![]() | 夢の轍 プライス・ダウン・リイシュー盤さだまさし,Linda Richardson,渡辺俊幸フォア・レコードこのアイテムの詳細を見る |
映画「長江」は興行的に成功しましたが、それ以上に制作費がかかり、さだまさしはこれから莫大な借金生活に陥ります。もちろん、彼の努力で数年前に完済のめどがたったんですが、この1980年代の前半は特にしんどかったみたいですね。その辛さが、このアルバムにも出ていると思います。
この年さだまさしはアルバム「夢の轍」と、シングル「しあわせについて/苺ノ唄」と、後年こんなに知られるとは思っても見なかった「長崎小夜曲/北の国から─遙かなる大地より~螢のテーマ」を発売しています。さだまさしは、自分のレーベル「フリーフライト」をおこしてからは、シングル盤をアルバムに入れることはなかったんですが、それもこの2枚のシングルまでで、翌年発売された「退職の日」はこの年に発売された「夢の轍」からのシングルカットでした。本人的には凄くつらかったと思います。
で・・・この1982年にどんな曲がHITしたかというと・・・
1 待つわ あみん
2 セーラー服と機関銃 薬師丸ひろ子
3 聖母たちのララバイ 岩崎宏美
4 心の色 中村雅俊
5 北酒場 細川たかし
6 悪 女 中島みゆき
7 ハイティーン・ブギ 近藤真彦
8 情熱・熱風・せれなーで 近藤真彦
9 チャコの海岸物語 サザンオールスターズ
10 ふられてBANZAI 近藤真彦
11 渚のバルコニー 松田聖子
12 赤いスイートピー 松田聖子
13 ウエディング・ベル シュガー
14 哀愁のカサブランカ 郷 ひろみ
15 小麦色のマーメイド 松田聖子
16 ジェームス・ディーンのように Johnny
17 誘 惑 中島みゆき
18 シルエット・ロマンス 大橋純子
19 色つきの女でいてくれよ ザ・タイガース
20 い・け・な・いルージュマジック 忌野清志郎+坂本龍一
私は22歳・・・大学4年生でしたが、この頃は松田聖子に夢中でした(爆)「待つわ」を歌った「あみん」は、さだまさしのアルバム「夢供養」の一曲「パンプキンパイとシナモンティ」という曲の歌詞に出てくる「喫茶店あみん」から名前をつけました。さだまさし自身は、当時世界を震撼させたウガンダの「アミン大統領」から取ったと告白しています。
★しあわせについて/苺ノ唄
映画「ひめゆりの塔」の主題歌となった「しあわせについて」はさだまさしの代表曲の一曲となりました。さだまさしらしい反戦歌です。とても明るい曲調が胸に染みます。B面の「苺ノ唄」はとても可愛く優しい歌です。歌詞が凄く凝っているんですね。
★「長崎小夜曲/北の国から─遙かなる大地より~螢のテーマ」
いまもこの2曲はさだまさしのライブでは欠かせない曲。このシングル自身はそんなに売れなかったし、「長崎小夜曲」もめちゃおとなしく元気のないテイクなんですね。「北の国から」のほうは、たぶんさだまさしの曲の中で今でも一番放送されている曲かも。北海道の場面では、シリアスなものでも、バラエティでもこの曲が流れます。さだまさしファンの私としては、もちろんドラマが優れているとは思いますが、さだまさしのこの曲も多大な影響を与えていると信じています。
ってことで・・・アルバム「夢の轍」について・・・
さだまさしのテーマには「生命」が多く取り上げられていますが、このアルバムは特に「死」について、多く歌われているんですね。冒頭に書いたように多大な借金」が原因とは思いたくはないんですが、さだまさしのアルバムの中で、一番「重い」と思います。
1. 微熱
この曲はいままでのさだの作品にない曲調です。心臓の鼓動のようなドラムの音が心地いいです。
2. 極光(オーロラ)
曲調の明るさと大きさとはうってかわって、とても悲しい歌なんですね。
あるカメラマンが撮影中に飛行機の羽による事故で亡くなったという実話をベースに作られています。
このアルバムの一曲目の「死」に関する歌です。
3. 虫くだしのララバイ
この曲は二曲目の「死」に関する曲です。
なんせ一行目に「大好きなおじいちゃんが死んでしまった」と歌われます。
しかし、凄く明るく前向きな夢のある歌です。通にはウケがいい曲ですね。
4. 人買
「山椒大夫」の歌ではありません(笑)都会に出て行った恋人を、故郷で思う男の歌です。
5. 前夜(桃花鳥(ニッポニア・ニッポン))
3曲目の死。この歌詞では「朱鷺が7羽に減ってしまった」と歌われていますが、 アルバム発売時にはすでに3羽しかいませんでした。さだまさし版「傘がない」といえば一番わかりやすいかも。
6. 退職の日
退職を「死」とは考えたくないんですが、公園で飾られて、もう二度とレールの上を走ることのない蒸気機関車D51はやはり「死んで」るとおもいますし、退職した父親は戦争で不幸にも生き残ったわけです。
7. まりこさん
中島みゆきの「悪女」に出てくる「まりこ」のことを歌った歌だと思います(笑)
8. Home(Now I Know I’m Home)
さだまさしが珍しく他人の詩、しかも英語の詩に曲をつけた歌です。
故郷(HOME)のことを歌った歌です。
9. 償い
後に少年裁判において、裁判官がこの「償い」を引き合いに出して諭したことで、凄く話題になった曲です。交通事故の加害者が亡くしてしまった被害者家族に送金を続けるという歌なんですが、人が人を許すことの難しさ、優しさ、厳しさが歌われています。
10. 片おしどり
「前」の戦争で夫を亡くし、「片おしどり」 なった妻が、夫を亡くしてから女手一つで子供たちを育て、幸せなひと時を迎えながらも、亡き夫を偲ぶ歌です。
このように、この「夢の轍」は「死」というよりも「生命」を歌った歌ばかりなんですね。
「夢の轍」の解説に感動しました~。
私は、前夜を聞いて、さださんのファンになりました!
通じゃないけど、虫くだしのララバイも大好きです。おじいちゃん子にはたまらない歌です!
このアルバムは本当に重いアルバムですが、未だに彼の代表曲となっている歌がたくさん収録されていますね。