ケアマネなんかやってられっか!

現役ケアマネが介護や福祉の現場で気づいたこと、腹の立つこと、疑問に思うことなどをごく個人的な思いで語ります。

「冗談ですよ」

2007-01-18 | Weblog
 読売新聞に荻野アンナさんの「ケアノート」が連載されています。
 荻野さんのお父さんは「日本語のしゃべれないフランス系アメリカ人」でお母さんは日本人で83歳で要介護1だそうです。
 そのお父さんが一昨年秋、心不全で倒れ、退院のめどが立ったそうですが、荻野さんを含め3人暮らしでは自宅での介護ができず、病院のはしごをしました。お父さんには認知症の症状が出たらしく、入院していることが分からず、「丈夫な僕が不当に閉じ込められている」と言い出す、ようになりました。そのため、お父さんは病院で騒ぐこともあり、荻野さんはストレスがたまり、軽いうつ状態になり、抗不安薬と睡眠導入剤が手放せなくなります。
 その経験から、荻野さんは「病院で倒れるのは、同じ立場の女性にお勧めです。そうすると、この人は限界だと周りにわかってもらえる」と言います。
 「冗談です」と断ってはいますが、実感がこもっています。実際の介護現場を日々見ている人間としては、「冗談」と受け取れません。実践したほうがよいと思う人がたくさんいます。
 
 でも自宅で倒れても、見つけてもらえない場合もありますから、なるべく人がたくさん来ているときに倒れるのが良いと思います。訪問調査のときなどは、前日に徹夜をして、目の下にクマを作っておくのも良いでしょう。特養の申し込みをすると介護保険とは別に調査にくる自治体もあるので、そのときもなるべくやつれた顔で化粧もせず、服装も少し乱して、部屋の中も散らかしておきます。特にベッド周りなどは、食べ物のカスを散らかす、オムツも汚れたものをベッド下に少しだけ見えるようにして隠しておくなどするのがベストでしょう、もちろん「冗談ですよ」

本日のキーワード 「病院で倒れる」「冗談ですよ」

介護事業の将来は?

2007-01-16 | Weblog
 全国介護事業者協議会という会があります。文字通り、介護事業者の連絡会です。少し古い話なのですが、昨年の6月に各事業所に対して、制度改革で経営実態がどう変わったのかというアンケートを行いました。
 
 それを見ると
 「平成18年3月と4月の売上を比較して  やや減った41%、かなり減った48%
 平成18年4月の月次決算について    黒字 24% 赤字 76% 
 将来的な経営予測   順調に発展 6% 不安 88% 撤退 7%
 」となっています。

 この状況は今もあまり変わっていないと思います。むしろ将来的な経営予測はもっと厳しいものになっているかもしれません。

 小さなところはどんどんつぶれ(撤退?)大手のところだけが生き残るのではないでしょうか。

 先日も集団指導に参加した際、講師の人が「厚生労働省は、18年4月の改正で、制度に合致するところだけが残ればよいとしたようです。給付もどんどん増えるので“適正”な事業所だけを残すようはっきりと方向を決めたのです」と言っていました。
 『適正な事業所』とはどんなところでしょう。それを判断するのは「書類・記録」です。もちろんそれらの重要性はわかりますが、電話でのやり取りなどもすべて記録して、担当者会議も行い、主治医にも連絡をとれ、というのは無理な注文でしょう。厚生労働省に言わせると、それを「適正」に行っているところもあるのだからできないことはない。やらなければ減算、行政指導、監査だ。とまるで脅しです。

 何度も言いますが、居宅支援費だけで独立できる事業所はありません。必ず付随した事業所の「上がり」で維持しています。それで公正中立、「適正」などできないのです。実際には、居宅支援費は39人の上限までとっても、せいぜい45万くらい。ケアマネの給料だけでなくなってしまいます(社会保険料とか会社の負担も入れてです。ケアマネの給料が40万ということではありません)。

 行政からの話を聞くたびに気持ちが暗く、憤りを感じます。行政は「利用者のために、適正でより良い事業所をつくるために」といいますが、現場の人間のやる気をそぐような制度では、良くなることはないでしょう。私個人としては、行政からの指導などの話を聞くたびに、職業を変えようと思います。

 冒頭に書いた「将来的な経営予測」で「不安が88%」では将来はありません。

今日のキーワード 「将来的な経営予測」「介護事業の適正化」