今日、実は火の玉稽古会から帰宅後、我が家でちょっとした事件があり、ママはお風呂上がりでドスッピンだと言うのに夜中に車でとあるところまで行くハメに…。
多くは語りませぬが、にぃにの神対応に有難いのひと言。高校生になってからにぃにに甘えることもしばしばあるママ。今夜はホント助かりました。
にぃに、ありがとね。にぃにが居なかったら、ママひとりで怖くてたまらなかったよ~👻
感謝🙏
バタバタしてたからボクもツカレタ…
さて。
表題の「赤い洋服のおばあさん」のお話をしましょう。
ママ、今年に入ってから心配してることがひとつ増えたんだ。ただでさえ去年から心配事盛りだくさんなのに、ちょっと気になるので…。
それは年が明けて暫くしてからのこと。ママはいつも通り秘密結社に出社。その日はキョクチョウがお休みで、まだお正月休みの人も多かったから他のセンセイも来なくて終日ひとりだったのね。秘密結社、なにせ鎮守の森に囲まれているので、ひとりであの広い空間に居るのはなかなか怖いんでありますよ。特に雨の日とか、夕方暗くなってきてからとか。
ああ、それでね、秘密結社の玄関ドアって木で重いもんだから誰かが開けると「ギィ」っていう音で気がつくんだよね。
その日も机に向かって業務遂行していたらドアが開く音が。
あれ?誰だろ?どなたかセンセイかな?
顔を上げると大抵は窓口のガラス越しに来館者のお顔が見えるの。
でも、その時は見えなくてね。ちょうど角度的に見えない時もあるから事務室のドアを開けて見に行ったら、そこにはとても小柄な白髪のおばあさんが。真っ赤なカーディガンを着て、ポシェットを肩から斜めがけしてる。
とにかく背が低いので、玄関で一段上にいるママは膝まづいて応対。
「こんにちは」
って声をかけたら、
「この辺にタバコ売ってませんか?」
タバコ?神社に?
「ちょっとひとに頼まれてね。タバコないかしらね」
「すみません、ここは神社なのでおタバコは売ってないんですよ」
「あそこの売店ににならあるかしら?」
売店?ああ、社務所のことかな。
「あそこにはないですね。もし、お歩きになれるのでれば、大通りを渡ったところにある大きなショッピングセンターになら売っていると思いますよ」
「そうですか。いや、もう、ひとに頼まれてね。ごめんなさいね。もう、その人に自分で行ってきてもらうわ。ありがとね」
「いえいえ、お気をつけて」
秘密結社の玄関ドア、意外にも引いて開ける時よりも帰りに押して開ける方が重くてなかなかコツがいる。
案の定、華奢なおばあさんには開ける事が出来ずママ、開けてさしあげる。
随分ちっちゃいおばあさんだったなぁ~。なんて、その日はのんきに思ってもうおばあさんのことは忘れていた。
そして、翌日。この日はキョクチョウも出勤。頼れる人がいるとホッとする。
いつも通り真面目にお仕事こなしていたら、
ギィ
ん?お客さんかな?
事務室のドアを開けたら、
あっ!
昨日のおばあさん。赤いカーディガンにポシェット。
「すみません、この辺にタバコ売ってませんか?」
あ…。
「こんにちは。昨日もいらっしゃいましたね」
とりあえず今日も膝まづいてお話。
「ああ!そう言えばこの前もあなたに教えてもらったわね!」
この前?昨日だよ~。
「あのね、タバコ買ってこいってひとから頼まれてね」
「すみません、ここにはおタバコ売っていないんです」
「売店に行けばあるかしら?」
「あそこは神社の所なので売ってないと思いますよ。大きな通りまで出ていただければお店がありますけれど、道、お分かりになりますか?」
「そうなのね。ありがとうね。もう、タバコ買ってきてって頼まれちゃってね。困っちゃって。ありがとう」
「お役に立てずすみません。お気をつけて」
バタン
……。
「センセー、今のおばあさん、昨日も来たんですけど…」
「え?おばあさんなんていた?」
え?
…やめてよね。小柄で見えなかったんだか。アタシ、今、玄関で会話してたじゃん。
そして、それからはおばあさん来なかったから日々の忙しさですっかり忘れていたら、
今日。
ギィ
あ!!
「すみません、この辺にタバコ売ってませんか?」
今日はすごく寒かったよね。朝から冷えててさ。なのに、おばあさん、上着は着ておらずピンクの薄手のカーディガンを羽織ってただけなんだ。下もスカートだから寒そう。今日はポシェットは持っていなかった。
「こんにちは。お寒くないですか?」
「タバコ、ひとに頼まれてね」
「すみません、ここには売っていないんですよ」
「ありがとう。頼まれちゃってね…」
……。
ねぇ、寒いよね?おばあさん、どこから来たの?いつもここに来たあとはどこに向かっているの?お家のひと、心配してない?
何を言おうか迷っているうちにおばあさんはさっさと駐車場に向かって歩いていってしまった。
ひとり取り残され、暫く立ち尽くしてしまったママ。
アタシは何かすべきではなかっただろうか…。
…
「センセー、今のおばあさん、この前いらしたひとなんですけど、またタバコないか、って」
「…」
キョクチョウ、取り込み中でもんのすごく業務に集中していたみたいで、ママの声が全く耳に入っていない模様。
う~ん。
おばあさんがまた次回来たらどうすればいいかな。お家を聞くべき?
とにもかくにも、今日の寒空にあの薄着で歩いているおばあさんに何もしてあげられなかった事に悔いが残り、なんともモヤモヤした日となりました。
それにしても、なんで毎回キョクチョウは気が付かないんだろ。
……。
深く考えるのはやめよう…。