始まりの法定シーン。元夫婦のどちらかが裁判官に虚偽を伝え、真実が見えない。
家庭内暴力はあったのだろうか…誰にも何にもわからず未確定なまま、長男のジュリアンの悲痛の訴えだけがぼんやり浮かんで終わった。
しばらくすると判決が下り、妻の、母の訴えは通らず、ジュリアンは週に一度、父親との面会をすることになってしまった。
父親の暴力は事実であった。ジュリアンは母を守るために賢明な嘘をつき、そして涙を堪えたその視線は常に痛ましかった。
そしてある時、母と姉とジュリアンと、逃げるように構えた新居を見つけ出されてしまう。
そこからは息を飲む展開が待っていた。
始まりの法定シーンの閉じられた扉と、一番最後のシーンのアパートの扉が対となっているように感じ、当事者にしかわからない目に見えない恐怖がDVの惨状であると、訴えかけているように思った。
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