弐千円札よ永遠に

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序章その三 (日本の鉄道網が抱える問題点について)

2011-03-31 20:00:00 | 広軌改築論
前記事では,とりわけ貨物輸送のモーダルシフトを阻害する要因として,わが国の鉄道網に関する問題点について触れた.今回は,その問題点についてもう少し考えてみようと思う.

まず一つ目は,新幹線とりわけ東海道新幹線の輸送力が逼迫しており,とても貨物列車などを走らせる余裕がないことであった.

その対策の一つとして,リニア中央新幹線といった計画がある.しかしながら,これが開通するのは早くても2027年,そして開通しても当面は東京(品川)と名古屋を結ぶに過ぎない.さらにこれが輸送するのは旅客のみであり,貨物を輸送する計画はないようである.また,磁気浮上しなければ走れないという性格上,輸送力面でのポテンシャルは未知数である(おそらく小さいだろう).したがって,リニア中央新幹線は旅客輸送に関しては多少のモーダルシフトを促進するかもしれないが,貨物輸送に関してはまったく寄与しないであろう.

二つ目は,新幹線の規格が在来線のそれと根本から異なり,見た目は同じような鉄道に見えても互換性がまったくと言っていいほどないことであった.一部の例外を除き,新幹線のネットワークは在来線のそれとはまったく別個に存在している.そのため,直通運転は基本的にはできない.山形新幹線ならびに秋田新幹線(厳密には在来線の奥羽本線ならびに田沢湖線)のようにミニ新幹線という手もあるが,長期間の運休を伴う改軌工事を他の路線にも適用することは難しいだろう.

三つ目は,本題からは外れてしまうが,高速鉄道のネットワークが在来線と新幹線ともに東京で分断されていることにある.

在来線については既に湘南新宿ラインという形で東北本線-東海道本線の直通が事実上実現し,さらに2013年には上野-東京ルートでも直通運転が開始される見込みである.しかしながら,新幹線においてはJR東日本が管轄する東北・上越・長野の各新幹線と,JR東海が管轄する東海道新幹線が分断されたままになっている.東北新幹線と東海道新幹線の直通運転が可能になれば,両社とも東京駅がターミナルとして過負荷な状態にある事態を抜本的に解決できるし,そもそも東海道新幹線に品川駅を設ける必要などもなかったのである.非常に愚かなことだと思うが,これはJR東日本とJR東海の確執を含む政治的な問題であり,今後も解決されることはないだろう.

序章があといくつ続くかは分からないが,本稿で一番目と二番目に挙げた問題点を解決するスキームとして,本シリーズでは超広軌鉄道を提唱することになろう.
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序章その二 (長距離大量輸送の現実)

2011-03-29 20:00:00 | 広軌改築論
前記事では,主に乗用車,バスやトラックのドライバー達を過酷な仕事から解放したいとの思いから,旅客や貨物の輸送をバスやトラックから鉄道にシフトすべきであるとの考えに至った.

こうした私の考えとは別に,そしてはるかに昔の1991年から,国土交通省(当時運輸省)やJR貨物がモーダルシフトとして同じような取り組みを進めている.しかしながら,その進捗状況は順調とはお世辞にも言えない.

モーダルシフトが進まない原因は,安直にWikipediaで調べただけでも山のように出てくる.主に貨物についての問題は,主に以下の二点に集約できそうである.
鉄道による貨物輸送がトラック輸送と比較して
+ トータルで高コストになること
+ トータルで所要時間がかかること

それらのさらなる原因について私がここで詳述しても,やはりWikipediaやJR貨物や国土交通省のサイトなどに書いてあることの受け売りになってしまう.したがって,ここでは旅客や貨物の輸送を取り戻すために,鉄道に求められる条件について,私なりの乱暴な意見を述べる.

鉄道はどんなに逆立ちしても出発地から目的地への"door to door"のサービスを提供することはできない.出発地から駅へ,駅から目的地へのアクセスには自動車等の手段が必須である.また,鉄道を利用している間にも,乗り換えが必要になることが多い.それらは時間的にもコスト的にも不利に働く.それは鉄道が宿命的に抱えるハンディキャップである.よって,そのハンディキャップを補って余りある利点を鉄道は獲得しなければならない.

その,獲得すべきものは何か.それは今さら言うのも憚られるが,
「高速道路を走る自動車より圧倒的に速く,大量に運べ,安全なこと」
である.新幹線は生まれながらにしてこの要件を満たしており,主要な都市間の旅客輸送に関しては,自動車に対し十分な優位性を確保している.

しかしながら,新幹線の行き渡っていない地域間の旅客輸送および貨物輸送は,最高時速にして高々130 km/h,さらに多くの踏切を抱えたの在来線を走行せざるを得ず,高速道路を走る自動車に対し十分な競争力を有するには至っていない.速さで自動車に「圧勝」するためには,踏切のない路線を少なくとも最高時速にして200 km/h程度,できれば新幹線並みの300 km/hのレベルで走行することが必要となろう.

また,これはWikipediaに記述されていることを繰り返してしまうが,車両の全長が20 m級に抑えられている在来線においては,40フィート海上コンテナを効率よく輸送することが困難である.これは,船舶による貨物輸送との連携を阻害することになり,トラックに需要を奪われる一因となっているだろう.

そうなると当然,全長25 m級の車両を300 km/h程度で走行させることが可能な新幹線に着目したくなる.しかしながら,新幹線,とりわけ東海道新幹線は旅客輸送しか行っていないにもかかわらず,その輸送力は限界に達している.夜間は軌道のメンテナンスを行っていることを考えると,貨物列車などを走らせられるような状態ではまったくない.さらに,貨物線が走り貨物ターミナルが設けられている在来線の軌間は狭軌(1067 mm)であるため,標準軌(1435 mm)の新幹線とは規格的にもまったく互換性がない.

現在の新幹線にかかっている負荷と,新幹線と在来線の軌間の相違を鑑みるに,「高速道路を走る自動車より圧倒的に速く,大量に運べ,安全なこと」を鉄道貨物に求めるのは現状では無理な話である.
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三井住友銀行某支店にて

2011-03-28 20:00:00 | 弐千円札/雑記
本日,あるところに大金を振り込む用事があったため,東京都杉並区内・中央線沿線にある三井住友銀行某支店を訪れた.窓口の方は,振込依頼書に書かれた振込先を確認して,私に「おめでとうございます」と言ってくださった.

ことの経緯を考えれば,それが目出度いのか否かは議論が分かれるところであるが,粋な一言であることは間違いない.その他の面でも非常に対応が丁寧だったため,私は感動した.

窓口の方の対応に感動したついでに,私はカード式両替機にも寄り,その画面を確認した.すると,ここでも私は感動することとなった.そう,その両替機には二千円札が装填されていたのである.かつては装填されていなかった二千円札が,いつからかは分からないが装填されるようになっていたのだ.以前,店に備え付けの「ご意見ポスト」なるものから色々とリクエストしたことが効いたのか,他に思うところがあったのかは分からないが,画期的な進歩であることは疑いの余地がない.

私は三井住友銀行に口座を持ってはいるが,残高はゼロで,ここ何年かお世話になったことはなかった.さらひどいことに,その口座のキャッシュカードを紛失してしまいながら,1,050円もかけて再発行してもらうのもバカらしいな,などと考えていた.しかしながら,今回の三井住友銀行某支店の対応には,そうした私の考えを変えるのに十分なインパクトがあった.
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(参考) 米ドル紙幣

2011-03-24 22:22:22 | 弐千円札/雑記
参考までに,手元にあったUSD紙幣の写真と日本円の紙幣とを比較してみる.どちらが紛らわしいかは一目瞭然であろう.


USD notes (from top to bottom: $1, $2, $5, $10)


JPY notes (from top to bottom: \1,000, \2,000, \5,000, \10,000)
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序章その一 (感情論)

2011-03-23 20:20:20 | 広軌改築論
私は,自動車と,自動車を運転することが大好きである.ドライブを始めて数分もすれば,どんな嫌なことも吹き飛び,後ろ向きな考えや感情は影を潜め,快活な気持ちになれる.目的や目的地のあるなしに関わらず,自動車を運転すること自体が,私に理屈抜きの喜びをもたらしてくれる.

無論,市街地や住宅街の類では色々な物や人に気を遣いながら運転しなければならないが,そんな中でも,ステアリングから前輪の接地感を,シート越しに後輪の接地感を,それぞれ味わい楽しむことが可能だ.そして,ひとたび山岳地のワインディングロードや空いた高速道路に出れば興奮は最高潮に達する.タイヤが路面をグリップする様子を感じながらコーナーを駆け抜けるとき,ちょっと人には言えないようなスピードで高速道路を走るときなどは,まさに至福のひとときである.

しかしながら,残念なことに,そのようなみずみずしい感情を抱きながら自動車を運転している人間は,この世の中においては少数派である.大半は生活の一部として何となく,あるいは仕事と割り切って仕方なく,それぞれ自動車を運転しているであろう.そうした人々にとって,自動車の運転は何らの悦びをもたらすものではない.特に,高速道路におけるロングドライブなどは苦痛すらもたらすであろう.

つまり,世の中の大多数の人々による,楽しくないドライブや苦痛なドライブのために道路が占有され,限りある化石燃料が消費され,大気中に大量の二酸化炭素が放出されていることになる.生活や仕事のためとなれば,天候や心身のコンディションが良くないときに無理に運転することもあるだろう.その結果として交通事故が発生し,心ならずも命を落としたり他人を殺めてしまうこともある.これは,自動車好きにとっては大変に心の痛むことである.

これらの諸問題すなわちドライバーたちの苦痛,無用な道路の混雑,余計な化石燃料の消費と二酸化炭素の放出,交通事故を軽減するにはどうしたらよいのか?

一つの解としては「自動車の自動運転」というものがあり,交通事故に対する予防安全の観点から実際に研究もされている.しかしながら,これは化石燃料と二酸化炭素の問題に対する答えにはほとんどなっていない(電気自動車とセットであれば話は少し変わってくるが).何より,ドライブ好きにとって自動運転などもっての他である.自動車は,自分で運転するから楽しいのである.

そうなるとまた別な解を探ることになる.それは必ずしも一つとは限らないが,「鉄道を有効活用する」というのは有力な解の一つであろうと思う.貨物や旅客をを運搬するために高速道路を延々とドライブするのに比べ,鉄道車両は一度乗ってしまえば何もしなくても目的地まで到達することができる.自己責任によるものも含め,事故はほとんど起こらない.こうした観点から,数のまとまった旅客や貨物の長距離輸送はバスやトラックから鉄道にシフトすべきであろうと,私は考える.

こうしたシフトが仮に実現した場合,現在の鉄道網はそうした需要を受け止めるだけの輸送力,速達性,安全性を兼ね備えているのであろうか?その答えは否であると私は思う.だからこそ,夜行バスやトラック輸送が隆盛を極め,バスやトラックの運転手が必要な休憩時間すら与えられずに運転することを余儀なくされ,多くの交通事故が発生しているのである.

今回は,私自身の自動車に対する思い入れといった感情論から,旅客輸送ならびに貨物輸送の鉄道シフトが必要であるという考えに至った.次回以降はまた別な切り口から鉄道シフトへの必要性について論ずることになる.そして,本論では,こうした大量かつ長距離の輸送を担える鉄道のあり方について考え,やがて2000 mm程度の軌間を有する超広軌鉄道を将来の鉄道のスタンダードとして提案しようと思う.
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広軌改築論: カテゴリーの新設にあたり

2011-03-18 20:00:00 | 広軌改築論
このたび拙ブログに「広軌改築論」なるカテゴリーを追加することにした.

まだ記事はほとんどないが,このところ私が思っていることを徐々に書き連ね,色々と理屈をこね,最終的には日本の鉄道を軌間を2000 mm程度の超広軌鉄道に改築することを提唱しようと思っている.

なお,私は理工系の人間であるが,鉄道や交通工学の専門家ではない.ただ,鉄道と自動車と日本が大好きな一介の素人である.そのような人間の目から,
- 現在のトラック主体の物流システムの問題点
- 日本の鉄道網が抱える問題点について
- 狭軌(1067 mm軌間)と標準軌(1435 mm軌間)
を見て,やがては
- 鉄道と自動車の理想的な相互補完関係について
- 国家の基幹インフラたる鉄道の姿
について考えてみようと思う.

私がこれから書くであろう文章は,いわゆる論文ではない.したがって,信頼性の高い文献を引用して厳密な論理を展開することにはならないであろう.また,2000 mmという数字が示すとおり,私の提案は多くの人にとって,とりわけ鉄道の専門家にとっては荒唐無稽なものになるであろう.

しかしながら,その道の専門家ではない者による一見荒唐無稽な論理が,その道の専門家に一種のひらめきを与え世の中を大きく変えるきっかけにならないとも限らない.私はそれを期待して本論を展開することにしようと思う.
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刮目せよ

2011-03-07 21:00:00 | 弐千円札/論説
二千円札を使いたがらない人の多くが,その理由として「他の券種と紛らわしいから」という点を挙げる.果たしてそれは本当であろうか?

それを確認するために,今回は現在発行されている日本銀行券の全券種を並べて写真に収めた.言うまでもなく,上から千円券,二千円券,五千円券,一万円券である.これをご覧いただきたい.

どこが紛らわしいのか?色合いも透かしの位置も他券種とは異なる.その一際明るい色調は,他の辛気臭い紙幣とは一線を画している.

二千円札が千円札や五千円札と紛らわしいというのは,ろくに二千円札を見たこともない人がつけている言いがかりに過ぎないことが分かる.二千円札大使諸氏には,このことも念頭において二千円紙幣流通促進活動に励まれることを期待する.

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キーワード: 2000円札,2000円紙幣,二千円札,二千円紙幣,弐千円札
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