キムラトモミの絵と版画 制作ノート

日常の中の非日常、目に見えない大切なものを
少しでも形にしたくて制作しています。猫のいるこの世界が好きです

ポーの話 いしいしんじさん著書

2021年01月20日 | 読書メモ
長編の物語
いしいしんじさんの小説を読むのはこの作品が初めてです。
以前、読んだ
とある小説の解説を書いておられて、そのおかげで読後のもやもやが少し晴れた体験がありました。
いつか、いしいさんの小説を読んでみたいなぁと思い数冊買いこんだうちの一つ。

「ポーの話」
最初は穏やかなファンタジーの物語なのかなと思いました。
主人公のポーはうなぎ女たちの育てた黒くて手には水かきをもち、泥の中を苦も無く泳げる不思議な子供。
うなぎ女たちは人ならざる生き物のようです。
発する声は「うー」とか「あー」とか。けれど、時折思念のような想いが 詩のように出てくるんです。
それが、ふっとあったかい気持ちにさせられます。
きっとこの世のすべての母親という母親はこんな愛情を子たちに注いでいるのではなかろうか・・・

「スフスフ。
スフスフ。
かあさんたちの命は、いつだっておまえのしあわせとともにある。」

ポーがどんな困難に強いられていても、あるいは素晴らしい出会いに恵まれた時も

ポーはいろんな出会いを経験していきます。
人の気持ちによりそうことを知らないポーは出会いを通して、心のあたたかさを学んでいるようです。

ある少年は鳥が大好きで巣箱を一生懸命作っています。その少年のセリフより
「どの鳥にもきっとそれぞれ、ちょうどいい、理想の巣箱があるんじゃないかな。からだのサイズや暮らしかたにもぴったりで、そこでならほんとうにきもちよく、その鳥らしい鳴き声をあげられるような、そんな巣箱さ・・・・(中略)」

「ぼくは体が悪いから、ほかの人より、ちょっとのしごとしかできないだろ?だから、そのちょっとのことだけはさ、大切にね、ほかの人がやらないくらいにていねいに、やらなくちゃいけない、って気がするんだよ」

以前、ポーはこの少年に「身体が曲がっているから泳いだら沈んでうなぎのえさになる」と悪気もなく発言していました。
さらに、大怪我をした人の伸びた足を悪びれもせず踏んでしまったり
メリーゴーランドと呼ばれる男の真似をして盗みをしてみたり
でも盗みをした日は
「背中が汗でべたべたになって、朝は寝る前より一層胸が詰まっている。ぬるい水の中にとじこめられているような感じなんだ」
動物園のゾウにバナナを与える。その行為をメリーゴーランドから「つぐない」だと教えられます。

つぐない
罪悪感

このあたりが、この小説のテーマなのかもしれません。
少年の祖父「犬じじ」は狩猟で生計を立てています。
ポーは犬じじに聞きます。
「じゃあさ、ほんとうのつぐないって、いったいどういうのだろう?」
「みんなそいつを、一生かけてさがすんじゃないかね。泥の中をのたくるみたいに」


ポーとともに旅をしてきた「天気売り」とよばれる子供がいるのですが
あんまり詳しく描くと未だ読んでおられない方に失礼なので我慢します。
この天気売りがけなげでとても良いパートナーです。
天気売りの想いより
「そうです。空、でかいかがみです。目に見えないおおぜいのかおうつっているのです。(中略)ひとりではないのです。」



このあと、想像を超える展開がポーにも読み手にも起こります。
読みながら泣いて泣きながら唸って、偉大なるものへの畏敬の思いでいっぱいになってしまいました。
人は出会いと別れを繰り返して
与えられ
うばわれ
つぐないをする生き物なのでしょうか・・・・

あなたとあなたの物語 ハンプティダンプティと踊る魔女

2021年01月20日 | イベント案内



#あなたとあなたの物語 
ハンプティダンプティと魔女と
愛犬のパルちゃんも登場です🌛 このダンスはきっと幸せの魔法ですよね〜
羊毛フェルト作家のtaotaoさん
描かせて頂きありがとうございました🙏

雑貨店おやつさんでは引き続き
猫と本とをテーマに素敵なハンドメイドの作家さんたちの作品と共に キムラトモミの個展をさせて頂いております。
通販も準備して下さっております。よろしければチェックしてみて下さいませヽ(*´з`*)ノ
日程  2021年1/4~27














#銅版画のワークショップ 

このような時期ですので要予約にてお席を確保させて頂きますね(*˘︶˘*).。.:*♡
予約は雑貨店おやつさんのホームページよりどうぞ
※24日の銅版画のワークショップ残りのお席が若干数ございます

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