先日、会社の後輩がポルシェカイエンを買いました。彼はクルマ趣味というわけではないのですが、ポルシェは昔からの憧れだったそうです。
「家族で乗る」という意味では良い選択(というよりかなり贅沢な選択だけど)だと思いますし、正直言って僕も過去に考えたことはありました(予算的に無理だったけど)。なので、「よかったねぇ、いいクルマ買ったね」と言ったのですが、やはりひとこと言わずにはいられませんでした。
「でも何故いまポルシェ買っちゃうのかなぁ?」・・・です。その趣旨は現在のATシステム「ティプトロ」が末期だと思うからです。用途が用途ですのでATを選んだことはよいのですが、たぶん来年あたりには、ポルシェのATもVWやアウディの後を追ってDSG(ダイレクト・シフト・ギアボックス)になると思います。
先行したとはいえアウディもDSGを適用しているのはまだA3とTTの2車種だけなので、ポルシェもすぐに全車種に対応することはできないと思いますが、でも現行の古臭い(失礼!)ATを今買うのはちょっとどうかなと思ったわけです。
「DSG」とは、アルファロメオが先鞭をつけた2ペダル自動MT(正確にはマニュアルトランスミッションに自動クラッチ自動変速機構をつけた2ペダル方式。F1のシステムに近く、ギアチェンジではアクセルを空ぶかしするなどして回転をあわせてくれる。)の「セレスピード」の仕組みをさらに進化させたもので、たとえばセレで最も違和感を感じたギアチェンジ時の途切れ(MTと同様に、ギアチェンジ時に加速が途切れる)をほぼなくす事に成功した、いま世界で最も進んだATシステムなのです。
恐らくアルファロメオでも同様の仕組みを、一年程度のちにMiToのATから導入してくるものと思われます。
DSGの仕組みを簡単に言えば、クラッチを2セット用意し、贅沢にも奇数ギアと偶数ギアをそれぞれに受け持たせるものです。たとえば3速で走っているときにはもうひとつのギアセットが4速(状況によっては2速)につないでスタンバイしており、瞬時にそれを切り替えることでF1のように素早いギアチェンジを行うのです。
ところで後輩のカイエン購入を批判しつつも、僕はこのDSGを自ら体験したことがないことに気づきました。そう思ったらいてもたってもいられません。早速アウディのディーラーに行ってDSG(アウディではSトロニックと呼びます)に試乗です!!
★
最近のアウディについて僕はあまりにも無知でした。昔友人が乗っていたA4は単に小型車というイメージでしたが、今はA3でさえ上級な乗り心地を見事に演出しており、プレミアムブランドにふさわしい上質さです。ただアウディは相変わらずターボを中心にしたエンジンラインナップであり、その点に限っては僕にとってはあまり魅力のあるブランドとはいえません(頑固なターボ嫌い)
。
アウディの試乗記は別途アルフィスタへの道に書こうと思いますので、ここではDSGに特化して報告をします。
DSGの第一印象は、「普通のATとなんら変わりない完璧な自然さ」です。
MTは運転する者にとっては自分の操作にダイレクトに反応してくれる楽しさがありますが、正直言ってギアチェンジの下手なドライバーに乗せてもらったときや、かなり引っ張った加速の際には、同乗者はギアチェンジのたびに頭が前後にカクカクしてしまいますよね
。一方、ATは加速時のGが連続的なので比較的楽。
このDSGはMT同様にギアチェンジをしているにもかかわらず、その切り替え時間が3/100秒という早さであるがゆえに、普通のATと同じように加速が連続するため、同乗者の頭もカクカクしないんです
。
つまり、ドライバーにとってはMTのように自分の意図通りのタイミングでギアチェンジをしているのですが、同乗者はそんなことにはまったく気づかずにATのようなスムースさで乗せてもらっている、という状態です。雑誌のような表現で恐縮ですが、「非常にギアチェンジの上手なドライバーのマニュアル運転を、誰もが意識せずに実現してくれる」という感覚です。
そんなにいいのか?!といわれると確かにすばらしいのですが、あまりに良くできていて普通のATと変わらなさすぎ!・・というのが僕の印象です。
もちろんダイレクトな加速感はATとは違うし、シフトダウンで「フォンッ」とアクセルをブリッピングしてくれたりもしますが、セレクタレバーをATモードにしている限りは本当に普通のATと同じなんです。たとえばクルーズ状態からアクセルを深く踏み込んで急加速した場合だって、空ぶかしをしてギアダウンし加速に移るタイムラグは、ATのキックダウンと変わりません。
こうなると街なかでマニュアルモードにする意味はほとんど無いわけで、僕なら極極たまにワインディングなどで切り替えるくらいでしょう。
たぶんクルマに興味のない方は、普通のATとの違いはわからないでしょう。それほど自然です。しいて言えば、微低速の半クラ時にわずかに違和感があるくらいです。
あと、これはアウディの問題ですが、ステアリング裏のパドルシフトがステアリングと一緒に動いてしまうのはやはり使いづらかったです。また、マニュアルモードでも最後は勝手にシフトアップ&ダウンしてくれるのも余計なお世話です。確かに楽ではありますが、だったらオートマモードにするってば
。
やはり考え方が「AT主体の人が、たまにマニュアルっぽい楽しみ方をするため」という考え方なのでしょうね。
とすれば、ポルシェが採用する際には是非「余計なお世話」をしない設定でお願いしたいものです。
DSGについて僕の結論をまとめますと・・、
ATモードでは良くも悪くも普通のATと変わりない。ただし、ダイレクト感では、ATに比べてエンジン性能を活かしきっているように感じ、大変スポーティで気持ちが良い。ドライバーにとっては意図通りに操れる気持ちよさ、同乗者にとってはATのような快適さを提供してくれる。
街なかでは普通のATとまったく変わらない印象なので、是非ワインディングや高速で試したい。
やはり少なくとも現在最高の理想のATシステムといえそうです。いや、この技術はすごいっ!!
「家族で乗る」という意味では良い選択(というよりかなり贅沢な選択だけど)だと思いますし、正直言って僕も過去に考えたことはありました(予算的に無理だったけど)。なので、「よかったねぇ、いいクルマ買ったね」と言ったのですが、やはりひとこと言わずにはいられませんでした。
「でも何故いまポルシェ買っちゃうのかなぁ?」・・・です。その趣旨は現在のATシステム「ティプトロ」が末期だと思うからです。用途が用途ですのでATを選んだことはよいのですが、たぶん来年あたりには、ポルシェのATもVWやアウディの後を追ってDSG(ダイレクト・シフト・ギアボックス)になると思います。
先行したとはいえアウディもDSGを適用しているのはまだA3とTTの2車種だけなので、ポルシェもすぐに全車種に対応することはできないと思いますが、でも現行の古臭い(失礼!)ATを今買うのはちょっとどうかなと思ったわけです。
「DSG」とは、アルファロメオが先鞭をつけた2ペダル自動MT(正確にはマニュアルトランスミッションに自動クラッチ自動変速機構をつけた2ペダル方式。F1のシステムに近く、ギアチェンジではアクセルを空ぶかしするなどして回転をあわせてくれる。)の「セレスピード」の仕組みをさらに進化させたもので、たとえばセレで最も違和感を感じたギアチェンジ時の途切れ(MTと同様に、ギアチェンジ時に加速が途切れる)をほぼなくす事に成功した、いま世界で最も進んだATシステムなのです。
恐らくアルファロメオでも同様の仕組みを、一年程度のちにMiToのATから導入してくるものと思われます。
DSGの仕組みを簡単に言えば、クラッチを2セット用意し、贅沢にも奇数ギアと偶数ギアをそれぞれに受け持たせるものです。たとえば3速で走っているときにはもうひとつのギアセットが4速(状況によっては2速)につないでスタンバイしており、瞬時にそれを切り替えることでF1のように素早いギアチェンジを行うのです。
ところで後輩のカイエン購入を批判しつつも、僕はこのDSGを自ら体験したことがないことに気づきました。そう思ったらいてもたってもいられません。早速アウディのディーラーに行ってDSG(アウディではSトロニックと呼びます)に試乗です!!
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最近のアウディについて僕はあまりにも無知でした。昔友人が乗っていたA4は単に小型車というイメージでしたが、今はA3でさえ上級な乗り心地を見事に演出しており、プレミアムブランドにふさわしい上質さです。ただアウディは相変わらずターボを中心にしたエンジンラインナップであり、その点に限っては僕にとってはあまり魅力のあるブランドとはいえません(頑固なターボ嫌い)

アウディの試乗記は別途アルフィスタへの道に書こうと思いますので、ここではDSGに特化して報告をします。
DSGの第一印象は、「普通のATとなんら変わりない完璧な自然さ」です。
MTは運転する者にとっては自分の操作にダイレクトに反応してくれる楽しさがありますが、正直言ってギアチェンジの下手なドライバーに乗せてもらったときや、かなり引っ張った加速の際には、同乗者はギアチェンジのたびに頭が前後にカクカクしてしまいますよね

このDSGはMT同様にギアチェンジをしているにもかかわらず、その切り替え時間が3/100秒という早さであるがゆえに、普通のATと同じように加速が連続するため、同乗者の頭もカクカクしないんです

つまり、ドライバーにとってはMTのように自分の意図通りのタイミングでギアチェンジをしているのですが、同乗者はそんなことにはまったく気づかずにATのようなスムースさで乗せてもらっている、という状態です。雑誌のような表現で恐縮ですが、「非常にギアチェンジの上手なドライバーのマニュアル運転を、誰もが意識せずに実現してくれる」という感覚です。
そんなにいいのか?!といわれると確かにすばらしいのですが、あまりに良くできていて普通のATと変わらなさすぎ!・・というのが僕の印象です。
もちろんダイレクトな加速感はATとは違うし、シフトダウンで「フォンッ」とアクセルをブリッピングしてくれたりもしますが、セレクタレバーをATモードにしている限りは本当に普通のATと同じなんです。たとえばクルーズ状態からアクセルを深く踏み込んで急加速した場合だって、空ぶかしをしてギアダウンし加速に移るタイムラグは、ATのキックダウンと変わりません。
こうなると街なかでマニュアルモードにする意味はほとんど無いわけで、僕なら極極たまにワインディングなどで切り替えるくらいでしょう。
たぶんクルマに興味のない方は、普通のATとの違いはわからないでしょう。それほど自然です。しいて言えば、微低速の半クラ時にわずかに違和感があるくらいです。
あと、これはアウディの問題ですが、ステアリング裏のパドルシフトがステアリングと一緒に動いてしまうのはやはり使いづらかったです。また、マニュアルモードでも最後は勝手にシフトアップ&ダウンしてくれるのも余計なお世話です。確かに楽ではありますが、だったらオートマモードにするってば

やはり考え方が「AT主体の人が、たまにマニュアルっぽい楽しみ方をするため」という考え方なのでしょうね。
とすれば、ポルシェが採用する際には是非「余計なお世話」をしない設定でお願いしたいものです。
DSGについて僕の結論をまとめますと・・、
ATモードでは良くも悪くも普通のATと変わりない。ただし、ダイレクト感では、ATに比べてエンジン性能を活かしきっているように感じ、大変スポーティで気持ちが良い。ドライバーにとっては意図通りに操れる気持ちよさ、同乗者にとってはATのような快適さを提供してくれる。
街なかでは普通のATとまったく変わらない印象なので、是非ワインディングや高速で試したい。
やはり少なくとも現在最高の理想のATシステムといえそうです。いや、この技術はすごいっ!!
