩れ込んで来そうよ?」

そういう間なく捕まえられている男が二人・・・寄せた車に詰め込まれ去って行った。


厳つい人達が、入り口へと歩いていた。
一般人からすれば、同じマフィアとも思えたが・・・・彼らは警察関係者だったのだ。
出入口にいた人へ話をすると中へと入って行った。

それに便乗して彼が彼女の手を繋ぎ歩き出した。
それぞれに女性と同伴する人達・・・出迎えた人達が会釈して中へと促した。

親父と呼ばれる人が、刑事達と話をしていたが二人は構わずに後ろを通り過ぎた。
挨拶をしながらサラの容姿を眺め笑む人達へ微笑んで会話も交わしていく彼女に感心した。

普通のパーティと変わらず、穏やかな会場だった事に笑み彼女は辺りを眺めていた。

彼が呼ばれ・・・・手下を一人残してボスの所へ歩く彼を見ていた・・・
「真ん中がボス?」
「はい(笑)隣の兄さんは、ウチのボスの兄貴っす・・・
その隣の姉さんが奥さん。横で話してるのはボスの奥さまで・・・」
「みーんな、姉さんって呼ぶ?」
「はい、年下か・・・下の者へは名を呼び捨てにしてます」
「簡単ね(笑)」
「誰が誰かは覚えといて下さいよ?」
不安そうな顔の彼に微笑んで頷く彼女へ笑み返した。

「(笑)彼の位置は?」
「そりゃ上っすよ(笑)可愛いがられてますから・・・」
「へぇ(笑)」
聞いたのに興味のない様子に呆れ、彼女を眺める彼に笑った。

咄嗟に二人で目線をずらした・・・
「ごめん、貴方がヤバくなる?」
「大丈夫ですけど・・・・呼ばれてますかね・・・・姉さんが見られてました」
「知らんふりよ(笑)貴方も見ないで」
と背を向けて話をしているような感じで惚けた二人だった。

「やだ(笑)冷や汗?」
「無視したように見えたらヤバそうで・・・・」
アハハと笑う彼女を驚きながら見つめた。
グラスを持たせ乾杯する彼女・・・二人で苦笑いしカクテルを飲んだ。

後ろから抱きつく人に笑み、肩にある顔にキスをした。
「バレてない(笑) ・・・・大丈夫だった」
笑う彼女と部下に呟く彼に微笑んで、部下を眺めた。

ハンカチで汗を拭く彼・・・笑みながらハンカチを取り首筋まで彼女は拭いてやった。


端で一騒ぎがあったが、そっと誰かを連れ出す様子に目を止めた。
誰かが来て彼へ耳打ちすると、彼はため息をして彼女を見つめた。
「なに?」
「二人で呼ばれたんだ・・・嫌な感じだ」
そう呟くと繋ぐ手に力が入った。


フゥと息をはくと、ドアが開かれた・・・・
中央に膝まつかされた男女・・・親子のように見えた。
椅子に座り笑みながら自分達を見ている人がいた・・・・・その人が言う。

「こいつらを(笑)どーしたらいい?」
突然、言い出した人を眺める・・・・回りでは にやけ笑っていた。

「何の事です?」
「こいつの娘が くすねやがった(笑)。
掟は死だ・・・だが娘の始末は出来ないとさ・・・・」
「躾がたんねえ(笑)」
「知ってて騙してたんだ(笑)仲良く逝って先代へ謝りの伝言を頼んだ」

泣きながら謝る女性・・・・項垂れて諦めている父親だった。
その姿に苛立ち激しく罵り父親を責める女性に驚いた・・・・

「お前なら(笑)どーする?」
ふいに座っていた男がサラを眺め聞いてきた。

端の男が銃を取り出して父親へ向けると・・・・目を閉じた様子に呆れフゥと息をはいた。

「貴方が身代わりに死んでも、彼女はまた しでかすんじゃない?」
父親が驚きサラを見つめた。
だが娘がサラへ暴言を吐き出した・・・・回りの男達が笑いながらも女性を押さえ付ける。

「殺せ(笑)確かに直んねぇな・・・」
聞いた男は促し、サラへ銃を掴ませた。
ため息をしながら、彼女の前へ行き頭へ銃口を向けた。
ひきつるように女性はサラを眺め・・・父親を考えるように見つめ、その娘を見返した。

「父親の仕事を邪魔したら・・・死ぬと知ってたの?」
小さく頷く女性・・・・
「それで何で邪魔をした?」
「お金が欲しくて・・・・」
「なんで?」
「遊びたいからに決まってんじゃん」
言い切った女性の足を撃った。

消音されていた銃・・・掠るように撃っていた・・・・痛みで歪むが彼女はサラを睨んだ。

「次はココ(笑) ・・・手にする?頭でいい? (笑)貴女の綺麗な体にする?」
焦ったように謝り・・・許しを請う彼女・・・・庇うように父親がサラに撃つなと願うように見つめた。

「なら貴方へ(笑)」
父親の足を撃つサラの表情が変わらずに、より恐怖の目で女性は父親を眺めた。

「この世界もルールはあるでしょ?破れは命を差し出せと(笑)言ってた。
私はどーしたらいい?」
震え始めた女性を眺める・・・・回りの男達まで真顔になってきた・・・

「サラ(笑)早く始末しないと運べねぇぞ?」
「ボス・・・・」
焦る彼が勘弁してくれとボスを眺めた。

「お前(笑)・・・・・殺さねえとサラが、こいつに殺されるぞ?
この女なら殺りかねん(笑)」

「気づいたら(笑)私が殺しに行きますわ。彼女の回りの人達へも、キチンと礼はして参ります(笑)」
サラの言葉に皆が驚いていた・・・

「彼女より早く(笑)数多く・・・近い人は誰が居ます?」
「姉妹だったな・・・子供も居たぞ?」
「母親と・・・・あー婆さんもいたな」
「調べといて頂けます?」
「子供も?」
「あら(笑)支障ありました?誰から始めたら楽しいかしらね・・・」
怒りを露にした女性の足へ撃ち込んだ・・・・そのまま ゆっくりと銃口を上げ・・・・額へあてる。
熱さと恐怖の顔に笑みを浮かべた。

「やり返す?(笑)構わないわ。
借りは返さないとね・・・中で生きてるなら(笑)外れるべきじゃないわ。

貴女は理解してる?貴女のせいで家族の命が消えるの(笑)
今・・・貴女が死んでも・・・家族も消えるわね(笑)きっと」
「ん?サラ・・・・生かすのか?」
驚いたボスが聞いた。

「ここで人を殺すのは嫌です(笑)。
私なら・・・・ひーっそりと・・・・跡形もなく」
最後の言葉は彼女へ向けて呟いた。
泣きながら頷く女性・・・ごめんなさいと小さく頷く・・・・


サラは銃を返すと彼の隣へ戻った・・・震えの止まらない微かな彼女の手を繋ぎ握り指を絡めた。

「 ・・・・・仕方ない(笑)サラの顔を立てよう。だがな・・・少しでも動きがあればサラじゃなくワシが消そう。
お前の全部を始末する事にしよう。
そーだな(笑)部下も消すか・・・」
「把握はしてますが・・・・」
「こいつに付きたいならだ(笑)、出たいヤツは出せ。
みょーな動きでも構わん(笑)消せ」
言い切ったボスに親子は恐怖がまざる顔をした・・・・頷く人達を確認するとサラを眺めた・・・・

「サラよ・・・・(笑)ガキも消すか?」
「もちろん(笑)私が死ぬまで狙われるなら、確実に仕留めます・・・必ず」
その答えにフゥと息をはくと、二人を出て行かせた。


新たな別室に呼ばれ並んで座る二人・・・笑いを堪えボスがやってきた。
「今までの記憶が(笑)ないそうだな・・・何があったかは?」
「それすら全く(笑)」
「似た中に居たか?(笑)」
「さぁ(笑)気にはなりますけど・・・」
「サラは、こいつに張りつくか?」
「ボ、ボス?」
焦る彼が彼女を掴み離さなかった事に、大笑いした。

「病院で調べろ(笑)」
「お断りを(笑)あの臭いは吐き気さえ起きますし・・・」
「少し調べたが(笑)一つも出ん・・・」
「警察関係者も言ってました・・・問い合わせもないので・・・家族も居ないのかも・・・」
「事故に巻き込まれたらしいな・・・同乗者も目撃者も出てないと・・・」
そうだったと頷くボスだった。

「自分が誰か・・・知りたいだろ(笑)」
「はい(笑)でも方法が分かりません・・・
あっ手配書みたいのは止めて下さいね・・・・自由に歩いて接触してくる人に聞きますから(笑)」
「回したら、こいつも危なくなるだろ(笑)それはせんよ・・・
それより何で殺さなかった?狙われるぞ?」

「恐怖と痛みを体感すれば十分だと思えたので(笑)、それに人殺しは嫌ですから」
「そのわりに撃ち込んだぞ?」
「父親なのに労ってなかったので・・・あれは本当の娘ですか?」
「そうだ(笑)ガキの頃からマフィア以上に残虐だったぞ?」

「なら(笑)次は迷わずに・・・・」
「迷ったのか?」
「女性だから、顔や手は可哀想かと・・・足なら丈の長いスカートとかズボンで隠せます(笑)」
「直ぐに消える(笑)安心しとけ」
「私の代わりに人殺しを作るのは止めて下さい(笑)」

呆れ・・・笑うボスは、二人を部屋から出したのだった。


出て行った二人を眺め・・・・
「裏から探してみろ(笑)銃の扱いが手馴れ過ぎだ・・・・」
「どっかのマフィア・・・・」
「娘なら探すだろ・・・・」
「万が一警察関係だったら・・・・」
「それは無いだろ・・・姿が消えた時に探す手立ては向こうの方が早い。
だが一切ない・・・・こっちからは殺すな。
他国のマフィアだったら不味い・・・」
分かったと頭を下げて数人が出て行ったのだった。


「可哀想ね・・・・家族が居ないなんて・・・」
「(笑)気になるか?」
「微笑んでる彼女だったけど・・・寂しそうな顔だったわ。
だから、あの子も一緒に居て離れないのよ?」
「(笑)くっつけるか?」
「見守ってあげて(笑)縁があるなら勝手に繋がるわよ・・・・」

「お義母さま(笑)」
「そーでしょ?(笑)嫌いなマフィアと結婚した貴女なら分かるでしょ?
怖いけど・・・覚悟を持って、息子の為に親と縁を切った貴女なら・・・」

「人を消すよりも、生かす術を知る彼女を見ていたいわ・・・」
「消した方が家族は安全なんだぞ?」
「それでも・・・彼女は生かした。あの子を守るように見えたの(笑)」
「取られそうで心配した顔(笑)、今までの子達には無かったわよね・・・」

「サンタは幸せを、あの子に運んでくれたのかしら(笑)」
「そうだと いいですね(笑)」
二人の会話に交ざれない人達は苦笑いしながら聞いていたのだった。

Fork -2

2015-12-27 19:17:36 | Fork

ランチをすませた二人・・・ずっと話さない彼は彼女の手を繋ぎ、暫く街中を歩いた。

街の中へ流れてくる曲は、並木道や街路樹・・・それぞれの店から聴こえていた。
陽気な音楽は道行く人達を楽しませた。

ふいに立ち止まる彼・・・店先に飾られたドレスを眺めていた。
「あれ・・・(笑)着たい?」
「いいえ(笑)」

「・・・着てくれるか?」
彼の呟きに ため息をする彼女・・・
「いいわ、もしかして今日も?」
「ごめん・・・お前を知るんだ・・・。
兄貴と親父に取られたくない・・・全部揃えて出向く、だから」
少し我慢して着いてこいと言いたい彼・・・・だが、彼の手下から夕べ聞いていたので驚きもせずに微笑んだ彼女だった。

「いいわよ(笑)、お揃いでも」
マネキンが来ているドレスと、タキシードがあった。
同じ物で出来ている事に笑み、それを見つめていたのだ。

「ちゃんと守るぞ・・・だから俺を信じろ・・・」
「マフィアに染まらないと誓える?」
「サラ・・・・命令は絶対だ、親父に殺せと言われたら・・・・」
「殺さない・・・傷は負わせても、人は殺さないで・・・頑張ってみて」
フゥと息をはく彼・・・なかば無理だろうと思うサラもいた。
だからか返事は聞かず、店へと入ったのだった。

「またっすか・・・・」
二人の服の色に手下が小さく呟いた・・・・黒・・・多種がある中で二人は変わらず この色を選ぶ。

何が違うと聞かれ生地と迷わず答える二人に呆れながらも支払いを済ませる部下だった。

靴や小物までを揃える彼・・・次々と買い足していく。
手下らが運び・・・彼女は呆れ車に寄りかかり彼を待った。

最後の買い物がすむ・・・少し歩きたいと彼は彼女を促した。


暫く歩いていたが・・・少し後ろから銃声が響いた・・・知る音と分かると、彼はサラの手を繋ぎ人混みへと入り込んだ。

待ち合わせ場所を彼女へ言うと、サラを先に走らせた。
激しい音が後ろで響く・・・立ち止まるサラに気付いたのか、走れと叫ぶ彼の声がした・・・・
「行け!」
彼の怒鳴り声・・・・銃声が彼女を締め付けた。


ふいに掴まり小路へと引かれたサラ・・・抱き寄せて震える人を眺めた・・・
「昨日の・・・・」
「このまま逃げよう・・・」
「ごめんなさい・・・それは出来ない」
「彼を・・・・」
「狙われてるのよ?無事か確認しなきゃ・・・・貴方は早く離れて・・・」
行こうとした手を掴む彼に驚いた。

「心配してくれて、ありがとう(笑)。だけど自分の身は守れるの・・・・彼もそうだけど・・・」
「こんな事は現実に有り得ないだろ・・・・・普通はない!」
「・・・・日常じゃないけど・・・中に居たのも事実と思うの」

「なぜ?」
「撃ち方を知るから・・・ごめんなさい・・・・本当に・・・ありがとう(笑)
メリークリスマス!」
微笑んだ彼女へ・・・彼はクビへ手を回すと彼女の唇へ口付けた・・・・
抱いていた彼の手も強まり、彼女は悲しげな目で彼を見た。

「貴方の・・・・」
「ごめん・・・」
「今日で最後に・・・・」
「俺は君を・・・」
スッと離れ奥へと彼を連れて行った・・・・
「右へ逃げて・・・私は左へ行くから」
「だから一緒に」
「いいえ。
・・・私は彼の所へ行かないと(笑)。
私は一般的な・・・普通の女性と同じじゃない。
私と繋がれば、貴方は死が待つ中へ落とされるわ・・・・もう近い・・・
次に会っても声はかけずにお願い」

笑む彼女はそう言うと走り出したのだった。


通りへ面した道路に・・・一般人も怯える程の車が多数停まっていた。
「あれは味方?・・・・居ないじゃない」
物陰から覗くサラは、驚きながら呟いた・・・・

「そうだ(笑)味方だ。 兄貴も居るな・・・・」
突然 声をかけられた彼女は驚き、身を縮ませた。
「無事で良かった・・・・」
笑む彼が肩を抱く・・・彼を壁へもたれさせて怪我がないか体を確認していった・・・・
「掠っただけだ(笑)」
彼の呟きに呆れハンカチを包帯のように巻き縛りつけた。

「お前が無事で本当に良かった・・・」
「お互いに(笑)、で?歩けるの?」
彼に笑み聞いたサラに口付け抱き寄せた・・・・

「お前の記憶の中の奴かと思った・・・」
行きかけた彼が呟いた・・・
「見てたの?」
小さく頷く彼・・・・苦笑いしながらサラの頬を包んだ。

「マジで逃げるなら・・・安全だと思えた。弾の飛ぶ中より安心だと・・・。
サラ(笑)俺を愛したか? だから戻ったのか?」

「(笑)何度も言わせないで・・・記憶が戻らない限り誰も愛さない(笑)。
それでも貴方の近くに居るのは、貴方が私を守ってくれてるから・・・」
だから ごめんと言いたげな顔の彼女に微笑んだ。

仕方ないと息を吐く・・・彼の腰に回した彼女は支えた・・・
「今なら逃げれるんだぞ?」
「(笑)兄貴に何て言うの?」

「そうだった・・・・わりぃ(笑)話してあったんだった・・・・」
「服(笑)着替えなくて良かったわね(笑)これじゃね・・・・」
歩きながら話す二人のもとへ、手下らが助けに走っていた。

捕まる数人の男達・・・・誰かの車に乗せられ連れて行かれたのだった。
黒い服は、白く汚れ・・・呆れたように眺める人に彼が苦笑いをした。


「お前がサラ?」
「はい・・・」
「兄貴・・・俺んです。マジで勘弁して下さい・・」
「誰が決めた?」
「俺が・・・」 「二人で・・・」
答えた二人の声が重なると、後ろから笑う人に驚き振り向いた。

『親父・・・』
『お前の女か(笑)』
『はい・・・・・・すいません』
狙われ捕まえ損ねた彼は、項垂れていた・・・
『しょーがねぇ(笑)女が居たんじゃな・・・・』
と言いながらもサラを見ている親父に焦る・・・・だが彼女は一つも親父と呼ばれている人をみず、彼の怪我を確認していた。

『そいつが心配か?』
『はい・・・怪我をしているので・・・手当てをしに離れても構いませんか?』
『サラ!』
『おい!(怒)』
『お前!』
『あっ?』
それぞれに叫ぶ人達に驚くサラは、その人達を見つめた・・・

『すみません・・・掠り傷でも、手当ては ちゃんとしないと・・・・』
『行ってこい(笑)ボスの屋敷に集まる。着替えてこい・・・綺麗にな(笑)』
笑いながら車に乗り込んだ人達・・・・あっという間に走り去って行った。

見るからに安堵している人達に驚き、彼の手下を眺めていた。
サラは皆を見つめながら
「病院って・・・この傷(笑)行けるの?」
「大丈夫な病院に行きましょう(笑)通報はしない所なので・・・・」
笑う皆に笑み返すと彼を乗せ彼女も乗り込んだ。


手当てがすみ・・・隣にあったホテルの一室をとると身綺麗にして着替えた二人がいた。
髪も自分でセットすると、彼の髪も手直した。


玄関で車を待つ二人・・・・彼女へ抱きつき肩越しに呟く。
「お前の度胸は有り難いが・・・加減を覚えろ(笑)」

「それでも私は私でいたい・・・・どんな生き方をしてきたか知らないけど、自分を曲げたら・・・私という・・・・・・サラという女が生きた道が消えそうで嫌だもの。
どうせ危険な中に身があるなら、サラという自分を ちゃんと生きたいわ。
だから・・・・ごめん、貴方が危ないなら構わずに捨てて(笑)」

「サラ(笑)記憶が戻っても・・・・」
スッと彼へ腕を回した彼女、話すなと言えずに手に力がはいっていた。

元に戻してやりたい自分と、そばに残って欲しい自分へ迷う彼だった。

チーム 71

2015-12-27 19:06:02 | 50on チーム

馬を放し休ませる。
広い湖面を眺めみていた。
シュウとシウルは走りながら水際で遊ぶ、風に押されて波をうつ湖水で・・・・
「変わってない・・・・」
「いつ来た?」
「ん・・・ナナ達くらいかな(笑) サキとリョウに連れて来て貰った。
もっと・・・早い時間で・・・空気が澄んでて綺麗だった・・・」
黙ったまま彼をみて、頬にキスをした。

「貴方に時間を(笑)」
彼を残し子供達の元へ行くと手を繋いだ。
「シキに時間をあげよう(笑)今は三人でいてくれない? 二人は一緒に散歩してくれる?」
笑う二人は歩きだした・・・髪が風になびきシウルが笑う。

「なんで笑う?」
「可愛いから(笑)」
「そりゃどうも(笑)」
遠くを眺めたまま笑み微笑んだ。
「ちょっと違うね・・・」
湖を眺め小さく呟くシュウ・・・
「だね・・・・(笑)」
シュウに笑いシウルを見ると怒った顔をしていた。

「シウル・・・・」
「なに?(怒)」
「ごめんね・・・大好きよ(笑) 小さなシウルも、大きくなったシウルも全部好き・・・・」
「ズルい(怒)シュウだけ」
「なに・・・・」
「湖・・・・きてない」
怒った顔のままで言ったシウルに驚いたが・・・・
「シュウも初めてよ?」
穏やかな笑みでシウルに言った。

「昨日話してた、さっきは違うって言ってた。来てる・・・」
「父と、ずっと前に話をした事があったんだよ(笑) だから・・・」
「違うはなに?(怒)」
「シウルが産まれる前に一度ね・・・。きて・・・」
腕を引くと抱き締め、手がより強くシウルを包んだ。

「まだ・・・争いが無くて・・・出かけた事があるの。ソコに座ろ(笑)」

誰が作ったのか・・・座れるような椅子のようになっていたのだ。

「ドールにも湖はあるの。そこへ行ったわ、いろんな事があって・・・。
シウルがお腹にいると知った時も他国だったの。
凄く嬉しくて・・・だけど怖かった・・・ちゃんと家に帰れるか、シウルがお腹にいてくれるか不安だった。

まだ戦ってたから・・・祈りながら戦って・・・・隠れて、何回も隠れて戦って・・・・。
何とかジィの家に行って休んだのよ(笑)。
家に戻って心配されて・・・シュウはシウルと会いたくて頑張ったのよ。皆が助けてくれたわ(笑)。

無事に産まれても、母は不安だった・・・・どこかに行くより、貴方達を守らなきゃって・・・・だからシウルとは湖に行ってなかったの・・・ごめん」

「家を変えたり?訓練したり?」
「ごめんね・・・母のせいで苦しめて。シウルもごめん・・・。
大丈夫な時期が少なくて、怖くて遠出が出来なかった」

「遠出したら薄布・・・なんでつけるの?」
「顔が分からないように(笑)。どの国に住んで、顔はコイツ(笑)なら仲間は何人で…家族はコイツで…って、バレたら利用されるでしょ? してても拐われたけど」

「アレは大丈夫だった・・・」
「なぜ?」
「ミズキとシュウがいた。ずっとシウルを抱っこして大丈夫だった」
「次は絶対ないように・・・」
「なんでシュウだけ特別?」
シウルが呟く言葉に驚いた。

「してない」と声が重なった。
「シウル・・・母は特別ってしてないよ? どこが特別?俺はシウルが特別って思ってたよ?」
「嘘だ・・・たくさん話をする。詳しく教えてるし・・・シウルには教えてくれない(怒)」
剥れた顔のシウルをシュウとハルは見つめた。

「シウル・・・それは聞かないからだよ。シウルは一緒にいるから、聞かなくても知れる。
ミズキと俺は沢山の事を知りたかったから、言ってくれそうな人に聞きまくってたんだよ。
シウルからは聞いてない・・・だから話さないんだ。

シウル・・・教えないのは、当たり前だよ?聞いたのは俺だから・・・・・

んー・・・・・用があって頼みたい父はシウルと話をしてるとして、用を頼むのは誰にする?」
「シウル・・・」
「(笑)だよね。後ろに俺がいてもシウルに話すだろ?間違わないように詳しく話すだろ?」
分かるか不安なシュウにハルが口をひいて笑み 見守った。

「話す・・・。でもシウルが小さいからじゃなくて?」
「違うよ、小さくても必要なら話すだろ? 父も母も、必要ない時は話さないんだ。
だから知りたいなら聞くしかない」
「分かった・・・ごめん」
「いいんだ・・・ごめん」

笑みあった二人・・・・・間にいるハルをみて微笑んだ。
「母は寝てる(笑)・・・・・父は?」
「ジッと何処かを見てるね。何を見て思い出してるかな(笑)」
「聞く?」
「これが大事な思いなら(笑)聞かないで話してくれるのを待つんだって・・・・・。母が、そう言ってたよ」
「じゃ・・・・・」
「うん、分からないや(笑)」
「シウルも無理。無理はしない(笑)止めて遊ぼ!何をする?」
「作る?持ってるよ(笑)」
枝を見つけたシウルが笑う。

「紐がない・・・あれ・・・使お(笑)」
ハルの髪にある布を指さしていた。
「シウル・・・・せめて自分の服にしろよ(笑)。とりあえず集めよ」
少し離れて二人は草原を探す

シキがきて、隣に座って眺めていた・・・・体をずらして、ハルの体を寄りかからせた。

『何を作る?』
裾の中を切り裂くシウル達にシキが聞いてみた。
『弓矢(笑) 湖に飛ばして競争するんだ。勝てる(笑)』
『なぜ?(笑)』
『体の大きさは関係ないってミズキが言った(笑) はずさないように狙いを定めろって。
風の向きと始めに出た時の曲がりを、次は直して調整して狙う(笑)』

『俺には言わなかったぞ?』
シュウは作りながらシウルに言うと
『(笑) 聞いた・・・曲がるから無理だって。コツがあるの?って』
『ズルい・・・』
『(笑)へへっ・・・・』
笑うシウルは手にした弓にする枝を整えた。

『お前らソレ・・・』
足首に小さな短刀がついていた。
『母が前に(笑)ミズキと三人に用意してくれた。扱い方とか・・・』

『出る時は持つ。しまう時は、誰かと自分が怪我をしないように気を付ける(笑)それが基本!』
笑みながら湖により近い場所にたち二人は矢を放つ。
シキは太い枝を拾うと、湖へ放り投げた。
笑う二人は狙いを定め放った。


「失礼します(笑)ご無沙汰を」
シキが笑みながら、声のする方へ眺めた。
「トレイルから?」
「はい(笑)ないないに。アントアの王をと・・・・」
「外すか?」

その後ろから姿を見せた人が笑み歩いてきた。
「構わん・・・(笑)すまぬ、久しぶりにココにきた。静かで・・・母が好きな場所でもあった」
「おかけに(笑)」
ハルがおき、場所を譲った。

「トレイル王のお体がきかず、逝く前に会いたいと(笑)来たら会うかと知らせを受けた。二つ返事で返した(笑)
今の所、大丈夫と思うがシュリがみた国はどうか?」

「笑ってましたよ(笑) ただひとつ・・・無闇に開放しすぎのように思えました。商いをいい事に邪な商人がおりました(笑)
取り締まりを、見回れば分かりますよ、他にも(笑)」
笑みながら、後ろに控えたスイを見つめ微笑んだ。

「すみません、力が足りず・・・」
「(笑)ガイが捕まえてた。鍛えたな・・・・・だが足りない(笑)。
スイ・・・・謝らず、対策を働かせ指示を出せ。遅れは被害が大きくなる・・・・気をより回せ(笑)」
笑みながら、そばの部下に話し行かせた彼に笑みを浮かべた。


「聞いていますか?」
迷うように問いかけた王に笑み
「(笑)王様がお決めに・・・」
「遠い・・・・この地で生きれましょうか」
呟きながらも、不安は取れていないように思えた。

「王様が助け守りぬいて下さるなら(笑) なにせ怖がりゆえ・・・」
「上二人のどちらかをとな・・・」
「会うて話を(笑)。決めるのは、先の事・・・・秘密に連れ出し、彼女達は私の娘に(笑)なりすましております。
初めて国を出ましたので、外に出ません・・・(笑)」

「母、(笑)ミズキがきた。遊んでいい?」
頷く姿をみてシウル達は駆け出した。

「なぜ三人だ・・・・」
こちらへ来る姿に、思わずシキは呟いた・・・・
「下が離れなかった(笑)」
「シュリ・・・・」
ため息をする彼に笑い 誤魔化すしかないと、笑む彼女だった。