sumire日記

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清く柔く

2020-05-09 23:49:00 | 日記

始まりに、柔らかな題名とポスタービジュアルとは裏腹に、手に滴る血を舐め横たわった男が映った。そして、「大切な人を失っても人はまた愛することができるのでしょうか?」とだけ、語りがあった。


一転、時を戻して、主人公のカンナとハルタという幼馴染が映し出され、駆け出した2人の15歳が始まった。


入学し、新しいクラスに馴染めないカンナは、同じく窓の外をぼーっと眺めるアサミに話しかけた。するとカンナの頭を目指してボールが飛んできては「ごめん、手が滑った」とアサミと同じ中学出身であるマヤから声がした。しかし、すかさずハルタがマヤへとボールを飛ばし、それを皮切りにマヤとハルタの取っ組み合いが始まってしまった。男の子は分からん方式で仲良くなるとカンナは呟き、気づけば4人の高校生活が進んでいった。


ハルタとカンナはお互いが一番大切で好きだった。幼馴染からか遠慮もなくカンナの部屋に野良猫のように来ていたハルタは、いつからか野良猫のようにカンナにキスをした。カンナは「くるならメールしてよ」と言いながら、でも、それでも2人は幼馴染だった。ただ、2人は2人が一番好きな人なのだと、わかっていないふりをしているしか、わからなかった。


ある日、マヤが2人きりカンナを花火大会に誘った。カンナは、ハルタが見たいと言っていた浴衣を着て、慣れない足取りでマヤの待つ花火大会に向かっていた。

だが、突然だった。ちょうどその頃ハルタは事故に遭い一瞬にして帰らぬ人となってしまっていた。携帯をいじっていた。残された履歴はカンナへのメールだった。

一言、「いくよ。」と書いてあった。


8年後、ひょんなことからロクという男と出会うが、これが最悪か最良か。だが、カンナにとって大きな出会いとなったのだった。

掴みどころがなく飄々としているロクを岡田将生が柔らかい空気感でそつなく演じきっていた。また、ロクと関わることで、封印していた過去の時を戻し、少しずつ進ませていく、長澤まさみの表情や佇まいは圧巻であった。


「ひとつ違えば違う言葉を返すでしょ?少しずつずれができて違う未来になる」

ロクは小学生の頃、自分を好きになってくれた子を乱暴にも突き飛ばしてしまったことがあった。そのせいでその子は事故に遭ってしまう。


カンナとロクは互いに自分を重ね、置いてけぼりの自分にその度に気付かされ、思い出し、苦悩し、だが共に前に進むのであった。


そして、携帯電話に残された「いくよ。」の一言には、ハルタのどうしても言えなかった、好きだ。大切なんだ。という、えもいわれぬ想いが目一杯に詰まっていたと知った。


斉藤和義のかげろうがぴったりとはまり、

2人が時間をもどしては進めていく様が思い起こされるラストであった。それは清く柔く。




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